# 「研究テーマ」の正体|石原尚 Navigation: [[研究テーマ]] | [[石原尚]] | [[卒論・修論研究の攻略本]] **著者**: [[石原尚]](大阪大学大学院の教員) **公開**: 2022年1月27日 / [note.com](https://note.com/hisashi_is/n/ne5a7cae4854d) ## 中核論点 ### 研究テーマは研究と論文を束ねる 卒業論文・修士論文では、研究テーマが研究開始から結論までつきまとう。テーマは選択・絞り込み・深化・見直し・練り直し・整形の対象となり、手法、結果、考察、結論を1つの研究としてまとめる土台になる。 一方、「新規性がある」「興味を持てる」「社会的意義がある」「実現性がある」といったテーマ選択の基準は、テーマの良し悪しを考える助けにはなるが、研究テーマそのものが何かを定義しない。研究課題、問い、目的、対象、手法など、複数の意味が混在しているためである。 ![[_attachments/research-theme/fig02-theme-ghost.jpg]] 研究テーマの意味が曖昧なまま、異なる助言を受けて混乱する状態を「研究テーマお化け」として表現している。 ### 研究テーマは世界観と作戦である 記事の中心的な提案は、研究テーマを「どんな世界にどう挑むのか?」への答えとして捉えることである。その構造は、次の2つに分かれる。 - **世界観**: 研究対象についての理想・現状・課題・問題の組み合わせ - **作戦**: 現状から課題へ進むためのアプローチ、およびその詳細である目標・手段 ![[_attachments/research-theme/fig03-theme-structure.jpg]] 研究テーマの正体を、世界観(緑)と作戦(橙)の構造として示している。 世界観の各要素には役割がある。理想は社会的意義、現状は新規性、問題は学術的貢献、課題は実現可能性の説明に関わる。作戦のアプローチは、どのような考えで問題を解決し課題を達成するかを示す。目標は問題解決につながる攻略上の要所、手段は目標に到達するための現実的な手立てである。 ![[_attachments/research-theme/fig01-worldview.jpg]] 研究テーマの構造と、魔王に挑むRPGの世界観・作戦を左右に並べて対応させている。 ### 目的はテーマを代表する 目的は、「選んだアプローチによる問題解決と課題達成」である。世界観と作戦の重要部分を抜き出して一言で表すものなので、研究テーマを簡潔に説明する代表として機能する。ただし、記事の整理では目的だけでなく、その背後にある理想・現状・課題・問題・アプローチの連鎖まで明示することが重要になる。 ### RPGによる対応付け 研究テーマの構造は、魔王に挑む冒険ゲームの構造に対応する。開始時の世界の状況が研究対象の現状、ハッピーエンドが理想、魔王が課題達成を妨げる問題、攻略イベントが目標、装備・スキルが手段、魔王を倒して姫を救出する作戦がアプローチに相当する。 ![[_attachments/research-theme/fig04-rpg.jpg]] 研究テーマの各要素を、魔王を倒して姫を救出するRPGの要素に対応付けている。 この比喩によれば、「あなたの研究テーマは何か」という質問は、「どんなゲームに、どのような作戦で挑むのか」という質問になる。記事は、構造を踏まえて研究テーマを説明すれば、テーマを決める・絞る・夢のあるものにする・現実的なものにする、といった助言を各要素への操作として解釈できると述べる。 ![[_attachments/research-theme/fig05-no-ghost.jpg]] 曖昧な「研究テーマお化け」が消え、世界観と作戦の各要素を具体化できる状態を示している。 ## 限定と利用上の注意 この「研究テーマ=世界観と作戦」という説明は著者独自の見解であり、一般的な定義として確立したものではない。記事の価値は唯一の定義を提示することよりも、理想・現状・課題・問題・アプローチを1つの連鎖として可視化し、研究テーマに関する助言を構造の各要素へ分解できる点にある。 ## 関連 - [[研究テーマ]] — 記事が提示する中心概念 - [[石原尚]] — 著者 - [[Osaka University]] — 著者の所属大学 - [[卒論・修論研究の攻略本]] — 著者が2021年10月に刊行した関連書籍 ## 出典 - 原文: [「研究テーマ」の正体|石原尚](https://note.com/hisashi_is/n/ne5a7cae4854d) - 取得テキスト: [[.raw/articles/research-theme-2026-08-30]]