# 再帰化への認知的転回
## 概要
[[三宅悠介]]([[GMOペパボ]])によるペパボテックカンファレンス(2022-03-11)の発表。「再帰化」すなわちサービスがユーザインタラクションのフィードバックを取り込んで自己改修していくプロセスを、「関数の設計から系の設計への認知的転回」として定式化し、[[なめらかなシステム]]との接続を論じた。
## 主要メッセージ
- **再帰化の定義**: 構造化・自動化されたサービスが、ユーザとのインタラクションの結果を取り込んで、システムを自らより良いものへと改修していくプロセスである(p.4、CTO メモ: 2022 年のテクノロジー方針より)。
- **関数の設計から系の設計へ**: 従来のシステム開発は入力 **x** に対する出力 **y** を決定する関数 **f** を設計するもの(y=f(x))。人手による設計は利用者の要望を必ずしも反映せず、最大公約数的な振る舞いを選定しがちで、反映にも時間がかかる(p.6-7)。機械学習はこの関数設計をデータから自動化するが、ある時点のデータに基づく内挿性に留まり、環境の継続的変化(外挿)への対応が課題となる(p.8-9)。
- **系の設計**: 関数の継続的な再設計を可能にするメタレベルの仕組み——Controller と Activity による制御ループで y=f(x) → y=g(x) → y=h(x) と関数自体を動的に置き換える(p.10-11)。
- **3つの技術課題**: (1) インタラクションの解釈——暗黙的フィードバックからの利用者背景・要求の推論、(2) 利便性とのトレードオフ——明示的操作なしでの情報取得、(3) 振る舞い変更の仕組み——比較評価と自動切り替え(p.14-17)。
- **機会損失の考慮**: 再帰化は全施策が成功するわけではないため、統計的仮説検定による比較評価と多腕バンディットによる最低限サンプルでの施策選定が鍵となる(p.19-20)。
- **再帰化 = なめらかなシステム**: 本資料の 2-3 項はすべて「なめらかなシステム」の要件に基づいており、再帰化はその実現に向けた取り組みに他ならない(p.26)。
## 視覚的に重要な図表
**p.4 再帰化の定義**
![[_attachments/pepabo2022-the-turn-to-recursive-system/page-004.png]]
再帰化の正式定義を提示するスライド。
**p.8 機械学習による「関数の設計」の自動化**
![[_attachments/pepabo2022-the-turn-to-recursive-system/page-008.png]]
y=f(x) の関数設計を機械学習で自動化するフローを数式で示す。入出力の対応関係定義→予測のズレ定義→最小化→パラメータ決定の 4 段階。
**p.10 「系の設計」のモデル**
![[_attachments/pepabo2022-the-turn-to-recursive-system/page-010.png]]
Controller + Activity による制御ループ図。y=f(x) / y=g(x) / y=h(x) が循環的に置き換わる。
**p.22-23 minne 検索コンポーネントの再帰化**
![[_attachments/pepabo2022-the-turn-to-recursive-system/page-022.png]]
minne 検索の現状アーキテクチャ: Doc → Analyzer → Index → Matcher → Sorter → Response。Feedback の接続先が「?」。
![[_attachments/pepabo2022-the-turn-to-recursive-system/page-023.png]]
再帰化後: Response → Feedback → Bigfoot(Controller + Activity) → Index へのフィードバックループを追加。
## 概念・実体への接続
- [[なめらかなシステム]] — 再帰化はこの構想の実装方向を示す
- [[三宅悠介]] — 登壇者
- [[GMOペパボ]] — 所属組織
- [[再帰化]] — 本資料で定義・展開される概念
## 限界・不確実点
- p.4 の再帰化定義の出典は「CTO メモ: 2022 年のテクノロジー方針(社内資料)」であり、外部から参照不可。
- p.24 の minne 検索システムの再帰化候補は「社内資料として省略」されており内容不明。
- p.23 脚注の「アルゴリズムマーケティング」の図 4-33 を元にしているとの記載があるが、原典は本資料だけでは確認不可。
- transcript なし。