# ExaScale Computing Study - Chapter 1: Executive Overview
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## 要約
本章は報告書全体の要旨である。研究会(Exascale Working Group)は 2007 年の夏から秋にかけて、主流の計算技術が 2015 年ごろまでに計算能力 1,000 倍を許すかを調べた。許さないなら、主要課題と追加研究の領域を特定する責務も負っていた (p.1)。
結論は、現行技術の傾向だけでは足りない主要課題が 4 つあり、新規研究が不可欠というものである (p.2)。勧告は 4 つの研究の柱の共同開発と、3 段階の研究計画にまとめられる (p.2-3)。
## 主要概念
- **エクサスケール計算(Exascale computing)**: 語は高性能の浮動小数点スーパーコンピュータ(exaflops 機)に限らず、全域の性能水準を対象とする (p.1)。
- **3 種の系**: 1,000 倍の対象は次の 3 つである (p.1)。
- データセンター規模: ペタフロップス級の 1,000 倍。数値計算集約に限らない。
- 部門規模: 近い将来のペタスケール機を数ラックに縮小したもの。
- 組込み: ペタスケール機の 1 ラック相当のテラスケールを、数チップ・数十 W に縮小したもの。
- 3 種で技術は似ても、実装ごとの技術構成とアーキテクチャは異なりうる。本研究はそこを設計せず、障壁の理解に留める (p.1)。
- **スケーラビリティスライス(scalability slice)**: 複数の技術を統合した、完全システムではないが実配備への移行に説得力を持つ端から端までの断片 (p.3)。
- **長い柱(long poles)**: 課題の中で先に解決・実証すべき部分 (p.3)。
## 主要主張
### 4 つの主要課題 (p.2)
- **エネルギー・電力**: 4 つのうち最も広範である。成熟した技術のどの組合せでも、どの種別でも所望の電力水準に届かない。基礎演算の電力より、データ移動(チップ内、同一パッケージ内のチップ間、ラック間)と階層メモリへの格納の電力の方が解きにくいかもしれないとする。
- **メモリ・ストレージ**: 主記憶(現在は DRAM)と二次記憶(現在は回転ディスク)の容量・速度・電力が課題になる。
- **並行性と局所性**: クロックの頭打ちと単一スレッド性能の終焉により、プログラマから見える並列性だけが性能向上の手段になる。データセンター級では、効率的な利用にアプリケーションが 10 億本(a billion)超の別々のスレッドを支える必要が出うる。
- **レジリエンス(resiliency)**: 故障や性能変動の下で運転を続ける課題である。部品数の爆発的増加と、低電圧の先端技術に伴うデバイスの環境感度・新種の経年劣化に由来する。
### 勧告の構造 (p.2-3)
勧告は次の 4 つの研究の柱を共同開発する形をとり、強い学際性を要する。
- ハードウェア技術とアーキテクチャ
- アーキテクチャとプログラミングモデル
- アルゴリズム・アプリケーション・ツール・ランタイム
- レジリエントなシステム設計
電力が第一義的に重要でも、低電力デバイスだけの研究ではシステム全体の電力問題は解けない。デバイス・回路・マイクロ/システムアーキテクチャを共最適化し、相互接続へ絶えず明示的に注意を払うべきだとする (p.3)。メモリ密度の向上は部品数の減少で信頼性を助け、駆動するオフチップインタフェースとメモリコントローラ回路の減少で電力も下げうる (p.3)。
### 3 段階の研究計画 (p.3)
2015 年配備に間に合わせるには、技術成熟度から見て次の 3 段階が必要とする。
1. システムアーキテクチャの探索
2. 技術の実証
3. スケーラビリティスライスのプロトタイピング
### 章の構成案内 (p.3-4)
章末は後続章を案内する。第 2 章は系の種別と属性の定義、第 3 章は過去の傾向と先行研究、第 4 章は今日の計算システムの構造と歴史データ、第 5 章はアプリケーション特性、第 6 章は関連技術のロードマップ、第 7 章は既知技術の外挿で技術の穴を特定する内容、第 8 章は課題・研究の柱・段階的開発の要約である。
脚注 1 は、「Exa」がインターネット総帯域やオンネット記憶の議論で国民的な語になりつつあると述べ、2008-02-22 の Wall Street Journal を挙げる。
## 未解決の問い
- 4 課題をどの新規研究で埋めるか。詳細は第 8 章に委ねられる (p.2-4)。
## 関連
- ハブ: [[ExaScale Computing Study - Technology Challenges in Achieving Exascale Systems]]
- 委託元: [[DARPA]]、編者: [[Peter Kogge]]
- 次章: [[@2008__DARPA__ExaScale Computing Study - Chapter 2 Defining an Exascale System]]