# William Morris
19世紀イギリスのデザイナー・社会思想家。美術批評家ジョン・ラスキンの教え子。1851年ロンドン万博「水晶宮」に陳列された大量生産品の粗悪さに幻滅し、産業革命以前の手仕事に回帰する「アーツ&クラフツ運動」の中心人物となった。1861年設立の「モリス・マーシャル・フォークナー商会」では壁紙・家具・ステンドグラスをすべて手仕事の原則で制作し、分業制による設計者と製造者の分離を「産業システムの根本的な欠陥」と見なした。1859年には自邸「レッド・ハウス」を建築家フィリップ・ウェッブに設計させ、素材の誠実さを体現する建築とした。
## モリスのパラドックス
「すべての人が美しく良く設計されたものを楽しむ権利がある」と信じた社会主義者だったが、手仕事による高品質な制作は必然的に高価格を意味し、モリスの壁紙や家具を実際に購入できたのは彼が嫌悪した富裕層だけだった。同志 C.R. アシュビーの職人ギルドも近代的製造方法との競争に敗れ、モリス自身も晩年には機械の助けを借りた仕事を委託した。[[@2026__NewsPicks__ソフトウェアの工業化とアーツ&クラフツ運動]]([[広木大地]])はこのパラドックスを「職人が手で書いた、隅々まで理解されたコード」という理想がソフトウェア需要のスケールの前で成立しない構造的限界の類比として用いている。
## 出典
- [[@2026__NewsPicks__ソフトウェアの工業化とアーツ&クラフツ運動]](2026-03-24)