# UNDERSTAND ## 概要 UNDERSTAND は、人が Tea Ceremony(ヒマラヤの茶の儀式)のような問題の内部表現を生成する過程、すなわち問題を理解する過程を模擬する計算機プログラムである。プログラムとその記述は John R. Hayes と Herbert A. Simon が共同で作成し、Simon の *Models of Thought*, vol. 1 の chapters 7.1〜7.3 で論じられている。(Source: [[@1996__MITPress__The Sciences of the Artificial - Chapter 4 Remembering and Learning - Memory as Environment for Thought]] "A Program that Understands" p.95) ## 動作 2 つの段階で進む。 1. **解析**: 問題の指示文を解析する。語の線形な列から、含意されている句と節の階層構造を推論する作業であり、他の既存の構文解析プログラムと同様のごく正統な仕方で行う。 2. **構成**: 解析済みの文を調べ、どんな対象と対象集合が言及されているか、対象のどんな性質が述べられ、対象間にどんな関係があるか、どの述語と関係が状態を記述しどれが手を記述するか、目標状態は何かを見出す。そのうえで状態を表現する形式を構成し、ある状態を別の状態へ変える合法手を作るためのプログラムを生成する。 (Source: ch.4 p.95) Tea Ceremony では、状態を「3 人の参加者のリスト(各参加者は自分が行っている作業のリストで記述される)」として表現でき、別のリストが 5 つの作業の高貴さによる順序を示す。合法手のプログラムは、ある参加者(donor)のリストから作業を削除して別の参加者(donee)のリストに加える。その際、その作業が donor と donee のリストにある他の作業より高貴でないことを検査する。(Source: ch.4 p.95-96) ## 射程と限界 - リスト構造はあらゆる種類の記号情報を表現する一般的な能力を持つため、UNDERSTAND のようなプログラムは原理的に、理解に現実世界の知識を要しないパズル的問題のほぼどんな種類についても表現を構成できる。そうした問題はどれも対象・その関係・関係の変化として記述できるからである。(Source: ch.4 p.96) - ただし Simon 自身が脚注で、実際に実装された UNDERSTAND は、その一般性を完全に達成するのに必要な機関のプロトタイプにすぎないと注記している。(Source: ch.4 p.96 脚注 9) - 意味の豊かな領域には届かない。そこでは領域の予備知識が必要であり、記憶中のスキーマとの照合を行う ISAAC(Gordon Novak)の側の能力が要る。より高度な理解体系は両者を兼ね備えるだろう。(Source: ch.4 p.97-98) ## 学習体系としての側面 UNDERSTAND は、情報の獲得と技能の獲得という 2 種類の学習をともに例示する。構成する状態記述は新しい知識であり、生成する演算子は新しい技能である。(Source: ch.4 "Learning" p.100-101) また、UNDERSTAND が作る状態記述は、第 3 章で心的な像として提案された記号構造の好例でもある。(Source: ch.4 p.98) ## 関連 - 概念: [[問題の理解と表現]] / [[情報処理システムとしての人間]] - 人物: [[Herbert A. Simon]] - 実体: [[EPAM]] / [[BACON]] - 章: [[@1996__MITPress__The Sciences of the Artificial - Chapter 4 Remembering and Learning - Memory as Environment for Thought]] ## 出典 - Herbert A. Simon, *The Sciences of the Artificial*, third edition, The MIT Press, 1996, Chapter 4, pp. 94-101.