# Signal
## 概要
Signalは、匿名を名乗る開発者Moxie Marlinspikeが立ち上げた無料のメッセージングアプリで、エンドツーエンド暗号化メッセージングの標準を確立し、その暗号機構(→ [[Signalプロトコル]])はWhatsAppを含む競合製品にも採用された。*Security Engineering* 第3版第20章によれば、Signalはアドレス帳をサーバに渡さずに連絡先がSignalユーザーかどうかを調べる**プライベート連絡先発見**をSGXエンクレーブで実装しており、初期のバージョンは電話番号のハッシュを比較する方式だったが、Christof Hagenらが100アカウントで25日かけて米国の5億件超の電話番号を走査し250万人のSignalユーザーを特定できたことを受けて、エンクレーブベースの方式に移行した。Signalは2016年の米大統領選後や、2020年の欧州委員会が外交公電を含むサーバの侵害を受けて職員に利用を命じたことなどを受けて実利用が拡大した一方、2020年7月にPINの設定を強制するアップデートが行われた際には、匿名の開発者一人が数百万人の利用者を左右できる公共インフラのガバナンスのあり方について論争を呼んだ。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 20 Advanced Cryptographic Engineering]] ch.20 §20.3, §20.6)
## 関連
- ソース: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 20 Advanced Cryptographic Engineering]](§20.3, §20.6)
- 概念: [[Signalプロトコル]](本アプリが実装する暗号プロトコル) / [[トラステッド実行環境(TEE)]](プライベート連絡先発見が依拠するSGXエンクレーブ)
## 出典
- Ross Anderson, *Security Engineering: A Guide to Building Dependable Distributed Systems*, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2020, Chapter 20, §20.3, §20.6.