# STS (Standard Transfer Specification) ## 概要 南アフリカで開発された、事前払い電力メーター向けの鍵管理・トークンのオープン規格。ネルソン・マンデラ政権下での大規模な住宅電化政策(住所も信用履歴も持たない世帯への電力供給)を背景に、著者 Ross Anderson が開発プロジェクトに直接コンサルタントとして関与した。2019年12月時点で98か国・6800万台のメーターに採用され、南アフリカだけで推定1000万台が稼働している。世界最大級の導入はインドネシアの3500万台(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 14 Monitoring and Metering]] ch.14 §14.2, §14.2.1)。 顧客はマジックナンバー(20桁)・磁気ストライプ付きカード・スマートカード等のトークンを購入し、メーター固有の鍵で暗号化された「メーター12345 – 50KWh分配せよ」といった命令として伝達する。近隣単位のvend key `KV` からメーター固有鍵 `KID = {ID}KV` を導出する鍵派生方式を採り、これは第4章で扱われた駐車場アクセス装置の鍵派生技法と同一である。2007年以降はインターネット・携帯電話経由のオンライン販売にも対応した(Source: 同上 ch.14 §14.2.2)。 規格の設計時点(1990年代初頭)では20桁トークンの66ビットに収めるため日付カウンタの余裕を切り詰めており、2024年にロールオーバーする制約を抱える。2019年時点で6000万台規模に達したメーター群の鍵更新には数億ドル規模のコストが見込まれ、長期持続可能性設計の教訓として著者自身が言及している(Source: 同上 ch.14 §14.2.3)。 ## 関連 - source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 14 Monitoring and Metering]] — 本entityの初出ソース - 概念: [[計量システムの脅威モデル]] - 実体: [[Ross Anderson]] — 開発プロジェクトのコンサルタント ## 出典 - Ross Anderson, *Security Engineering: A Guide to Building Dependable Distributed Systems*, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2020, Chapter 14 (§14.2, §14.2.1, §14.2.2, §14.2.3).