# Niklaus Wirth
現代プログラミング言語の礎を築いた主要な立役者の一人。1960年代から70年代にかけてALGOL、Euler、Modula、Modula-2といった言語の設計に携わった。もっとも代表的な業績はPascalであり、学生にブロック構造化プログラミングを教えるために設計された。Wirthが携わった商用言語(ALGOL 68など)はあまりに巨大かつ複雑で「誰もその全貌を理解できない」代物になっており、それに対するWirthの回答がPascalだったとされる。Wirthは、Pascalがプログラミングの学習用として、また効率的に実装できる言語として、十分にシンプルであるべきだと強く主張した。(Source: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 4 システム設計における判断]] §4.3)
## 『ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること』における役割
米国計算機協会(ACM)の学会誌 *Communications of the ACM* 2024年3月号に掲載されたWirthの追悼コラムから、Larry Petersonは次の一節を引く。「Wirthの絶対的な哲学は、システムとはシンプルかつ効率的で『エレガント』であるべき、というものだった。彼は、システムにおける機能とオーバーヘッドの双方を削減することを強硬に主張した(『無慈悲なまでに』と評する同僚もいたほどだ)。欲しかった機能を削ぎ落とされた同僚や学生たちは、しばしばフラストレーションを募らせることになった。」Petersonはこの哲学に強い親近感を示し、Wirthを「エレガンス」という過小評価されがちなシステム要件を体現する人物として位置づける。Wirthが「シンプルさ」と「教育」に関連性を見出したことも高く評価されており、他者に明確に記述し説明できるようになっていないシステムは、あるべきシンプルさとエレガンスを備えていない、という帰結が導かれる。(Source: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 4 システム設計における判断]] §4.3)
第4章の章末まとめでは、Wirth、Dijkstra、Clark、Cerf、Kahnといった人物が並べて挙げられ、彼らの名前がよく知られている理由の一つは、システム構築の現場で優れた判断をしてその経験を他者に伝えようと努めたことにあるとされる。(Source: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 4 システム設計における判断]] §4.5)
## 関連
- 概念: [[エレガンス(システム設計)]]
- ソース: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 4 システム設計における判断]]
## 出典
- Communications of the ACM, "In Memoriam: Niklaus Wirth", Communications of the ACM, March 2024.
- Kathleen Jensen and Niklaus Wirth, "Pascal User Manual and Report", Springer-Verlag, 2nd edition, 1978.