# Network Virtualization Platform (NVP)
NVP(Network Virtualization Platform)は、[[Nicira]](2012年に [[VMware]] に買収)が開発し数百の本番環境に展開してきたネットワーク仮想化プラットフォームである。数万の仮想ネットワークと仮想マシンをホストしてきた実績を持ち、その設計と実装は [[@2014__NSDI__Network Virtualization in Multi-tenant Datacenters]](Koponen et al., NSDI 2014)で報告されている。買収後の VMware NSX は NVP の直接の後継製品である。(Source: [[@2014__NSDI__Network Virtualization in Multi-tenant Datacenters]])
## アーキテクチャ
NVP はネットワークハイパーバイザーとして、サービスプロバイダの物理転送インフラとテナントのコントロールプレーンの間に介在するソフトウェア層であり、テナントに制御抽象化(論理データパスの設定)とパケット抽象化(本来のネットワークと同じスイッチング・ルーティング・フィルタリング)を提供する。論理データパスは各ホストの [[Open vSwitch (OVS)|Open vSwitch]] にほぼ完全に実装され、ホスト間の IP トンネルを介して転送されるため、物理ネットワークからは通常の IP トラフィックにしか見えない。フォワーディング状態の計算には宣言的言語 nlog(約1200 declaration・900テーブル)による増分計算を用い、コントローラクラスタは論理コントローラ/物理コントローラの二層構造に分割してスケールさせる。基盤には [[Onix]] 分散コントロールプラットフォームを用いる。(Source: [[@2014__NSDI__Network Virtualization in Multi-tenant Datacenters]] §2, §4, §5)
## 性能
3,000台の仮想化ホストパーバイザー・63,000論理ポート・7,000論理データパス規模のシミュレーションで、コールドスタート(全コントローラクラッシュからの復旧)には最悪ケースで約1時間を要するが、ステディステートでの構成変更(10論理ポートの追加・削除)は0.5%未満の負荷増加にとどまる。トンネルカプセル化には STT(Stateless Transport Tunneling)を用い、既存 NIC の TSO オフロードを活かして非トンネル時とほぼ同等のスループット(9.3Gbps)を達成する。(Source: [[@2014__NSDI__Network Virtualization in Multi-tenant Datacenters]] §6)
## ネットワーク自動化のユースケースとしての採用(第11章、二次資料)
[[Nicira]] の買収以前の顧客は、著者の記憶する限りすべて何らかのネットワーク自動化プロジェクトのために NVP を利用していた。典型的なユースケースは開発者向けクラウドのセルフサービスポータルであり、複数 VM を特定のネットワークトポロジーで相互接続した分散環境を、開発者が VM とネットワークリソースを申請するだけで得られる仕組みだった。Nicira の中央集権型 SDN コントローラが外部に公開する API をポータルから呼び出せるようにしたことが、この自動化を可能にした。(Source: [[Nicira]] 経由、[[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 11 ネットワーク管理は今やクールな仕事だ]] ch.11 §11.6)
## 関連
- [[Onix]] — NVP の基盤となる分散コントロールプラットフォーム
- [[Teemu Koponen]] — NVP 論文の筆頭著者
- [[Nicira]] / [[VMware]] — NVP を開発・展開した組織
- [[Open vSwitch (OVS)]] — NVP のデータプレーン実装先
- [[OpenFlow]] — NVP がコントローラ-スイッチ間で用いるプロトコルの一つ
- 概念: [[ネットワーク仮想化]] / [[ソフトウェア定義ネットワーク]]
## 出典
- [[@2014__NSDI__Network Virtualization in Multi-tenant Datacenters]](設計・実装・評価の一次資料)
- [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 11 ネットワーク管理は今やクールな仕事だ]](ch.11 §11.6、ネットワーク自動化ユースケースとしての採用実態、二次資料)