# Narayan Desai
Google に所属する SRE。「Nora」という非公式名で登壇することがある(Twitter: @nldesai)。SLO の精度・ユースケース・限界に関する体系的な分析で知られ、SREcon での講演を通じて SLO 設計の重要知見を発信してきた。
## 主要貢献
- **SLO のユースケース分類**: Ongoing / Design / Incident Response / Bounding the Tail の 4 象限フレームワークにより、SLO がプロバイダ・コンシューマ双方に対して異なる役割を果たすことを明確化した。
- **SLO の暗黙的仮定の言語化**: 独立リクエスト・均一重要度・均一エラー分布という 3 仮定を明示化し、これらが成り立たないケース(低 QPS ワークロード、顧客固有エラー、ユーザー提供 SQL など)を体系化した。
- **テール管理への SLO 適用の危険性**: SLO によるテール行動管理が「サンドバッギング」(エラーバジェット過剰積立による日常劣化の見えにくさ)を引き起こすことを論じ、テール対策としては DIRT・ポストモーテム・疎結合化を推奨した。
- **SLO Algebra の未解決問題の提示**: 複数サービスの SLO を合成して上位サービスの SLO を予測する体系的手法が存在しない問題を明示し、コミュニティへの課題提起を行った。
- **定常性による信頼性モデル化**: Goldilocks Reliability(閾値設定アプローチ)の 4 つの荷重仮定を分析し、代替として[[定常性モデル]](各次元に定常性仮定を付与し逸脱をシグナルとする)を提唱した(SREcon21)。
- **2σ手法の実装**: [[定常性モデル]]の数理実装として[[2σ手法]](ワークロードコホート分割+正規分布 z スコアによる較正不要・結合可能なパフォーマンス分析)を発表(SREcon22 Americas、Brent Bryan との共著)。GCP Data Analytics の本番適用事例で従来監視より 18 時間先行する障害検知を実証した。
## 登壇歴(wiki に取り込み済み)
- SREcon19 EMEA (2019-10-03, Dublin): [[@2019__SREcon19EMEA__The Map Is Not the Territory - How SLOs Lead Us Astray, and What We Can Do about It]]
- SREcon21 (2021-10-14, Virtual): [[@2021__SREcon21__Beyond-Goldilocks-Reliability]]
- SREcon22 Americas (2022-03-16): [[@2022__SREcon22Americas__Principled Performance Analytics]]([[Brent Bryan]] と共著)
## 書籍への寄稿
- 『SREをはじめよう』第2章「SREの心構え」([[@2024__OReillyJapan__SREをはじめよう - Chapter 2 SREの心構え]])で著者 David N. Blank-Edelman の取材に応じ、2つの見解を寄せた。(1) エラーとの関係について「(言い換えて)ある意味ではエラーは社会的な構成物にすぎない」と述べた。(2) SREのジェネラリスト志向について「専門化に対するヘッジ」と特徴づけた。両発言とも、Desai自身がSREconで体系化してきたSLO・信頼性測定論とは異なり、SREという職能・心構えそのものへの省察である。
- 『SREをはじめよう』第11章「成功のための組織的要因」([[@2024__OReillyJapan__SREをはじめよう - Chapter 11 成功のための組織的要因]])の締めくくりで、著者はDesaiが2017年SREcon EMEAで行った講演「Care and Feeding of SRE」を、SREと組織の適合について考える上で自身にとって形成的なものだったと紹介する。この講演でDesaiはGoogleでSREが成功した(あるいは可能だった)要素を分析し、著者はそこから「組織の価値観がSREの成功のカギである」という本章全体を貫くメッセージを引き出したと述べる。第2章の直接取材とは異なり、こちらは公開講演の引用であり、本人への新規取材ではない。
## 関連
- 所属: [[Google]]
- 概念: [[サービスレベル目標]] / [[エラーバジェット]] / [[定常性モデル]] / [[2σ手法]] / [[SREの心構え]] / [[SRE組織変革]]
- 書籍寄稿: [[@2024__OReillyJapan__SREをはじめよう - Chapter 2 SREの心構え]] / [[@2024__OReillyJapan__SREをはじめよう - Chapter 11 成功のための組織的要因]]