# Mifare Classic
## 概要
Mifare Classic は NXP Semiconductors が販売する非接触型スマートカードで、Crypto-1 という独自暗号を用いる。Crypto-1 の鍵長は1990年代の暗号輸出規制の結果として48ビットに制限されており、加えて弱い乱数生成器や、エラーメッセージ経由でキーストリーム材料が漏れるプロトコル上の欠陥も抱えていた。主に交通乗車券として使われたが、数万棟規模の建物の入退室管理システムにも採用されていた(Source: ch.13 §13.2.5)。
2007年に Karsten Nohl らが部分的にリバースエンジニアリングし、翌2008年にナイメーヘン大学の Flavio Garcia らのチームが完全解析を完了し、オランダ全国の交通乗車券システムを破れることを示す論文を発表した。NXP はこの研究の差し止めを裁判所に求めたが失敗した。この解読の結果、交通系では不正乗車検知システムの追加導入が必要になり、入退室管理では鍵カードの複製が容易になった。ある販売者はコーヒーカップに非接触リーダーを仕込み、ランヤードで下げた鍵カードを胸の高さで読み取って複製する手口も紹介されている(Source: ch.13 §13.2.5)。
NXP はカードにデジタル署名を追加する対策や、Crypto-1 の実装不備を修正した "hardened" classic カード、さらに2鍵トリプルDESを用いる DESfire カードを後継として投入したが、hardened classic は暗号自体が弱いため再度破られ、DESfire も David Oswald と Christof Paar によるタイミング攻撃が発見された。この経緯は NXP が顧客を新製品に段階移行させることでロックインを維持した事例として言及される(Source: ch.13 §13.2.5)。48ビット鍵という設計上の制約自体は、本書第26章 §26.2.7 で扱われる1990年代の暗号輸出規制(crypto wars)に由来する(Source: ch.13 §13.2.5)。
## 関連
- [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 13 Locks and Alarms]] — 電子錠の脆弱性事例として言及
- 関連章: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 26 Surveillance or Privacy?]](§26.2.7、48ビット鍵制限の背景となる暗号輸出規制)
## 出典
- Ross Anderson, *Security Engineering: A Guide to Building Dependable Distributed Systems*, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2020, Chapter 13, §13.2.5.