# Mastodon
Mastodon は、W3C標準の ActivityPub プロトコルを用いた非集権型(連合型)ソーシャルネットワークであり、同時にその代表的なサーバソフトウェア実装、および対応クライアントアプリケーションの名称でもある。2022年後半、多くのユーザーが Twitter(現 X)を去って Mastodon へ移行した際の代表的な移行先として言及され、著者(Bruce Davie)自身も aus.social インスタンスのユーザーとして二年以上過ごしている。(Source: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 6 集権化と非集権化]] ch.6 §6.4)
## 組織としての非集権性
Mastodon サーバの各インスタンスは、それぞれ独立した個人・グループによって運営されており、サービスの技術選定・モデレーションポリシーの両方を各インスタンスが独自に決定する。技術的には多数のマイクロサービスからなる巨大な分散システムでありながら組織としては中央集権的な Twitter とは対照的な位置づけとして描かれる。ボランティアのモデレーター採用など、インスタンス運営には技術面・ポリシー面双方の課題が山積しているとも言及される。(Source: ch.6 §6.4)
## ユーザー分布とジップ分布
Mastodon のインスタンスごとのユーザー数分布はジップ分布に近い。2022年末時点ではユーザーの97%が上位5インスタンスに集中していたが、著者が2025年4月に instances.social のデータで再調査したところ、全ユーザーの85%が上位30インスタンス(全インスタンスの約0.2%)に所属していることが判明した。著者はこの偏りを非集権化の失敗ではなく、むしろ数千のアクティブインスタンスが存在し新規インスタンスも日々立ち上がっている状況を踏まえ、非集権化が機能している証左と捉えている。著者のホームインスタンス aus.social は約25,000ユーザーでユーザー数80位前後、Systems Approach のアカウントを置く discuss.systems は3,500人強でおよそ250位である。(Source: ch.6 §6.4 図6.2)
## ホスティングインフラの分散度
Mastodon インスタンスをホストする AS(自律システム)を見ると、OVHcloud と Cloudflare が最多でそれぞれ3,000インスタンス以上をホストするが、いずれも全体の10%程度にとどまる。より小規模なASで動くインスタンスの合計は約11,000にのぼり、データセット全体で約3万のインスタンスが存在することから、インフラ面でも一定の非集権化が実現していると評価される。(Source: ch.6 §6.4 図6.3)
## インスタンス間移行の容易さ
ActivityPub の設計により、ユーザーはフォロー・フォロワー関係を維持したまま別インスタンスへ移行できる。これは Twitter のような従来型ソーシャルネットワークを離れる際の大きな障壁(人間関係の喪失)が存在しないことを意味し、ユーザーが不本意なインスタンスにロックインされ続けることを防いでいる。(Source: ch.6 §6.4)
## 他の ActivityPub 実装との関係
Mastodon 以外にも GoToSocial・Takahē といった ActivityPub サーバ実装や、画像共有の Pixelfed・書評共有の BookWyrm のような ActivityPub ベースの別サービスが登場しており、Mastodon はそれらと共通のプロトコル基盤(ActivityPub)を持つ実装の一つという位置づけにある。(Source: ch.6 §6.4)
## 出典
- Larry Peterson・Bruce Davie 著, 進藤資訓 訳, 『ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること』, ラムダノート, 2026, 第 6 章 §6.4.