# M.D. McIlroy
## このソースでの役割
1968年の NATO Garmisch 会議で「大量生産されたソフトウェア(Mass-produced software)」を参加者に訴えた人物として Mahoney が引用する。「我々は間違いなく後進的な技法でソフトウェアを生産している。ハードウェア屋との対決で割を食うのは、彼らが工業家で我々が小作人だからだ」と述べ、ソフトウェア生産の産業化度は後進的な建設産業よりも下にあるとし、大量生産技法をソフトウェアに適用する可能性を検討すると宣言した。
McIlroy は「大量生産技法」の力点は「技法」にあり単純な複製ではないと注記し、アメリカ機械工具産業の発想 ── サブアセンブリ・互換部品(≒モジュール性)・機械工具(≒アセンブラ/コンパイラ)── がソフトウェアに転用可能だとする一方、標準部品のメーカーやカタログ、個別仕様での部品発注に相当するものはソフトウェアに存在しないと限界も認めた。Mahoney はこの発言を、ソフトウェア工学思考にアメリカ機械工学・大量生産の言語が持ち込まれた典型例として位置づけ、モジュラープログラミング → オブジェクト指向プログラミングという後年の展開も、McIlroy が示した「互換部品による生産」という同一モデルの継続と分析する。(Source: [[@1990__CWIQuarterly__The Roots of Software Engineering]] §6)
## 関連
- source: [[@1990__CWIQuarterly__The Roots of Software Engineering]]
- concept: [[ソフトウェア工学の起源]]
## 出典
- M.D. McIlroy, "Mass Produced Software Components", Garmisch NATO 会議(1968)発表。Peter Naur, Brian Randell, J.N. Buxton (eds.), *Software Engineering: Concepts and Techniques* (NY: Petrocelli/Charter, 1976) 所収。
- 上記は Michael S. Mahoney, "The Roots of Software Engineering", *CWI Quarterly* 3, 4 (1990), 325–334 経由での孫引き。