# Latanya Sweeney
## 概要
Latanya Sweeney(Dr. Sweeney)は、ハーバード大学政府部門の研究者で、匿名化されたデータの再識別可能性を実証した研究で知られる。マサチューセッツ州知事だった William Weld の「匿名化」された健康記録を、性別・年齢・郵便番号(有権者記録から自由に入手可能)の3情報だけで特定できることを実証した。さらに、性別・年齢・郵便番号の3情報だけで全米の87%の人を一意に特定できることを示した。(Source: [[@2024__OReillyJapan__信頼性の高い機械学習 - Chapter 2 データマネジメント]] §2.1)
『信頼性の高い機械学習』第2章は、この研究を「匿名化はとても困難です」という補足コラムで取り上げ、AOLの検索ログ流出事件(2006年、Michael Barbaro と Tom Zeller Jr の報道)と並べて、仮名化・匿名化されたデータは完全に匿名化されていないデータと同程度に危険でありうるという警句の根拠として引用する。(Source: [[@2024__OReillyJapan__信頼性の高い機械学習 - Chapter 2 データマネジメント]] §2.1)
『Security Engineering』第11章は、Weldの記録特定を1997年の博士論文の成果として位置づけ、米国医療財政庁(HCFA)の「公開利用」ファイルが商用データベースとの相関で再識別できることを示し、生年月日と郵便番号という2つの準識別子だけで全米居住者の69%を特定可能と実証したと報告する(3準識別子で87%とする『信頼性の高い機械学習』の数値とは識別子の数が異なる)。同章はさらに2017年の研究として、カリフォルニアの住宅50軒対象の公衆衛生調査(研究文献で数百回引用済み)について、25%を氏名で、28%を住所で再識別でき、生年を10年幅に丸めた後でも住居種別等の副次情報から3%を氏名で、18%を住所で特定できることを示したと報告する。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 11 Inference Control]] §11.2.4)
## 関連
- 概念: [[データのプライバシーと同意]](Sweeneyの再識別研究が、DDIAの「プライバシーは決定権の移転」という抽象論を技術的に裏付ける具体例として引用される) / [[データの保守性]] / [[匿名化の失敗と再識別]](第11章が報告する1997年PhD論文・2017年追試の詳細)
- 書籍: [[信頼性の高い機械学習]] / [[Security Engineering - A Guide to Building Dependable Distributed Systems]]
## 出典
- Cathy Chen ほか, 『信頼性の高い機械学習 ―SRE 原則を活用した MLOps』, オライリー・ジャパン, 2024, 2 章(§2.1).
- Ross Anderson, *Security Engineering: A Guide to Building Dependable Distributed Systems*, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2020, Chapter 11, §11.2.4.