# InfluxDB InfluxDB は InfluxData 製の時系列データベースで、LSMツリー([[LSMツリー]])の変種である Time-Structured Merge(TSM)ツリーをストレージエンジンに採用する。挿入データはまず Write-Ahead Log(WAL)に書き込まれ、次にインメモリのキャッシュへコピーされインデックスも保持される。永続化は不変シャード(各シャードが対応する期間のデータを保持)によって行われる。データ点は timestamp・value・1つ以上のタグ(key-value)からなり、InfluxDB は timestamp とタグでインデックスする。データ型ごとの圧縮アルゴリズムとして、整数には ZigZag エンコーディング、浮動小数点には Gorilla アルゴリズム、タイムスタンプインデックスには simple8b、真偽値にはビットパッキング、文字列には snappy アルゴリズムを用いる(Source: [[@2026__arXiv__Six Dimensions of Benchmarking Time-Series Databases]] §3.2)。 ## SciTSv2 ベンチマークにおける性能特性 [[@2026__arXiv__Six Dimensions of Benchmarking Time-Series Databases]] の評価(v2.1.1、Line protocol)によれば: - **取り込み**: 単変量では小バッチ約1 MB/sから大バッチ約10 MB/sの範囲で、CPU使用率が高い(75%超に達することがある)。これはTSMファイルに書き込む前に値をソートするため。多変量では6変数で26.47 MB/s(正則)まで増加した後に鈍化し、24変数で29.12 MB/s(正則)にとどまる。 - **ディスク使用**: CHと並んで最も低いディスク書き込み増幅率(1変数20.71倍→24変数6.38倍(不規則))を維持する。 - **クエリ**: タグ(sensor_id)ベースのインデックスは中程度のカーディナリティには効率的だが、カーディナリティが増えるとレイテンシが増加する。多変量全取得クエリ(Q1-B)では1変数23.69 msから24変数698.3 msへ指数的に増加し、4TSDB中最も悪化が大きい——タグベースインデックスが高次元ルックアップに不向きであることを露呈する。 - **混合ワークロード**: クエリレイテンシが挿入強度に正比例して増加し、取り込みとクエリが共有資源を奪い合うことを示す。CPU使用率は最大98%に達し(4TSDB中最高)、その大半(42.6〜95%)はユーザー空間で消費される。 (Source: [[@2026__arXiv__Six Dimensions of Benchmarking Time-Series Databases]] §5, §6) ## TS-Benchmark(ICDE 2021)における性能特性 [[@2021__ICDE__TS-Benchmark - A Benchmark for Time Series Databases]](V1.7、風力発電ウィンドファーム監視シナリオ)の評価によれば、InfluxDB は TSM ツリー設計により書き込み・読み取りの両面で強みを示す。データロードでは両データセットで最良の圧縮率(68〜69%)を達成する(データ型ごとに異なる圧縮アルゴリズムを使い分けるため)。データ注入ではデバイス数(データ量)を増やす実験で両データセットとも最良のスループットを示すが、スレッド数(ファーム数)を増やす実験ではデータセット 1 の小規模〜中規模並行度でのみ優位で、512 スレッドでは TimescaleDB に上回られる。注入が飽和に近づくと CPU 使用率がほぼ 100% に達する。クエリ性能では、時間範囲でファイルを絞り込んだ後 TSM インデックスで二分探索する設計により、フィルタ付きクエリ(Query 1.1・1.2・2.1)で絶対的な優位性を示すが、フィルタなしのフルスキャン(Query 3)は最も遅い(Source: [[@2021__ICDE__TS-Benchmark - A Benchmark for Time Series Databases]] §IV-D, §IV-E, §IV-F)。 ## 関連 - ソース: [[@2026__arXiv__Six Dimensions of Benchmarking Time-Series Databases]] / [[@2021__ICDE__TS-Benchmark - A Benchmark for Time Series Databases]] - 概念: [[時系列データベース]] / [[時系列データベースベンチマーク]] / [[LSMツリー]]