# Homa
Stanford UniversityのJohn Ousterhoutが率いる研究チームが開発したトランスポートプロトコル(SIGCOMM 2018)。受信者主導(receiver-driven)でネットワーク優先度を用いる低レイテンシ設計が特徴とされる。『ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること』第7章は、Homaを1980年代半ばのSprite分散OS(Ousterhoutらが開発した、高速なRPCメカニズムを中核に据えた数少ない分散OSの一つ)におけるRPCメカニズムが現代に「転生」したものと位置づけている。フロー中心の輻輳制御というTCPの前提そのものにデータセンターのワークロードという文脈で異議を唱えた点が、Homaの最大の貢献だとLarry Petersonは評価する。(Source: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 7 TCPの考古学]] §7.5)
## 位置づけ
TCP・RPCをめぐる議論の中で、HomaはQUICと並ぶ「第二の設計アプローチ」――HTTPの5つの操作(GET/POST/PUT/PATCH/DELETE)に限定されない、データセンター向けに最適化されたリクエスト/リプライ型トランスポート――の代表例とされる。QUICがユーザー空間で動作することが多いのに対し、Homaはカーネル空間で動作することで遅延改善効果を得ている。この差異ゆえに、Homaの遅延最適化技術をQUICへ後付けすることがHomaをカーネル内でネイティブに実行するよりも優れているかは未確定な課題として本章に残されている。(Source: [[@2026__LambdaNote__ネットワークシステムについて語るときに我々の語ること - Chapter 7 TCPの考古学]] §7.5, §7.6)
## 関連
- [[John Ousterhout]] — 開発チームを率いる研究者。TCP代替のポジションペーパーでも知られる。
- [[Stanford University]] — 開発元。
- [[トランスポートプロトコル設計]] — TCP対RPCの設計軸を扱う概念。
- [[QUIC]] — 同じくRPCパラダイムを実装する第二の候補として対比される。
- [[データセンター輻輳制御]] — Homaのフロー中心輻輳制御への異議は、この概念が扱う専用アルゴリズム群と同じ問題領域に属する。