# Google Chrome ## 概要 Google Chrome は Google が開発するウェブブラウザである。本ページは第7章「Design for a Changing Landscape」が扱う**HTTPS移行の文脈**と、第19章「Case Study: Chrome Security Team」が扱う**セキュリティチームの組織的な取り組みの文脈**の両方を記録する。(Source: [[@2020__OReilly__Building Secure and Reliable Systems - Chapter 7 Design for a Changing Landscape]] ch.7 §Example: Increasing HTTPS usage; [[@2020__OReilly__Building Secure and Reliable Systems - Chapter 19 Case Study - Chrome Security Team]] ch.19 §Background and Team Evolution) ## HTTPS移行における役割 Chromeチームは、Let's Encryptや他の組織と協調して、この10年間でウェブ全体のHTTPS採用を劇的に進める中心的な推進者の一つだった。取り組みの特徴は以下のとおり。 - **データ駆動の戦略**: 現状のHTTPS利用率調査による対象地域の選定、エンドユーザ調査によるブラウザUI認知度の把握、サイト挙動測定によるHTTPS限定ウェブプラットフォーム機能の選定、開発者の懸念を把握するケーススタディという4種の調査を組み合わせて戦略を立てた。 - **段階的なUI強化と継続監視**: Chromeの安全でないページに対する警告UIは数年かけて段階的に強化され、その都度、利用者行動テレメトリでリテンションやエンゲージメントへの悪影響がないか監視された。 - **地域別の個別対応**: 日本のようにトップサイトの採用が遅れHTTPS移行が停滞していた地域には、特別な働きかけを行った。 - **ビジネスインセンティブの提示**: Service Workerのようなオフラインアクセス・プッシュ通知・バックグラウンド同期を可能にするHTTPS限定機能を、パフォーマンスと可用性の向上につながるビジネス上の理由として訴求した。 結果として、Chromeユーザーのブラウジング時間に占めるHTTPS比率は、プラットフォーム横断で90%を超えるに至った(以前はWindowsで最低70%、Androidで最低37%)。(Source: [[@2020__OReilly__Building Secure and Reliable Systems - Chapter 7 Design for a Changing Landscape]] ch.7 §Example: Increasing HTTPS usage, Figure 7-1) ## セキュリティチームの組織的な取り組み Chrome は2006年のプロジェクト発足時には専任のセキュリティチームを持たず、公開初週に複数の重大バッファオーバーフローが発覚した。2009年に専任チームが発足し(v1.0)、2010年のVulnerability Reward Program発足を機に、外部からの脆弱性報告に自らコードベースの専門知識を築いて対応するハイブリッドエンジニアリングチームとしての性格を確立した(v2.0)。2012年にコアセキュリティ原則を公表し、2013年のオフサイトでチームミッションと5つの重点領域(セキュリティレビュー、バグの発見と修正、アーキテクチャとエクスプロイト緩和、ユーザブルセキュリティ、ウェブプラットフォームセキュリティ)を確立した(v3.0)。マルチプロセスアーキテクチャによるサンドボックス化、および2012年開始のSite Isolationプロジェクトによる多層防御、高速な自動更新とPwn2Own/Pwniumによる24時間以内のパッチ提供能力の実証、脆弱性の完全開示や四半期報告による透明性の確保が、この組織的な取り組みの具体的な実践として記録されている。(Source: [[@2020__OReilly__Building Secure and Reliable Systems - Chapter 19 Case Study - Chrome Security Team]] ch.19 §Background and Team Evolution, §Design for Defense in Depth, §Speed Matters, §Be Transparent and Engage the Community) ## 関連 - 概念: [[大規模な移行の遂行]] / [[変化に追随する設計]] / [[セキュリティエンジニアリングチームの管理と組織的リスク]] / [[脆弱性ライフサイクルと協調的な脆弱性開示]] - source: [[@2020__OReilly__Building Secure and Reliable Systems - Chapter 7 Design for a Changing Landscape]] / [[@2020__OReilly__Building Secure and Reliable Systems - Chapter 19 Case Study - Chrome Security Team]] - 実体: [[Google]] / [[Parisa Tabriz]] ## 出典 - Heather Adkins et al. (eds.), *Building Secure and Reliable Systems*, O'Reilly Media, 2020, Chapter 7 (Written by Maya Kaczorowski, John Lunney, and Deniz Pecel). - Heather Adkins et al. (eds.), *Building Secure and Reliable Systems*, O'Reilly Media, 2020, Chapter 19 (Written by Parisa Tabriz).