# David R. Davis ## 概要 David R. Davis(1894-1972)は、航空黎明期に典型的な、独学の発明家・設計者。1920 年、家族の資金を元に Donald Douglas と Davis-Douglas Aircraft Company を設立したが、理由不明のまま程なく撤退し、同社は翌年 Douglas Aircraft Company となった。1931 年に出願、1934 年に取得した特許により、独自の連立方程式で定義される翼型群を考案した。(Source: [[@1990__JohnsHopkins__What Engineers Know and How They Know It - Chapter 2 Design and the Growth of Knowledge - The Davis Wing and the Problem of Airfoil Design, 1908-1945]], p.20) Davis は特許中で自身の方程式が「回転と並進を伴うロータの機械的作用、すなわち Magnus 効果」に基づくと述べたが、著者が調査した Davis 直筆のメモからは、実際には Magnus 効果の円柱の軌跡から着想を得た純粋に幾何学的な作図の産物であり、流体力学的な論理的裏づけは一切ないことが判明している。風洞を持たなかった Davis は、友人から借りた Packard 車の屋根に模型を取り付けて走行試験を行うという独自の方法で自身の翼型の性能を探索した。(Source: 同上, p.22-24) Consolidated との交渉では、方程式中の 2 つの調整可能な定数の値を秘匿し、自社負担での風洞試験(GALCIT)を提案することで採用への足がかりを作った。GALCIT の試験結果が良好だったことを受け、1938 年 2 月にライセンス契約を締結して初めて翼型の座標を開示した。この翼型は Consolidated の Model 31 飛行艇と B-24 爆撃機に採用されたが、著者の分析では、Davis 自身は自分が何を発見したのか理解していなかったとされる。事後の分析では、この翼型は Eastman N. Jacobs が理論的に到達した層流翼型の効果を、Davis が偶然かつ部分的に先取りしていたものと推定される。(Source: 同上, p.20-27, p.41-43) Davis の翼型は B-32 で高速性能に不適とされて以降姿を消し、Consolidated 以外にはほぼ波及しなかった。当時の大衆紙は Davis を「巨人に立ち向かうダビデ」として神話化したが、著者はこの表現を「効率係数(efficiency factor)」概念の誤読に基づく誇張だったと指摘する。(Source: 同上, p.32-34) ## 関連 - [[Reuben H. Fleet]] - [[Consolidated Aircraft Corporation]] - [[翼型設計]] - [[@1990__JohnsHopkins__What Engineers Know and How They Know It - Chapter 2 Design and the Growth of Knowledge - The Davis Wing and the Problem of Airfoil Design, 1908-1945]] ## 出典 - Walter G. Vincenti, *What Engineers Know and How They Know It*, The Johns Hopkins University Press, 1990, Chapter 2.