# Common Criteria Navigation: [[index]] | [[entities/_index]] ## 概要 Common Criteria(正式名称: Common Criteria for Information Technology Security Evaluation)は、1989年のソビエト連邦崩壊で軍事予算が削減された後、米国とその同盟国が国別の評価基準([[Orange Book (TCSEC)]]や欧州のITSEC)を廃止して1994〜95年に共同で策定した情報セキュリティ評価の国際標準である。作業は主に欧州のITSECモデルがOrange Book方式に対して優勢な形で決着した。最上位を除く評価はCommercial Licensed Evaluation Facility(CLEF)が行い、参加各国で相互承認される建前になっており、費用はベンダーが負担する。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 28 Assurance and Sustainability]] ch.28 §28.2.7) Common Criteriaの革新は複数のセキュリティポリシーへの対応である。Bell-LaPadulaへの準拠を一律に求めるのではなく、製品クラスごとのセキュリティ機能要件・保証要件を定めたプロテクションプロファイル(protection profile, PP)に対して製品を評価する。評価対象製品はTarget of Evaluation(TOE)、評価の厳格さはEvaluation Assurance Level(EAL、EAL1の機能試験のみからEAL7の形式検証済み設計まで)と呼ばれ、市販製品で一般的な最高水準はEAL4(+)である。プロテクションプロファイルを特定製品に具体化したものはSecurity Target(ST)と呼ばれる。暗号アルゴリズム自体・発信源セキュリティ(emission security)・管理的手続き(ユーザビリティを含む)は評価対象から明示的に除外される。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 28 Assurance and Sustainability]] ch.28 §28.2.7, §28.2.7.1) Common Criteriaは限定的な成功に留まっている。スマートカード・HSM・TPM・電子署名デバイスといった特定市場では、SOG-IS(EU加盟国の諜報機関代表者からなる委員会)による非公式なカルテルによって一定の品質が保たれてきたが、欧州域外では形骸化が進み、日本の「セキュアなファックス機」(暗号化ではなく従来どおりの挙動を意味するだけ)のような事例も生まれた。批判は費用と官僚制(スタートアップが数百万ユーロ・数年を要する)、ユーザビリティの評価対象外、プロテクションプロファイルがスポンサー企業に有利に設計されがちなこと(スマートカード業界がHSMベンダーにエアギャップ環境を要求する対立、AVA_VAN.5要件をめぐる政治的な争い)、waterfallモデルを前提としパッチのある製品に対応できないこと、国ごとの審査の厳格さのばらつき(ドイツは非常に厳しく、スペイン・ハンガリーは緩い)、そして商標の管理不備(VISAが未登録のPIN入力端末を「CC evaluated」と称した事例)など多岐にわたる。英国は2019年にCommon Criteriaのスポンサーから撤退した。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 28 Assurance and Sustainability]] ch.28 §28.2.7.2, §28.2.9) 2015年以降はEALの水準を離れ、製品クラスごとに業界・政府・学界が協働で策定するcollaborative protection profile(cPP)への移行が試みられているが、欧州域外ではベンダーの利害に完全に取り込まれているとされる。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 28 Assurance and Sustainability]] ch.28 §28.2.7.3) ## 関連 - 概念: [[セキュリティ評価制度]](Common Criteriaを含む評価制度史全体) / [[耐タンパ性]](FIPS 140・Common Criteriaによる耐タンパ性評価) - 実体: [[Orange Book (TCSEC)]](Common Criteriaの前身の一つ) - ソース: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 28 Assurance and Sustainability]](§28.2.7〜§28.2.9) ## 出典 - Ross Anderson, *Security Engineering: A Guide to Building Dependable Distributed Systems*, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2020, Chapter 28, §28.2.7-§28.2.9.