# Aadhaar
## 概要
Aadhaarはインドの国民識別システムで、全住民の指紋と虹彩コードを登録し、10桁の番号によって照会者がプロファイルを参照できるようにする。当初の動機は、貧困線以下で暮らす約3億人のインド人が福祉給付を受けながら都市部へ出稼ぎに行けるようにすることだった(従来、福祉は出身の町・村でしか受け取れなかった)。2011年から2016年にかけて10億人規模を登録し、その過程で全登録者の虹彩コードが互いに一意性を照合された。現在は多くの手続きで登録が事実上必須になっている(銀行口座開設、携帯電話・SIMカード購入、学校入学など)。収集された指紋データは警察の犯罪捜査(crime scene forensics)にも提供されている。(Source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 17 Biometrics]] ch.17 §17.5)
インド最高裁判所は、Aadhaarに登録していない人々へのサービス提供を拒否してはならないと判示したが、実務上は登録が要件になっている状態が続いている。2019年時点では、アッサム州など国境地域でムスリムの登録に当局が消極的であることが問題視されており、これは彼らを不法移民とみなそうとするより大きな政策の一環とされる。(Source: 同上)
## 関連
- 概念: [[生体認証]] — Aadhaarは指紋・虹彩を組み合わせた世界最大規模の展開事例
- source: [[@2020__Wiley__Security Engineering 3e - Chapter 17 Biometrics]]
## 出典
- Ross Anderson, *Security Engineering: A Guide to Building Dependable Distributed Systems*, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2020, Chapter 17, §17.1, §17.5.