# A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models
## 概要
Lingzhe Zhang ほか(Peking University・Tsinghua University・HKUST(Guangzhou)・University of Illinois Chicago)による ACM Computing Surveys 掲載のサーベイ。**LLM が AIOps に与えた影響を「データ源 → タスク → 手法 → 評価」という 4 つの研究設問(RQ1〜RQ4)に分けて追跡する**構成を取る。2020 年 1 月〜2024 年 12 月の 183 本を対象とし、既存データの LLM による処理と LLM が可能にした新しいデータ源(RQ1)、新規タスクの出現と出版動向(RQ2)、適用される LLM ベース手法(RQ3)、LLM 統合を前提とした評価方法論(RQ4)を扱う。**章構成そのものが研究設問と一対一に対応する**点が本サーベイの読み筋である。
> [!abstract] 概要(abstract の日本語訳)
> 大規模言語モデル(LLM)がますます高度かつ遍在的になるにつれ、それを IT 運用のための人工知能(AIOps)の各種タスクへ適用することが大きな注目を集めている。しかし AIOps における LLM の影響・可能性・限界についての包括的な理解は、なお緒についたばかりである。この空白を埋めるため、我々は LLM4AIOps の詳細なサーベイを行い、LLM がこの領域でどのようにプロセスを最適化し成果を改善しうるかに焦点を当てた。2020 年 1 月から 2024 年 12 月の間に公表された 183 本の研究論文を分析し、4 つの主要な研究設問(RQ)に答えた。RQ1 では、利用される多様な障害データ源を検討する。これには、旧来のデータに対する高度な LLM ベースの処理技術と、LLM によって可能になった新しいデータ源の取り込みが含まれる。RQ2 は AIOps タスクの進化を探り、新規タスクの出現とそれらタスクにまたがる出版動向を明らかにする。RQ3 は AIOps の課題に対処するために適用される多様な LLM ベースの手法を調査する。最後に RQ4 は、LLM を統合した AIOps の取り組みを評価するために調整された評価方法論をレビューする。得られた知見に基づき、最先端の進展と潮流を論じ、既存研究の空白を同定し、今後の有望な方向を提案する。
## 書誌情報
- 著者: Lingzhe Zhang, Tong Jia, Mengxi Jia, Yifan Wu, Aiwei Liu, Yong Yang, Zhonghai Wu, Xuming Hu, Philip S. Yu, Ying Li
- 所属: Peking University / Tsinghua University / The Hong Kong University of Science and Technology (Guangzhou) / University of Illinois Chicago
- 媒体: ACM Computing Surveys
- 発表: 2025-09-09(arXiv:2507.12472v1, 2025-06-23)
- URL: https://dl.acm.org/doi/10.1145/3746635
- 構成: 全 8 章(35 PDF ページ)。対象は 2020-01〜2024-12 の 183 本
- 原本: `.raw/theses/arxiv-2507.12472/`
## 構成と主要テーマ
**章構成が研究設問と一対一に対応する**のが本サーベイの読み筋である。第 3〜6 章がそれぞれ RQ1〜RQ4 を担い、「データ → タスク → 手法 → 評価」という AIOps の工程順に LLM の影響を追跡する。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 1 Introduction]] — LLM 時代の AIOps 全工程を扱う初の包括サーベイとして自身を位置づけ、RQ1〜RQ4 の 4 研究設問を定義する。先行サーベイとの比較表を持つ。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 2 Systematic Review Process]] — 5 データベース検索・採録/除外基準・4 段階の漏斗(761 → 614 → 395 → 163 本)による文献選定プロセス。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 3 RQ1 - Transformations in Data with LLM Integration]] — (a) メトリクス・ログ・トレースへの LLM ベースの高度化処理(ログパースが最も活発)と、(b) ソフトウェア情報・ソースコード・QA・インシデントレポートという**人間生成データ源の新規取り込み**の 2 軸。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 4 RQ2 - Evolving Tasks in AIOps with LLMs]] — AIOps を障害知覚 → 根本原因分析 → 支援型緩和の 3 段 8 タスクに整理し、**LLM 時代に新規出現した 5 タスク**(根本原因レポート生成・支援型質問応答・コマンド推薦・スクリプト生成・自動実行)を従来タスクと区別して論じる。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 5 RQ3 - LLM-based Methods for AIOps]] — 手法を foundation model・fine-tuning・embedding-based・prompt-based・knowledge-based の 5 分類で整理する。fine-tuning は計算コスト制約から 100B パラメータ未満に集中する。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 6 RQ4 - Evaluating LLM-based AIOps]] — 評価指標を分類タスク・生成タスク・実行タスク・手動評価の 4 分類(**うち 3 つが LLM 時代の新規**)に整理し、LLM 向け新規データセット(LogEval・OpsEval・OWL-bench・KubePlaybook・AIOpsLab)は支援修復タスクに偏在すると報告する。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 7 Challenges and Future Directions]] — 時間効率と費用対効果、多様なデータ源の深い活用、ソフトウェア進化への汎化性・適応性、既存 AIOps ツールチェーンとの統合という 4 課題。
→ [[@2025__CSUR__A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models - Chapter 8 Conclusion]] — LLM が AIOps を再形成しているという総括と RQ1〜RQ4 の要約。
## 位置づけと影響
- **工程順に追跡する構成が、空白の在り処を示す**。データ(RQ1)→ タスク(RQ2)→ 手法(RQ3)→ 評価(RQ4)と順に見ていくと、第 7 章が挙げる課題が構成のどこに対応するかが分かる。とりわけ **RQ1 で扱われるトレースデータには LLM ベース手法が皆無**であり、第 7 章 §7.2 はこれを「複雑さと量のゆえ」と説明する。データ源ごとの取り組みの濃淡がそのまま研究の空白になっている。
- **新規タスクの過半が「支援」である**。第 4 章が挙げる LLM 時代の新規 5 タスク(根本原因レポート生成・支援型質問応答・コマンド推薦・スクリプト生成・自動実行)のうち、自動実行を除く 4 つは人間の作業を助ける方向にある。**LLM は AIOps の自動化を進めたというより、人間との接点を増やした**と読める。
- **評価の 4 分類のうち 3 つが新規である**。第 6 章によれば、従来からあるのは分類タスクの指標(適合率・再現率・F 値)だけで、生成タスク・実行タスク・手動評価は LLM 統合を前提として新たに必要になった。**[[A Survey of Online Failure Prediction Methods]](Salfner ほか、2010)が確立した混同行列ベースの指標体系から 15 年で、測るべき対象そのものが変わった**ことになる([[分類モデルの評価指標]] に記録)。
- **Notaro ほか(2021)との対比**: [[A Survey of AIOps Methods for Failure Management]] は AIOps を「介入の時間窓 × 対象問題」で分類し障害管理に絞ったのに対し、本サーベイは「LLM による変容の 4 側面」で切る。前者は**何を解くか**、後者は**何が変わったか**を軸にしており、同じ AIOps を扱いながら問いの立て方が異なる。
- **原本内の不整合を 3 件検出した**。(a) アブストラクトは対象を「183 本」とするが §2.3 本文は「163 本」と記す。(b) §2.2 冒頭の平文は RQ2 と RQ3 の対応を §1.3 の定義と逆に書いている。(c) Table 1 が Notaro ほか(2021)を「Paolop et al.」と誤記する。いずれも推測で解決せず、原文どおり転記したうえで各章ページに注記した。
## 関連
- 概念: [[AIOps]] / [[Fault Localization]] / [[ソフトウェアエイジング]] / [[テレメトリ]] / [[ログ解析]] / [[分散トレーシング]] / [[時系列基盤モデル]] / [[根本原因分析]] / [[異常検知]] / [[障害予測]] / [[障害緩和]]
## 出典
- Lingzhe Zhang et al., "A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models", *ACM Computing Surveys*, 2025.