# 実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 Navigation: [[index]] | [[overview]] ## 概要 パフォーマンスエンジニアリング(性能効率性の継続的な保証)を、LLM(Llama3)と自動運転AI(BEVFusion)という2種の実モデルを題材に、計測から改善までの一連のプロセスとして解説する技術書である。書籍前半(第1〜3章)で計測・改善の方法論を体系的に俯瞰し、後半(第4〜8章)で5つの実践事例(LLM推論・LLM事後学習・LLM事前学習・自動運転AI学習・自動運転AI推論)を「計測→分析→改善→検証」の実プロセスとともに詳述する。著者陣は全員 [[Fixstars]] 社員であり、机上の理論だけでなく自社での実測結果を出典として提示する点が特徴。 ## 書誌情報 - 出版社: 技術評論社 - 出版日: 2026年1月31日(初版第1刷発行) - 著者: 株式会社フィックスターズ(𠮷藤尚生, 浅原明広, 飯塚拓郎, 小田桐海翔, 木村圭佑, 寺西勇裕, 細川寛晃, 八木武尊, 永田怜慈, 坂元佑弥) - ISBN: 978-4-297-15349-6 - 構成: 全8章 ## 構成と主要テーマ ### Part I: 基礎編(第1〜3章) パフォーマンスエンジニアリングの考え方と、計測・改善の方法論を体系的に整理する。 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 1 パフォーマンスエンジニアリング概論]] — パフォーマンスエンジニアリングを性能効率性の全体最適な実践として定義し、「推測するな、計測せよ」の原則・USE/REDメソッド・5段階の実践プロセスを提示する導入章 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 2 パフォーマンス計測]] — 計測の目的・基本戦略・性能指標(レイテンシ/スループット/使用率/飽和度)を整理し、Nsight Systems/Compute・PyTorch Profiler等の具体的計測ツールの使い方を詳述する → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 3 パフォーマンス改善]] — フレームワーク選定・モデル改善(枝刈り・量子化等)・アルゴリズム改善・分散並列・ハードウェア調整まで、改善手法を視座の高い順に俯瞰する「地図」の章 ### Part II: 実践編(第4〜8章) 第1〜3章の方法論を、5つの実モデル・実タスクに適用する事例研究。 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 4 実践1:LLM推論]] — Llama3-8B推論をFlashAttention-2・量子化・vLLM導入等で改善し、素朴実装比約13倍のスループット(13,739 tokens/sec)を達成 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 5 実践2:LLM事後学習]] — Llama-3.2-1Bのフルパラメータ事後学習を、メモリ観測機能削除・ハイパーパラメータ自動チューニング・torch.compile・グローバルバッチサイズ調整で段階改善し、学習速度5.14倍化 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 6 実践3:LLM事前学習]] — [[Megatron-LM]]によるLlama3 70B事前学習をH100からH200へ移植し、メモリ余白を活かした最適化器・ハイパーパラメータ変更で損失半減時間を36時間→4時間(9倍速)に短縮 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 7 実践4:自動運転AI学習]] — [[BEVFusion]]の学習で3処理(Voxelize等)をプロファイリングに基づき個別改善し、精度を維持しつつ学習レイテンシを約2倍高速化 → [[@2026__技術評論社__実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化 - Chapter 8 実践5:自動運転AI推論]] — CUDA-BEVFusionをJetson AGX Orin上へエッジデプロイし、量子化・枝刈り・転送隠蔽の組み合わせで最大12%の処理時間短縮 ## 影響と位置づけ LLMの学習・推論と自動運転AIという異なる計算特性を持つ2領域を同じ方法論(計測→分析→改善→検証)で扱うことで、パフォーマンスエンジニアリングの手法が特定モデルアーキテクチャに依存しない一般性を持つことを示す構成になっている。第3章で提示される改善手法の「地図」が、第4〜8章の実践編で個別事例として再登場する構造を持つため、書籍全体が理論と実例の往復で理解を深める設計である。 ## 関連 - 組織: [[Fixstars]] — 著者陣の所属企業 - 概念: [[量子化]] / [[枝刈り]] — 第3章で解説され第4・5・8章の実践編で再登場する中心的な改善手法 - 実体: [[Megatron-LM]] / [[BEVFusion]] — 実践編で題材となるモデル・学習フレームワーク ## 出典 - 株式会社フィックスターズ, 『実践的パフォーマンスエンジニアリングによるAI高速化』, 技術評論社, 2026年1月.