# アルトゥーロ・ローゼンブルース **Arturo Rosenblueth** は生理学者。当時はハーバード医学部に所属し、後にメキシコの Instituto Nacional de Cardiología の所長を務めた。Walter B. Cannon の同僚・共同研究者であった。[[ノーバート・ウィーナー]]の『サイバネティクス』における中心的な共同研究者であり、本書はローゼンブルースとの 10 年以上に及ぶ共同研究の成果として書かれた。 ## 概要 ローゼンブルースはハーバード医学部で科学方法論に関する月例討論会(Vanderbilt Hall での夕食会)を主催し、ウィーナーはそこで初めてローゼンブルースと出会った。両者は早くから「既成の学問分野の狭間(no-man's land)にこそ最も実り多い研究機会がある」という確信を共有しており、これが後の共同研究の出発点になった。ローゼンブルースは、こうした境界領域の探究は各自の専門を持ちながら隣接分野にも通じた科学者チームによってのみ可能だと一貫して主張していた。(Source: [[@1961__MITPress__Cybernetics - Introduction]] p.2-3) 1944年にメキシコに招かれ、Instituto Nacional de Cardiología の生理学研究室長に就任してからも、ウィーナーは同研究所に定期的に滞在し共同研究を継続した。研究テーマには心筋の伝導・興奮性組織の理論的研究(心臓の粗動・細動)、ネコの膝蓋腱反射を用いたクローヌス(clonus)の実験的研究などがある。(Source: [[@1961__MITPress__Cybernetics - Introduction]] p.16-21) ## 随意運動とフィードバックをめぐる問い ウィーナーと Julian Bigelow が「随意運動の遂行中に目標を行き過ぎて制御不能な振動に陥る病態はあるか」と尋ねたのに対し、ローゼンブルースは即座に「purpose tremor(意図振戦)」という既知の病態を挙げ、それがしばしば小脳の損傷に伴うことを説明した。この応答は、随意運動をフィードバック機構として捉える仮説の重要な確証となり、三者共著の論文 "Behavior, Purpose and Teleology"(*Philosophy of Science*, 1943)として発表された。(Source: [[@1961__MITPress__Cybernetics - Introduction]] p.8-9) ## 関連 - [[ノーバート・ウィーナー]] — 10年以上に及ぶ共同研究者 - [[サイバネティクス]] — 二人が共同で切り拓いた学問領域 ## 出典 - [[@1961__MITPress__Cybernetics - Introduction]]