# Metastable Failure ## 定義 metastable failure は、過渡的なイベント(例: 負荷急増)に応じてシステムが劣化し、その**トリガが除去されても回復しない**自己持続的な輻輳崩壊(self-sustaining congestive collapse)を指す。クラッシュのような fail-stop 症状として現れないため診断が難しい。([[@2026__arXiv__SREGym - A Live Benchmark for AI SRE Agents with High-Fidelity Failure Scenarios]]) SREGym では複合的な障害としてモデル化される: アプリケーション層のトリガ(例: トラフィックを増幅するリトライ設定の誤り、頻繁な GC を強いる実行時フラグ)と、システムを脆弱な状態へ追い込むインフラ制約(例: CPU/メモリを絞るリソースクォータ/上限)の組。インフラ制約はエラーも失敗トレースも生まず、デプロイメント設定の明示的な確認でしか発見できない。緩和にはトリガの修正だけでは不十分で、インフラ制約を取り除いたうえでアプリケーションを再起動しまっさらな状態を与える必要がある。([[@2026__arXiv__SREGym - A Live Benchmark for AI SRE Agents with High-Fidelity Failure Scenarios]] Appendix D.1) ## 横断的知見 - **Cook (1998) 潜在的障害論との接続**: [[複雑システム障害論]] 命題 4・5 は「複雑システムは変化する潜在的障害の混合を常に内包し(命題 4)、劣化モードで稼働する(命題 5)」と定式化する。[[Metastable Failure]] は「常に劣化モードで動いているシステムが、過渡的トリガと症状を生まない潜在的インフラ制約の組み合わせによって自己持続的崩壊に転落するパターン」として Cook のフレームワーク内で位置づけられる。SREGym の「アプリケーション層トリガ + インフラ制約の組」という二因子モデルは、Cook の「複数の必要条件が組み合わさって十分条件を形成する(命題 3)」構造そのもの。(Source: [[@1998__CtL__How Complex Systems Fail]] 命題 3・4・5, [[@2026__arXiv__SREGym - A Live Benchmark for AI SRE Agents with High-Fidelity Failure Scenarios]]) - _(metastable failure の一次研究(Bronson+ HotOS'21 等、本論文の参照 [29][45][47])を取り込んだら、定義・発生機序・対策の突き合わせをここに積む。)_ ## 未解決の問い - SREGym の評価では、エージェントはアプリケーション層のトリガ(トレース/デプロイメントで可視)は確実に診断するが、症状を生まないインフラ制約をほぼ発見できず、トリガと制約の**相互作用**を特定したランは皆無だった。観測可能な症状を持たない原因をエージェントに探索させるには何が必要か。([[@2026__arXiv__SREGym - A Live Benchmark for AI SRE Agents with High-Fidelity Failure Scenarios]]) - 過渡的なトリガと持続的な劣化の関係を推論し、「トリガ修正+制約除去+再起動」という非自明な緩和に到達させる手立ては何か。 ## 関連 - ソース: [[@2026__arXiv__SREGym - A Live Benchmark for AI SRE Agents with High-Fidelity Failure Scenarios]] - 概念: [[agentic SRE]] / [[SRE Benchmark]] - エンティティ: [[SREGym]] - 関連 MOC: [[SRE - MOC]] ## 出典 - [[@2026__arXiv__SREGym - A Live Benchmark for AI SRE Agents with High-Fidelity Failure Scenarios]](§2.4, §3.2, Appendix D.1)