# MAPE-Kループ ## 定義 MAPE-K ループは、[[自律コンピューティング]] における自律マネージャ(autonomic manager)の内部構造を表す制御ループで、Monitor(監視)・Analyze(分析)・Plan(計画)・Execute(実行)の 4 機能が、共有される Knowledge(知識)を介して結びつく構成をとる。[[@2003__Computer__The Vision of Autonomic Computing]] の Figure 2 が初出で、自律要素(autonomic element)は 1 つ以上の管理対象要素(managed element)と、それを制御する単一の自律マネージャの組として構成される。自律マネージャは管理対象要素とその外部環境を監視(Monitor)し、収集した情報を分析(Analyze)し、分析に基づいて計画を構築(Plan)し、それを実行(Execute)する。これら 4 機能はすべて、管理対象要素の構成・状態・ポリシーに関する共有知識(Knowledge)を参照・更新しながら動作する。(Source: [[@2003__Computer__The Vision of Autonomic Computing]]) ## 横断的知見 - **MAPE-K は「監視→分析→計画→実行」という直線的パイプラインではなく、共有 Knowledge を介した円環構造として提示されている**: 原論文の Figure 2 では Monitor・Analyze・Plan・Execute の 4 ブロックが中央の Knowledge ブロックを囲むように配置され、各機能が独立に Knowledge を読み書きする構造になっている。これは単純な直列パイプラインよりも柔軟だが、Knowledge の一貫性管理(複数機能からの同時読み書き)という、原論文では明示的に論じられない実装上の課題を内包する。(Source: [[@2003__Computer__The Vision of Autonomic Computing]] Figure 2) - **自律マネージャと管理対象要素の分離は、原論文自身が「概念的な区別に過ぎなくなるかもしれない」と留保している**: 著者らは「完全な自律コンピューティングは、既存の管理対象要素に洗練された自律マネージャを段階的に追加する形で進化するだろう。最終的には自律マネージャと管理対象要素の区別はアーキテクチャ上のものではなく単に概念的なものになるか、あるいは消えてしまうかもしれない」と述べており、MAPE-K を固定的なアーキテクチャパターンとしてではなく、進化の一段階として位置づけている。(Source: [[@2003__Computer__The Vision of Autonomic Computing]]) ## 未解決の問い - MAPE-K ループは、単一の自律要素内の制御ループとして提示されているが、複数の自律要素が相互作用する系全体(サプライウェブ)では、個々の MAPE-K ループの相互作用からどのようなシステムレベルの振る舞いが創発するか。原論文はアリの群れとのアナロジーで示唆するのみで、具体的なメカニズムは示していない。 - 後続の自己適応システム研究(Software Engineering for Self-Adaptive Systems 等)は MAPE-K をどのように拡張・具体化したか。特に Knowledge の一貫性管理や、複数の MAPE-K ループが階層化される場合の設計はどう発展したか。 - 現代の Kubernetes コントローラ(reconciliation loop)や AIOps パイプラインは MAPE-K とどの程度構造的に対応するか、あるいは異なる設計原理に基づくか。 ## 関連 - 概念: [[自律コンピューティング]] / [[セルフヒーリング]] - ソース: [[@2003__Computer__The Vision of Autonomic Computing]] - 関連 MOC: [[SRE - MOC]] / [[System Engineering - MOC]]