# LLM Wikiパターン
## 定義
[[Andrej Karpathy]] が 2026 年 4 月 4 日に提案した、LLM が維持・更新する個人知識ベースのアーキテクチャパターン(`Source: [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]]`)。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)が「問い合わせごとにソースから再導出」するのに対し、LLM Wiki は「永続的・複利的な wiki として知識を育てる」アプローチを取る。
3層構造:
1. **Raw Sources**: 人間がキュレーションした不変原本
2. **Wiki**: LLM が生成・更新するクロスリファレンス付き知識層
3. **Schema**: wiki の構造とワークフローを定義する設定
3つの操作: **Ingest**(取り込み)/ **Query**(問い合わせ)/ **Lint**(健全性チェック)
核心命題: "The tedious part of maintaining a knowledge base is not the reading or the thinking — it's the bookkeeping." 人間はキュレーションと問いかけだけに専念し、bookkeeping は LLM が担う。
## 横断的知見
- **[[Human-out-of-the-loop]] の知識管理版実装**: Karpathy のパターンは knowledge maintenance loop から人間を意図的に out にする設計。[[稲見昌彦]]が 2026 年 2 月に「ループのボトルネックは人間だ」と論じた抽象命題を、知識管理という具体ドメインで 2 か月後に Karpathy が実装した。稲見とKarpathyは独立に同じ問題意識に到達している。(Source: [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]], [[@2026__note.com__ループのボトルネックは、人間だ]])
- **Bush-Wiener-Karpathy の系譜**: [[Vannevar Bush]](1945年 Memex)が「誰が維持管理するか」を未解決のまま残し、[[ノーバート・ウィーナー]](1948年サイバネティクス)が「フィードバックループによる自律制御」を定式化した。LLM Wiki(2026)はこの両者の問いを一つの実装で答えようとする: LLM(Wiener 的フィードバック機構)が知識の維持管理(Bush の未解決問題)を引き受ける。(Source: [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]])
- **「翻訳者」vs「キュレーター」の緊張**: 稲見は人間を AI ループの出力側(応答者・翻訳者)に置き、Karpathy は入力側(ソース選択・問いかけ者)に置く。どちらが人間の残余的役割として優先されるかで知識システムの設計原則が変わる。(Source: [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]], [[@2026__note.com__科学の終焉と、新しい科学の始まり]])
- **アロスタシスと compounding wiki の構造的同型性**: 稲見第一部は LLM とアロスタシス(無意識の自律調整ループ)の類比を使う。Karpathy の "persistent, compounding artifact" も静的な記憶ではなく文脈依存的に動的調整する知識体として描かれ、両者は構造的に同型である。(Source: [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]], [[@2026__note.com__科学の終焉と、新しい科学の始まり]])
## 未解決の問い
- 人間は知識ループの「入力側」(Karpathy: キュレーター)か「出力側」(稲見: 翻訳者)か、それとも両方か?
- AutoSci(自律的科学システム)が発展すると、Raw Sources のキュレーションも LLM が担うようになるのか? → 残る人間の役割は何か?
- Compounding wiki は長期的に「確信を持った古い誤り」を蓄積するリスクがある(鮮度問題)。これはアロスタシスにおける「慢性的な誤調整」と同型の問題か?
- wiki-lint(健全性チェック)はどの程度の頻度で必要か? lint が追いつかない速度で幻覚が蓄積する閾値はどこか?
## 関連
- [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]](提案原文)
- [[Andrej Karpathy]](提案者)
- [[Vannevar Bush]](Memex との系譜)
- [[ノーバート・ウィーナー]](サイバネティクスとの系譜)
- [[Human-out-of-the-loop]](知識管理ドメインでの展開)
- [[バイブコーディング]](LLM との対話的作業の別形態。Karpathy が命名)
- [[アロスタシス]](compounding wiki との構造的類比)
- [[稲見昌彦]](独立した同時代的問題意識)
## 出典
- [[@2026__GitHub Gist__LLM Wiki]]