# Flow Matching
## 定義
Flow Matching(Lipman et al., 2022)は、始点分布 $p_0$ から目標分布 $p_1$ へのサンプルを、時間依存の速度場 $u_t: [0,1]\times\mathbb{R}^d \to \mathbb{R}^d$ が定める連続的な流れ $\psi_t$ を通じて変換する生成モデリングの枠組みだ。ネットワーク $u_t^\theta$ を、条件付き最適輸送パスに沿った速度場を回帰する Conditional Flow-Matching 目的関数で学習し、推論時はガウスノイズから出発して学習済み速度場に沿って反復的にサンプルを押し出す(push-forward)。拡散モデル(denoising diffusion)と比べて少ないステップ数で効率的かつサンプル品質が高いとされる。([[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]] §3.1、Lipman et al., 2022 を引用)
[[Sundial]] 論文([[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]]、ICML 2025)は、この Flow Matching の枠組みを自己回帰的な時系列予測に適用した **TimeFlow Loss** を提案する。画像生成分野での flow-matching の応用は主に非自己回帰的な一括生成だが、時系列予測は「ルックバック系列を条件とした次パッチの逐次的な条件付き生成」という自己回帰的タスクであり、Sundial はこれを条件付き flow-matching として定式化した点が新規性だとする。具体的には、Transformer が学習した表現 $h_i$(位置 $i$ の条件、$t\in[0,1]$ 全体で時間不変)を AdaLN で統合する小さな flow-matching ネットワーク(MLP)を用意し、パッチの真値 $y_i$ とガウスノイズ $y_i^{(0)}$ の間の条件付き最適輸送パス $y_i^{(t)}=ty_i+(1-t)y_i^{(0)}$ 上で速度場を回帰する。
## 横断的知見
(このページは [[Sundial]] 一本の ingest から立ち上げた。複数ソースを横断する知見は今後の ingest で積み増す。)
## 未解決の問い
- flow-matching(Sundial の TimeFlow Loss)と拡散モデル(denoising diffusion)を時系列予測の同一バックボーン・同一データで比較した結果は Sundial 論文の Table 3・Table 7 のみ。他の TSFM(Toto・Chronos-2 等はスチューデント-T 混合や categorical 分布を採用)を含めた大規模な生成的損失の横断比較はまだ存在しない。詳細は [[時系列トークナイゼーション]] の「未解決の問い」も参照。
- Sundial は $K{=}50$ ステップのサンプリングを既定とするが、ステップ数と精度のトレードオフ(Figure 7)はデータセット依存でどこまで一般化するか。高頻度・急変動系列では最適な $K$ が変わる可能性がある。
- TimeFlow Loss は単変量の条件付き生成として定式化されており、多変量時系列(変量間の同時分布)への拡張は Sundial 論文では検証されていない。[[Chronos-2]] の Group Attention のような変量間情報共有機構と flow-matching を組み合わせた設計は未着手。
- flow-matching ベースの生成的予測が、下流タスク(異常検知・意思決定)の信頼性向上にどの程度実際に寄与するかは、Sundial 論文では予測精度・推論速度のみが評価されており未検証。
- Sundial のサンプリング戦略はランダムなガウスノイズからの素朴な生成に留まる(著者ら自身の限界表明、Appendix E)。ガイダンス手法(classifier-free guidance 等、画像生成の flow-matching で発展した技術)を時系列予測に転用する余地があるか。
## 関連
- 概念: [[時系列基盤モデル]] / [[時系列トークナイゼーション]] / [[時系列データ生成]]
- ソース: [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]]
- エンティティ: [[Sundial]] / [[Yong Liu]] / [[Guo Qin]] / [[Mingsheng Long]] / [[Tsinghua University]]
- 関連 MOC: [[時系列基盤モデル - MOC]]
## 出典
- [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]](§3.1 Flow-Matching の準備、§4.1.3 TimeFlow Loss の定式化、Table 3・Table 7 拡散/MSE との比較アブレーション、Appendix C.1 mode collapse の議論)