# Feel-through
## 定義
**Feel-through(触覚的透明性)**は[[稲見昌彦]]が [[@2026__note.com__Out of the Blue]] で提示する概念で、**触覚は媒質の存在を条件とする**という性質を指す。杖の先端で路面を感じるとき、杖という媒質があるからこそ感覚が手に届く。媒質を通じて「向こう側」を感じることができる。
稲見はこの概念を AR の文脈にも拡張し、**学術的知識は「Feel-through AR」として機能する**と論じる。数学・物理学・社会学といった概念的枠組みを「媒質」として世界に関わることで、素手では触れられない現象(素粒子・社会構造・歴史的因果など)を感じることができる。
[[See-through]] との対比:See-through は媒質の不在を条件とし、Feel-through は媒質の存在を条件とする。
## 代表的事例
[[@2026__note.com__Out of the Blue]] で提示される Feel-through の実践例:
- **ベートーヴェン**:聴覚喪失後、鉛筆をくわえてピアノ響板に当て、振動を通じて第九交響曲を作曲した。鉛筆が媒質となって振動(音楽情報)が伝わった。
- **[[ヘレン・ケラー]]**:ベートーヴェンの約100年後、ラジオのダイアフラムに指を触れて同じ第九を「聴いた」。ダイアフラムが媒質となった。
両者に共通するのは「失われた感覚モダリティ(聴覚)を別の感覚(触覚)+媒質で代替した」という構造である。
## 横断的知見
- (現時点では単一ソース。今後の ingest で他ソースと突き合わせた際に追記する)
## 未解決の問い
- Feel-through AR(学術知識が媒質)という比喩は、物理的な触覚媒質(杖・ダイアフラム)とどの程度構造的に同型か? 比喩的拡張の限界はどこか?
- 「媒質の透明性(気づかなくなること)」は Feel-through においても起きるか? 道具の延長として身体に統合されることと Feel-through の関係は?
- ハプティクス研究(稲見研究室のテレイグジスタンス等)における Feel-through の技術的実装は何か?
## 関連
- [[See-through]] — 対概念。媒質の不在が条件
- [[拡張現実感]] — Feel-through AR の文脈
- [[稲見昌彦]] — 概念の提唱者
- [[ヘレン・ケラー]] — Feel-through の代表的実践者として言及
- [[テレイグジスタンス]] — 遠隔触覚における Feel-through の技術的展開
## 出典
- [[@2026__note.com__Out of the Blue]]