# Contiguous Patch Masking (CPM) ## 定義 Contiguous Patch Masking(CPM)は、時系列予測基盤モデルの学習時に**連続した将来パッチを可変長スパンでランダムマスク**することで、推論時に**シングルフォワードパスで全ホライズンを並列予測**できるようにするアーキテクチャ技術。Auer et al. (2025)のマスク戦略を xLSTM からトランスフォーマーへ適応したもの。 ## 問題と解決 **問題**: デコーダ専用 TSFM の自己回帰デコーディングは、予測ホライズン $H$、パッチサイズ $P$ に対して $K = H/P$ 回の逐次推論が必要。(1) レイテンシが $K$ に比例して線形増加、(2) 各ステップのエラーが蓄積するコンパウンドエラーの 2 つの問題がある。 **解決**: 各パッチにバイナリマスクチャネル $b_i \in \{0,1\}^P$ を付与し、マスク位置集合 $M$ に対して $\hat{p}_i = f_\theta(p_{1:N}, b_{1:N})|_i, \quad i \in M$ を一度の推論で予測する。学習時は $M$ をランダムな連続スパン(スパン長 $c \sim \mathcal{U}\{1{:}c_{\max}\}$、マスク確率 $p \sim \mathcal{U}(0, p_{\max})$)としてサンプル。推論時は $M = \{N+1, \ldots, N+K\}$ として全ホライズンを一度のフォワードパスで予測。 トランスフォーマーでは Eq. (1) が 1 回の $f_\theta$ 呼び出しで解けるが、SSM では $|M|$ 回必要——CPM がトランスフォーマーで特に有効な理由。 ## ハイパーパラメータ Toto 2.0 のスイープ(Optuna+TPE)で最適値として $c_{\max}=16$、$p_{\max}=0.4$ を発見。TiRex のデフォルト($c_{\max}=5, p_{\max}=0.25$)より長いスパンを扱えることを示す。 ## ブロックデコーディング 長ホライズンでシングルパスの整合性低下が懸念される場合、$B$ パッチごとにコミットするブロックデコードを追加サポート。各ラウンドで $p_i \leftarrow \text{median}(\hat{p}_i)$、$b_i \leftarrow 0$ を確定しつつ KV キャッシュを再利用。$B-1$ 回の追加フォワードパスで安定性を補強。Toto 2.0 の実験では約 768 ステップまでシングルパスが安定。長ホライズン実験(gt;$768 ステップ)ではブロックデコーディングを使用。 ## Toto 2.0 での効果 ([[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) - **推論レイテンシ**: 全サイズで Toto 1.0(自己回帰)比で大幅削減。313M が Chronos-2(120M)と同等のレイテンシで動作。 - **精度**: CPM は精度も同時に改善——長スパンマスクで将来の文脈的予測を学習することで品質向上。 - **長ホライズン安定性**: 2.5B が 8,192 ステップまで多スケール合成信号の構造を保持($r=0.818$)。自己回帰モデルはこのスケールで大幅に低下。 ## 横断的知見 - **CPM のトランスフォーマーへの適応が自己回帰の 2 つの問題(レイテンシ・コンパウンドエラー)を同時解決**: 元の設計(Auer et al. 2025)は xLSTM 向けだが、Toto 2.0 のトランスフォーマーへの適応でシングルパス推論が成立する。SSM では $|M|$ 回の計算が必要なため恩恵が小さいが、トランスフォーマーでは Attention が全位置を一度に処理するため真のシングルパスになる。アーキテクチャ種別によって CPM の効果が質的に異なる。(Source: [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) ## 未解決の問い - 学習時のランダム連続スパンと推論時の「一定長の将来スパン」の分布差がどの程度性能に影響するか。$c_{\max}=16$ より長い学習スパンはさらに良いか。 - ブロックデコーディングの安定化閾値(約 768 ステップ)はモデルサイズ・学習コンテキスト長に依存するか。2.5B ではより長い安定範囲があるか。 - 他の TSFM(Chronos-2・TimesFM 等)に同じ CPM を適用した場合、精度とレイテンシはどの程度改善するか。CPM の有効性がトランスフォーマー TSFM 一般に適用できるか。 ## 関連 - エンティティ: [[Toto]] / [[Datadog]] - ソース: [[@2026__Datadog__Toto-2.0-Time-Series-Forecasting-Enters-the-Scaling-Era]] / [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]] - 概念: [[時系列基盤モデル]] / [[u-μP]] ## 出典 - [[@2026__Datadog__Toto-2.0-Time-Series-Forecasting-Enters-the-Scaling-Era]] - [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]