# 800V高圧直流給電 800V高圧直流給電(800VDC/HVDC)とは、AIラック内の給電アーキテクチャを従来の48V/54V主母線から±400V/800Vの高圧直流へ移行させる設計である。導体の電力損失は P = I²R(電流の2乗×抵抗)に従うため、電圧を上げて同じ電力をより小さい電流で送れば損失は電流の2乗で減少し、長距離配電でも有利になる。AIチップ1個あたりの電力が2016年の約500Wから2027年に約3,500Wへ、ラック1本あたりの電力が2022年の20kWから2028年に約1,000kWへ急拡大する中、業界の答えは±400V/800V高圧直流(HVDC)への移行でほぼ一致している。(Source: [[@2026__SpeakerDeck__AIインフラの最新技術動向 2026 — 中国OCPコミュニティから読み解く6つの技術トレンド]]) ## 横断的知見 - **1MW級ラックの登場に伴い、給電段数が2段から3段へ増加する動きがある**: 従来のDCは48Vを主母線とする2段構成(40〜60V入力→6.2〜12V→CPU/GPU)だったが、Flexは800V高圧→50V→さらに降圧という3段給電を新たな趨勢として提示する。1MW級では単一ラックに電源が収まらず、隣接する専用電源ラック(Sidecar)が解になるとされる。(Source: [[@2026__SpeakerDeck__AIインフラの最新技術動向 2026 — 中国OCPコミュニティから読み解く6つの技術トレンド]]) - **具体的な実装ロードマップは複数ベンダーで段階的な電力等級の引き上げとして共通に示されている**: ByteDance大禹アーキテクチャは264kW→500kW→MW級という電力等級ロードマップを示し、給電方式を交流ATSから800V高圧直流ATSへ、放熱方式を空冷からコールドプレート冷却へ移行させる(変換効率97%→98.5%)。Murata(村田製作所)のORV3 HPRも480Vac buswayを前提にHPR v1〜v4の世代進化(33kWシェルフ/5.5kW PSU→110kWシェルフ/18.5kW PSU)を提示し、母線が±400Vdc/800Vdcへ移行する流れとあわせて2026年にHVDC製品を投入する計画を示す。両社のロードマップは独立に策定されているが、480V〜800Vへの母線電圧引き上げという方向性で一致する。(Source: [[@2026__SpeakerDeck__AIインフラの最新技術動向 2026 — 中国OCPコミュニティから読み解く6つの技術トレンド]]) - **チップ側のコスト構造転換(パッケージ革新)が、給電密度の向上を電力段だけでなく半導体設計側からも支える**: 晶豊明源(BPS)のDrMOS/SPS Co-Package実装は、Power FETに必要なマスク数を22枚から11枚へ半減させ、新製品立ち上げ期間を43週から4週へ短縮する。給電アーキテクチャの世代交代は電力変換回路(ATS、PSU)の電圧設計だけでなく、電力供給を担う半導体自体のコスト構造転換とセットで進んでいる。(Source: [[@2026__SpeakerDeck__AIインフラの最新技術動向 2026 — 中国OCPコミュニティから読み解く6つの技術トレンド]]) ## 未解決の問い - ByteDance大禹とMurata ORV3 HPRはいずれも800Vdc系への移行ロードマップを示すが、母線電圧・接続規格(busway方式かPower shelf方式か)の標準化はOCP/ODCCレベルでどこまで進んでいるか。異なるベンダーの800VDCラックが混在するデータセンターでの相互運用性はどう担保されるか。 - 800V高圧直流化がもたらす感電・アーク放電等の安全リスクは、既存の48V/54Vシステム比でどの程度増加し、どのような保護設計(絶縁監視、遮断器応答速度等)で緩和されているか。本資料では言及がない。 - 給電段数の増加(3段給電)は変換効率の低下を伴いうるが、Flexが示す3段構成の総合変換効率は2段構成と比較してどう変化するか、定量データは本資料に含まれない。 ## 関連 - ソース: [[@2026__SpeakerDeck__AIインフラの最新技術動向 2026 — 中国OCPコミュニティから読み解く6つの技術トレンド]] - エンティティ: [[ByteDance]] - 概念: [[AIスーパーノード]] ## 出典 - [[@2026__SpeakerDeck__AIインフラの最新技術動向 2026 — 中国OCPコミュニティから読み解く6つの技術トレンド]]