# 記号接地問題 ## 定義 記号接地問題(symbol grounding problem)とは、単語や句、文といった記号列を、現実世界の現象や概念に対応づける能力の獲得に関する問題である。言語を扱う能力は、記号列そのものを解釈・生成する能力だけでなく、この記号と現実世界との対応づけの能力も含む。人は母語を、他者の発話を聞くだけで(単語の使い分けや文法を明示的に学習することなく)2、3歳頃から獲得していくが、その獲得過程でこの記号接地も同時に実現されている。(Source: [[@2022__Gihyo__ディープラーニングを支える技術 - Chapter 1 ディープラーニングと人工知能]]) ## 横断的知見 - 今後の取り込みで、複数ソース間の関係を追記する。 - Simon は 1996 年時点で、記号接地にあたる課題を解決可能な学習課題として扱っていた。Siklossy のプログラムは "Language through Pictures" 形式の入力、すなわち図のリスト構造表現とそれを述べる自然言語文の対から語彙と統語を獲得する。Simon は脚注で、この体系が Searle の「中国語の部屋」を反駁すると述べる。Searle の部屋と違って窓が世界に開いていれば、体系は文をそれが指す場面と比較することで語・句・文をその意味に対応づけられるからである。言語習得と記号接地が同じ過程で同時に進むという点は、人が母語を獲得する過程で記号接地も同時に実現されるという定義側の記述と符合する。(Source: [[@1996__MITPress__The Sciences of the Artificial - Chapter 3 The Psychology of Thinking - Embedding Artifice in Nature]] p.78-79, [[@2022__Gihyo__ディープラーニングを支える技術 - Chapter 1 ディープラーニングと人工知能]]) ## 未解決の問い - 現在のマルチモーダル大規模言語モデル(画像・音声・テキストを統合的に扱うモデル)は、記号接地問題をどの程度実質的に解決しているとみなせるか。テキストのみで学習した言語モデルの文脈内学習能力との比較でどう評価されるか。 - 『ディープラーニングを支える技術』の他章(第5章の自然言語処理・画像認識の応用)で、記号接地問題への具体的な取り組みがどう論じられているか確認したい。 ## 関連 - 章: [[@2022__Gihyo__ディープラーニングを支える技術 - Chapter 1 ディープラーニングと人工知能]] / [[@1996__MITPress__The Sciences of the Artificial - Chapter 3 The Psychology of Thinking - Embedding Artifice in Nature]] - 概念: [[情報処理システムとしての人間]] ## 出典 - 岡野原大輔, 『ディープラーニングを支える技術』, 技術評論社, 2022, 第1章 §1.1.