# 自動ビルド修復 ## 定義 自動ビルド修復とは、ソフトウェアパッケージのビルド失敗(依存関係欠落・コンパイラフラグ非互換・パッケージング不整合・テスト失敗等)を自動的に診断し、ビルドが成功するようソースコード・仕様/メタデータファイル・ビルドスクリプトを修正する取り組みを指す。伝統的なビルドシステム(Make・CMake・Autotools)や CI 基盤(Open Build Service・Fedora Copr・Debian ビルドファーム)はビルド失敗を検知する再現可能な環境と診断用ビルドログを提供するが、それ自体は受動的であり自動修復は行わない。LLM の登場により、ビルドログの理解・根本原因特定・修復案生成を LLM に委ねるエージェント型アプローチが研究され始めている。(Source: [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]] §5.1) 自動ビルド修復の設計は大きく 3 世代に整理できる: (1) ヒューリスティック/静的解析ベース(history-driven script repair、dependency-graph-based diagnosis。単一段階・特定失敗様式にのみ局所的に有効)、(2) データ駆動/学習ベース(ビルド結果予測・失敗原因分類・過去事例からの修正推奨。依然として特定失敗クラスや個別設定アーティファクトに限定)、(3) LLM エージェント型オーケストレーション(CXXCrafter・RepairAgent・AutoCodeRover・VulDebugger 等。perceive-think-act ループで動的にツールを選択・適用するが、多くは単一アーキテクチャ・リポジトリレベルの文脈に限定され、外部ビルドサービスとの体系的統合や反復検証を伴うエンドツーエンド修復ループを欠く)。(Source: [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]] §5.1) 修復の編集粒度は Full File Generation(ファイル全体の再生成。文脈完全性・依存整合性を重視)と Patch Generation(unified diff 形式の局所編集。効率・精密性を重視)の 2 種に大別され、両者はコンテキスト保持と生成精度のトレードオフを代表する境界的パラダイムである。(Source: [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]] §3.4) ## 横断的知見 - (単一ソースのみのため、現時点では蓄積なし。今後 SWE-bench 系・自動プログラム修復系の他ソースが取り込まれ次第、Full File Generation vs Patch Generation のトレードオフや反復フィードバックの効果について突き合わせ観察をここに追記する。) ## 未解決の問い - Full File Generation と Patch Generation の優劣は失敗カテゴリに依存することが [[Build-bench]] で示されたが(Build Preparation Error では Patch が有利、Compilation/Test/Environment Error では Full File が有利)、この失敗カテゴリ別の優劣パターンは中間粒度(function-level・block-level 編集)ではどう変化するか未検証。(Source: [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]] §4.5.1, §7) - 反復フィードバックの活用度はモデルによって大きく異なり(GPT-5 は 3 反復で+26.38pt 改善する一方 Claude Sonnet 4.5 は初回反復以降ほぼ変化なし)、この差はモデルのコンテキスト再解釈能力に起因すると推測されるが、モデルアーキテクチャ・訓練手法とこの反復適応能力の関係は未解明。(Source: [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]] §4.4) - ツール呼び出し順序の誤り(再圧縮せずアップロードする等)による非収束修復ループは、手続き的記憶・ツール系列推論の限界に起因すると分析されているが、この種の「手続き的な失敗モード」を軽減する具体的な訓練・プロンプト設計手法は今後の検証課題。(Source: [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]] §4.3.1, §4.4.1) - 自動ビルド修復と [[エージェント型コーディング]](SWE-bench 系のリポジトリレベル issue 修復)の間で、コーディングエージェントの評価知見(ツール環境忠実度・訓練-テスト環境一致原則等)がどこまで転移するかは未検証。 ## 関連 - [[Build-bench]] — クロス ISA ビルド修復を評価する初のベンチマーク。自動ビルド修復のエージェント型実装例 - [[クロスISAマイグレーション]] — 自動ビルド修復が対処すべき具体的な失敗ドメインの一つ - [[エージェント型コーディング]] — LLM をエージェントとしてツール呼び出しで自律修正させる、より広いソフトウェア工学の取り組み - [[Model Context Protocol]] — ツールオーケストレーションの標準インタフェース。Build-bench が採用 ## 出典 - [[@2026__nkcs.iops.ai__Can Language Models Go Beyond Coding - Assessing the Capability of Language Models to Build Real-World Systems]]