# 時系列基盤モデル ## 定義 時系列基盤モデル(Time Series Foundation Model, TSFM)は、大規模な多ドメイン時系列で事前学習し、ドメインごとの再学習や fine-tuning なしにゼロショット予測ができる基盤モデル。実運用の観測システムは数百万〜数十億の異なる時系列を生成し、系列ごとの教師あり学習が非現実的なため、単一モデルを水平スケールして低遅延・低コストの推論を提供できる TSFM が有力視される。([[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] はより広く、TSFM を NLP の基盤モデル(LLAMA・BERT・GPT)のパラダイムを時系列へ拡張したものと位置づけ、大規模データでの**事前学習**と特定タスクへの **fine-tuning** の 2 段階プロセスで、多様な下流タスク(予測・異常検知・分類・補完・変化点検知)の汎用バックボーンとして機能することを定義的特徴とする。ゼロショット予測に力点を置く観測系視点(前者)と、fine-tuning による多タスク適応まで含める汎用 ML 視点(後者)は、TSFM をどこまで広く定義するかで力点が異なる。 現在の理解では、TimeGPT-1(2023)が設定した「ゼロショット精度と汎化」という評価軸の上に、decoder-only/encoder-only・MoE・disentanglement・flow-matching といった複数のアーキテクチャ設計軸が並立する段階にある。観測・運用テレメトリドメインでは専用事前学習が汎用 TSFM を一貫して上回ることが合意事項として蓄積されつつあるが、予測タスクで確立したスケーリング則や精度優位は、クラスタリング・分類・下流の異常検知タスクには一様に転移しないという反証が並行して積み重なっており、この転移可能性は争点として残る。評価方法論では静的ベンチマークの情報漏洩(leakage)問題からライブ評価・決定志向評価への移行が進みつつあり、TSFM 研究自体もエージェント型時系列予測やアンサンブルという「予測の上位層」に組み込まれていく、という分野の移動が見られる。 ## 子概念 - [[Flow Matching]] - [[エージェント型時系列予測]] - [[予測事前登録プロトコル]] - [[多変量時系列予測]] - [[文脈内学習]] - [[時系列異常検知ベンチマーク]] - [[時系列基盤モデルのバイアスと失敗モード]] - [[CloudOps時系列予測データセット]] ## TSFM研究の起点と専用モデルの優位性 - **TimeGPT-1(2023)が TSFM 研究の起点であり、その後の全モデルは「ゼロショット精度と汎化」という競争軸を TimeGPT-1 が設定した枠内で戦っている。** - 根拠: [[@2023__arXiv__TimeGPT-1]] — 100B 点超の多ドメイン時系列で事前学習したエンコーダ・デコーダ Transformer をゼロショット推論し、月次 rMAE 0.727 で NHITS(0.738)・TFT(0.752)等の専用学習モデルを上回った。0.6 ms/系列という統計手法の 1/1000 の速度優位が「精度とコストの両立」という実用的フレームを設定し、後続の Chronos・TimesFM・Toto が採用する「ゼロショット精度」「再訓練不要の汎化」「推論コスト」という評価軸を定義した。TimeGPT はモデル重みを非公開にし、後続の Chronos(2024)/TimesFM(2024)/Toto(2025)は公開重みで研究コミュニティへのアクセスを拡大した。 - **LLM を転用するより時系列専用に学習した方がゼロショット精度が大幅に高く、この「専用 > 転用」という観察は複数の独立した実験系列で補強される。** - 根拠: [[@2024__arXiv__A Decoder-Only Foundation Model for Time-Series Forecasting]]([[TimesFM]]) — 200M パラメータという桁違いに小さな規模で、GPT-3 ベースの llmtime よりゼロショット Monash 幾何平均スケーリング MAE を 25% 以上改善した。NLP の語彙・文法を持つ LLM はトークン化された時系列を直接処理しにくく、専用設計のパッチ化・可変長コンテキスト対応が有効である。 - 根拠: [[@2024__arXiv__Towards Time-Series Reasoning with LLMs]] — 時系列をテキストやプロット画像に変換して LLM に入力するアプローチは知覚段階で情報損失を起こすと指摘し、軽量パッチエンコーダ(MLP)+ LoRA で 7B モデルが GPT-4o をゼロショット分類で上回ることを示した。TSFM が自前のエンコーダで時系列を直接扱う設計上の優位を裏側から支える証拠となる。 - 根拠: [[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]] — 逆方向の実験として、時系列で事前学習した Transformer の自己注意・feed-forward 層を凍結したまま画像(MNIST・CIFAR-10)・テキスト(IMDb)のビット系列分類に転用し、GPT-2・Flan-T5 と同等の精度(MNIST: 0.982 vs 0.975/0.987)を達成した。transformer が学習する系列処理能力はモダリティに対しある程度中立である一方、事前学習ドメイン(時系列)専用モデルの方が当該ドメインでは LLM 転用より優れるという非対称性を補強する。 - 反証: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]、[[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]] — Chronos(Ansari+ 2024)は T5 の言語モデル重みで初期化したモデルとランダム初期化モデルを比較し、初期化の差はベンチマーク全体で統計的に有意な優位をもたらさないことを示した。MOMENT はこれを異なるアーキテクチャ(マスク再構成の encoder-only)・異なる評価軸(訓練損失そのもの)で追試し、ランダム初期化の MOMENT-small が Flan-T5 重みで継続事前学習した同サイズモデルより**低い**訓練損失に収束すると報告した。2 つの独立した encoder アーキテクチャ・訓練目的関数にわたって「言語事前学習の転移は時系列に効かない」という知見が補強される。 - **TSFM の世代交代は速く、同名モデルでも参照時点でスペックが異なるため、モデル名だけでなくバージョン・参照論文の年次まで確認する必要がある。** - 根拠: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]](2025-04)は [[Toto]] を 103M・1 兆点、Chronos を T5 ベース単変量と記述するが、vault が後に取り込んだ [[Toto]](NeurIPS 2025 版、151M・約 2.36 兆点)・[[Chronos-2]](2025、group attention で多変量)は更新版で設計が異なる。サーベイは「地図」だが TSFM の進化が速く、描かれた時点で一部が既に古びる。 - **「TSFM」の定義境界は真のゼロショット汎化を要求するか、それとも多タスク教師あり事前学習+適応で十分かで割れており、[[UniTS]] はこの境界線上に位置する。** - 根拠: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]] — 「ドメインごとの再学習・fine-tuning なしのゼロショット予測」を TSFM の定義的特徴とする(狭義)。 - 根拠: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] — 「大規模事前学習+特定タスクへの fine-tuning」の 2 段階プロセスを許容する、より広い定義を採る。 - 根拠: [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]](NeurIPS 2024) — 38 データセットでの統一マスク再構成事前学習の後、prompt tuning や few-shot fine-tuning で新規タスク・データセットへ適応する設計であり、広義の定義には合致するが、著者ら自身が Appendix M で「本研究は主に few-shot 学習を主眼とし、訓練データに一切含まれない完全新規ドメインへのゼロショット汎化は今後の課題」と明記しており、[[Toto]]/[[Chronos-2]]/[[TimesFM]] が満たす狭義のゼロショット定義は満たさない。 ## アーキテクチャの分岐と設計空間 - **decoder-only と encoder-only というアーキテクチャの分岐が並立し、decoder-only の causality(因果性)維持が長コンテキストで有利という機序が実証された。** - 根拠: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]、[[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] — [[Toto]] は decoder-only(151M、次パッチ予測)、[[Falcon-X]] は encoder-only(591M、masked reconstruction + 時間/変量の分離)。スケールも 151M→591M と拡大し、Falcon-X は 59M→591M で neural scaling law に従うと報告する。 - 根拠: [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]](ICLR 2025) — encoder-only の UniTST は長コンテキストで性能劣化を起こす(Figure 3)のに対し decoder-only の Timer-XL はこれを緩和する。表現分析(Figure 11)では decoder-only モデルが過去コンテキストの直近部分に選択的に注意を向けるのに対し encoder-only はノイズの多い離れた部分にも注意が分散することが観察された。ERA5(年次コンテキスト)でも PatchTST(encoder-only)の MSE が 4 ヶ月コンテキストで 0.0745→0.1194 へ悪化する一方、decoder-only の Timer-XL/DLinear は一貫して改善する。 - 関連: [[Sundial]]([[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]]、ICML 2025) — Timer-XL と同じ Tsinghua 研究室([[Yong Liu]]・[[Guo Qin]]・[[Mingsheng Long]] ほか)が decoder-only + causal self-attention という共通骨格の上に、flow-matching ベースの生成的損失 [[Flow Matching|TimeFlow Loss]] を新たに組み合わせ、「長コンテキスト汎化」(Timer-XL)と「生成的確率予測」(Sundial)という 2 つの改善軸を同一研究室内で独立に探索した。1 兆点規模の TimeBench は Timer-XL の事前学習規模を大幅に上回る。 - **多変量化が次の主戦場として複数ソースで指摘され、Group Attention が O(V) メモリスケーリングで多変量 TSFM の実用上限を押し上げた。詳細な手法比較は子概念 [[多変量時系列予測]] に集約する。** - 根拠: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]、[[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] — 初期 TSFM の多くは channel independence で単変量に閉じていたが([[Toto]] 論文が指摘)、[[Falcon-X]] は「ほとんどの TSFM は依然として単変量」を起点に cross-variate モデリングを正面の課題に据える。 - 根拠: [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]] — Group Attention は同一グループ内の同一パッチインデックスのみで注意を計算し O(V) を実現する。先行の Moirai-1.0 は変量を平坦化し O(V²)、Toto-1.0 は将来既知共変量・カテゴリカル共変量に非対応、COSMIC は共変量付きに対応するが多変量ターゲットに非対応という各制限を、Chronos-2 は O(V) で解消する(Table 1 比較)。Chronos-2 のアブレーション(Figure 3・4)では多変量タスクでの ICL ゲインが共変量付きタスクに比べて小さく、Takens の埋め込み定理(十分に長い履歴があれば単変量観測から多変量システムの状態を再構成できる)がこれを解釈する——強力な単変量モデルは長い系列から多変量構造を暗黙的に捉えられるため、明示的な変量間情報共有の恩恵が限定される。 - **確率的予測の実現手段は量子化+分類(categorical)・パラメトリック密度・flow-matching という 3 系統に分かれ、この二分は訓練目的関数の二分(点予測 対 確率的)と対応する。** - 根拠: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] — 目的関数を独立の分類軸に立て、点予測系(MSE: TimesFM/[[MOMENT]]/Timer、Huber: Time-MoE)と確率的系(NLL: Toto/Lag-Llama、Cross Entropy: Chronos、Log-Likelihood: MOIRAI)を分ける。15 モデルを (1) アーキテクチャ、(2) パッチ有無、(3) 目的関数、(4) 単変量/多変量、(5) 確率的/決定論的、(6) 規模の 6 軸で横断分類し、vault が個別に観察した「アーキテクチャの分岐」(軸 1)・「多変量化」(軸 4)に座標系を与える。一方でサーベイは観測(observability)ドメインの統計的特性(分布外・裾の重さ)を扱わず、[[Toto]] を「[[Datadog]] の内部生成データで学習」とだけ記述する——汎用 ML 視点の地図(サーベイ)と観測特化研究(Toto/BOOM/Cisco TSM)の視点差が、同じモデルへの記述の粒度として現れる。 - 根拠: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]] — 時系列値を平均スケーリング後に均一量子化し($B=4096$ ビン)、クロスエントロピー損失で学習する。デコード時は複数トークン列を独立サンプリングし、経験的分位数から任意の予測区間を構成する。分布の形状を仮定しない柔軟性を持つ一方、オーバーフロー(値域外クリップ)と量子化誤差が精度の上限を制約する構造的トレードオフを内包する。詳細は [[時系列トークナイゼーション]] を参照。 - 根拠: [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]] — TimeFlow Loss(flow-matching)は同一バックボーン・同一事前学習規模でのアブレーション(Table 3・Table 7)により、MSE 損失・拡散損失のいずれよりも低い MSE・CRPS を一貫して達成することを示し、量子化ベースの categorical 分布(Chronos)ともパラメトリック密度(TimesFM/Moirai/Toto/Lag-Llama)とも異なる第 3 の確率的予測パラダイムを提示する。TSLib・GIFT-Eval・FEV の 3 大ベンチマークで Time-MoE(点予測)・Chronos(categorical)・Moirai(パラメトリック密度)のいずれも上回るゼロショット SOTA を達成した。 - **スパース MoE はビリオンスケール化と specialization(専門化)の粒度向上という 2 つの独立した動機系統から TSFM に導入され、内部エキスパート割り当ての可視化が頻度非依存表現の獲得過程を明らかにした。** - 根拠: [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]] — decoder-only トランスフォーマーの FFN を MoE 層(非共有エキスパート+常時有効な共有エキスパート、Top-2 ルーティング)で置き換え、同一活性化パラメータ数の密モデルに対し訓練コスト 78% 削減・推論コスト 39% 削減で 2.4B パラメータへスケールアップした。ゼロショット MSE を最良ベースライン(Moirai-large)比 11%・Chronos-large 比 23%・Moment 比 30% 削減した。複数ホライズン $\{1, 8, 32, 64\}$ への FFN ヘッドと貪欲スケジューリングで可変ホライズンを効率的に生成する。エキスパートの専門化可視化はドメイン間の知識分離を示唆する。 - 根拠: [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]] — Moirai・TimesFM が採る「頻度」という人為的メタ特徴による model specialization の限界(頻度が同じでもパターンが異なる、頻度が違ってもパターンが似る、単一系列内でも非定常)を出発点に、MoE をトークンレベルでのデータ駆動的 specialization の手段として導入する。訓練目的のみを masked encoder → decoder-only に変えた中間バリアントは Aggregated MAE が MoiraiS の 0.78 から 0.75 へわずかに改善するに留まる一方、単一射影層 + MoE を追加した最終形(Moirai-MoES)は 0.65 まで改善し、性能向上の主因が訓練目的の変更ではなく MoE によるトークンレベル specialization にあることを定量的に切り分けた。モデル分析(Figure 6)では浅い層(Layer 2)で頻度ごとに大きく異なるエキスパート選択分布を示す一方、最終層(Layer 6)ではほぼ全頻度が同一の少数エキスパート(32 中 3 個程度)に収束することを可視化し、「頻度は時系列パターンの信頼できる指標でない」というモデルの批判的前提が内部でどう解消されるかを示した。 - **明示的 disentanglement(絡み合いの分離)というアーキテクチャ軸が、予測特化 TSFM のスケーリング則確立とは逆方向に、超小型モデルによる規模の不利の克服を実現した。** - 根拠: [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]] — 時間・周波数の両空間でのマスク再構成を時間的・スペクトル的・意味的の 3 ビューへ明示的に disentangle し、1M パラメータで 10〜100 倍大きい [[MOMENT]]・[[UniTS]]・VQShape 等を分類・補完・異常検知・類似検索の 4 診断タスクで上回った。感度分析(Table 2/4)は時間埋め込みが位相シフトに高感度(歪み 130%)・意味埋め込みが欠損/ノイズ/位相いずれにも頑健(歪み 4.6〜12%)であることを定量的に示す。TSPulse は [[UniTS]] を「規模で劣るが精度で上回るべき対象」として名指しで比較する——診断タスクでの世代交代の一次証拠であり、UniTS の統一トークン化と TSPulse の disentangled multi-view 表現は、いずれも「単一の巨大バックボーンへの依存を減らす」方向で設計されている点で共通する。 - 関連: [[Tiny Time Mixers (TTM)]]([[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]]、NeurIPS 2024) — 同じ著者陣による TSMixer バックボーンの「小型化路線」が TSPulse に約 1 年半先行して確立していた。disentanglement は予測から診断タスクへの拡張時に追加された機構にすぎない。 - 反証: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] — 6 次元タクソノミーはいずれも「単一タスク(主に予測)をどう解くか」を分類する軸であり、[[UniTS]] が中心的貢献として掲げる「予測(生成的)と分類(識別的)を同一モデル・同一トークン化枠組みで統一する」という次元は暗黙の前提としてしか扱われない。[[MOMENT]](2024-02)は「予測特化でないマルチタスク TSFM」という後続系譜(UniTS・TSPulse・Falcon-X)の最初期の実例であり、encoder-only masked reconstruction 系譜の起点にも位置づけられる。UniTS の Gate module(sigmoid ベースの再スケーリングによるドメイン間干渉緩和)や prompt learning(バックボーン完全凍結、prompt token のみ学習)といったトークンレベルの適応機構は、既存 6 軸には明示的に含まれない。 - **「モデル改良」路線に直交する「推論時ラッパー」路線が精度・効率を同時改善するが、Transformer 系以外のアーキテクチャには効果が及ばない。** - 根拠: [[SPRINT]]([[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]]) — 既存 TSFM を学習不要のラッパーで包み、推論時のダウンサンプリングだけで精度 +19%・メモリ 6.35 倍削減・推論速度 16.87 倍改善を達成した(9 データセット・7 TSFM の平均)。ダウンサンプリングによるコンテキスト長の実質拡大がノイズ除去とルックバック延長の二重効果を生み、「精度と効率はトレードオフ」という通念に反する。パターン複製単体(Pattern Replication のみ、Table 3「Season Forecast」列)が全データセット・全 TSFM でベースラインを上回り、TSFM 内部の季節モデリング能力よりシンプルな外部複製が長期予測には効くことを示した。 - 反証: SPRINT の効率改善は Attention ベースの TSFM が系列長に二乗で計算量が増えることを利用するが、VisionTS は時系列を固定解像度の画像として扱うためダウンサンプリングが効かない。7 TSFM 中 1 つだけが例外になることは、「Transformer 系か否か」というアーキテクチャ軸が推論時最適化の適用可能性を決定することを示す。 ## 事前学習データとトークン化戦略 - **汎用 Web データと合成データの混合が、実世界の私的データなしに TSFM の多ドメイン・多粒度ゼロショット汎化を支える一方、汎用コーパスの偏りとドメイン特化コーパス戦略は対称的なトレードオフをなす。** - 根拠: [[@2024__arXiv__A Decoder-Only Foundation Model for Time-Series Forecasting]] — [[TimesFM]] は〜300B 点の Wikipedia ページビュー時系列をコーパスの大部分に採用し、〜0.5B 点の Google Trends・3M 系列 ×2048 点の合成データと組み合わせた。財務・医療などのプライベートデータなしに、公開ウェブデータだけで多ドメイン・多粒度のゼロショット汎化を達成した先例である。 - 根拠: [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]] — Time-300B(309B 点)は Nature ドメイン(気象・気候系列)が 90.5% を占める不均一分布を持ち、ETT・Weather 等の標準ベンチでの強さに対応する。[[Toto]]/[[BOOM]] が運用テレメトリ特化で汎用 TSFM を凌ぐのは、事前学習データの分布ミスマッチを正面から狙った戦略の成果であり、Time-300B は「大規模汎用コーパス(90% が自然系列)」、BOOM は「小規模ドメイン特化コーパス(観測メトリクスのみ)」と対称的で、スケール × 汎用 vs 特化 × 小規模のトレードオフを体現する。 - **実世界データと合成データ(KernelSynth・TSMixup)の混合事前学習、Multivariatizer による合成依存関係の付加が、データ不足を回避しつつ TSFM の汎化を支える設計レシピとして定着した。** - 根拠: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]] — 28 データセット(15 datasets in-domain、13 datasets pretraining-only)を混合し、さらにガウス過程カーネルをランダムに組み合わせて生成する KernelSynth 合成データを追加する。合成データ単体(Chronos-Bolt, KernelSynth)でも多くのゼロショットベンチ(Benchmark II)で専用モデル(N-BEATS 等)に匹敵する精度を達成した。訓練時に $k$ 個の系列をランダムサンプリングして凸結合(混合比は Dirichlet 分布からサンプル)する TSMixup は、Benchmark II(27 ゼロショットデータセット)での幾何平均スコアをアブレーションで明確に改善する。 - 根拠: [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]] — Multivariatizer(cotemporaneous + sequential の 2 種)は単変量生成器からサンプルした系列に依存構造を合成的に付加し、実世界の多変量データをほぼ用いずに多変量 ICL 能力を付与した。fev-bench(100 タスク中 42 タスクが共変量付き)で共変量なし時のSkill Score 39.9 が ICL 適用で 47.0 まで改善し、TiRex・TimesFM-2.5・Toto-1.0 等の単変量専用 TSFM を大差で上回った。「高品質な実世界多変量データの不足」という業界課題を合成データで正面から回避する最初の本格的事例である。 - 根拠: [[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]] — アブレーション(Figure 3)は「データ量を 250M→1B に増やす効果(6% 改善)」より「diverse resolution sampling による解像度多様性の付加(37% 改善)」の方がはるかに大きいことを定量的に示し、Chronos の TSMixup・KernelSynth より先に「量そのものより多様性の設計が汎化を左右する」という結論に到達していた。TSMixup/KernelSynth が系列パターンの多様性を合成データで拡張するのに対し、TTM の DRS(diverse resolution sampling)は既存データの解像度次元だけを人工的に増やす点で操作対象が異なる。 - **NTP(next-token prediction)への汎用トークナイザが生成・分類まで統一し、訓練不要文脈内推論を初めて実現した。** - 根拠: [[@2026__arXiv__Time Series as Language - A Universal Tokenizer for General-Purpose Time Series Foundation Models]](Zhang+ 2026) — VQ-VAE 系の汎用トークナイザ **UniTok** とその上に NTP で事前学習した **UniTok-FM** を提案した。Chronos が点単位の均一ビニングで NTP を行うのに対し、UniTok はプレフィックス正規化・漸進解像度因果エンコーダ・構造保持再構成損失の 3 要素で可変長・非有界時系列を離散トークンに変換し、Chronos より大幅に豊かな時間構造を捉える。UniTok-FM は同一モデルでゼロショット/プロンプト強化予測・少数ショット生成・少数ショット分類をすべて訓練不要文脈内推論で実現した最初の TSFM であり、この多タスク訓練不要推論は先行研究に前例がない。GIFT-Eval 予測で Chronos-Bolt と競合し、5 プロンプト例で Diffusion-TS(1000 サンプル訓練)と同等の生成品質を達成、UCR-FewShot 分類で UCR データなしに [[MOMENT]] と同等精度(Acc 0.755 vs 0.778)を示した。 - **不規則時系列が TSFM の構造的空白として独立軸で扱われるようになったが、規則的な観測テレメトリへの収斂と不規則時系列対応が両立可能かは未整理である。** - 根拠: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]] — 既存 7 本([Ma+ TKDE 2024]・[Jin+ arXiv 2023]・[Liang+ KDD 2024]・[Ye+ 2024]・[Kottapalli+ 2025]・[Liu+ 2025])との比較表(Table I)で「Irregular」列を持つ唯一のサーベイと自認し、MIMIC-III/IV・PhysioNet'12/'19・Human Activity・USHCN・PAM 等の不規則ベンチを事前学習(constant time-masking + contrastive、continuous latent space)・評価両面で扱う。vault の TSFM 観察は規則的観測テレメトリ([[Toto]]/[[BOOM]])・規則 LTSF(ETT 系)に偏っており、不規則時系列(医療・センサー)での TSFM 性能は未整理である。 ## 観測・運用ドメインへの特化 - **観測・運用テレメトリドメインでは専用事前学習が汎用 TSFM を一貫して上回るという「専用 > 転用」路線が、複数の独立したドメイン特化 TSFM で再現している。** - 根拠: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]] — [[Toto]]/[[BOOM]] は [[Datadog]] の観測メトリクスに特化する。 - 根拠: [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] — 事前学習に alibaba_cluster_trace・azure_vm_traces・borg_cluster_data を含み、評価に観測系の BOOMLET([[BOOM]] 部分集合)を使う。 - 根拠: [[@2026__arXiv__APEX - A Network-Native Time-Series Foundation Model for Forecasting and Anomaly Detection for Wireless Edge Operations]]([[Cisco]]) — 無線 AP テレメトリ(バースト性・ゼロ過剰・プロトコル層間依存)で汎用 TSFM([[TimesFM]]/[[Toto]]/[[Chronos-2]])の転移性能が低いという課題意識から、DHCP 因果連鎖の 10 チャネル多変量テレメトリのみで decoder-only transformer を事前学習する。APEX-Large と最強の汎用ベースライン([[Toto]])は同じ decoder-only アーキテクチャでありながら MAE で 12〜18% の差が生じ、論文はこれを「アーキテクチャ効果ではなくデータ効果」と位置づける。[[@2026__arXiv__Centile - A Telemetry Foundation Model Evaluated by the Decisions It Drives|Centile]] に続く 2 件目のネットワークテレメトリ特化 TSFM として、汎用 TSFM 比の定量的な差分を追認する。 - **観測特化のアプローチに「多解像度の長コンテキスト」という新軸と、既存 TSFM への継続事前学習という低コストな拡張路線が加わった。** - 根拠: [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] — 粗い 1 時間と細かい 1 分のコンテキストを連結する多解像度入力を、観測データ特化の事前学習(causal scaling 等、[[Toto]]/[[BOOM]] の路線)とは直交する軸として加える。「過去パターンが長期に持続する観測ドメインでは長い履歴が決定的」という観察から出発する点で [[Toto]](「観測データの分布・裾の重さ」から出発)と着眼が異なるが、評価では Toto-1.0 が次点級の競合として現れる。新規モデルをゼロから作らず、[[TimesFM]] に特殊トークンと解像度埋め込みを足して継続事前学習(CPT)するだけで観測ドメインの優位と汎用能力の維持を両立し、ゼロからの学習や凍結スケジュールより CPT が最速で収束したと報告する。[[Toto]]・[[Falcon-X]] が大規模な専用モデルを新規に学習する路線と対照的な、実践的な拡張の道筋を示す。TimesFM 2.0 の学習コーパスに含まれるデータセットを除いた「non-leaking」版で評価し、コンテキスト ≥ 512 の長コンテキスト部分集合を分離して報告する。 - **予測と異常検知を単一チェックポイントの MC-dropout 予測区間で統合するという設計は、検知専用パイプラインの二重配備を不要にする。** - 根拠: [[@2026__arXiv__APEX - A Network-Native Time-Series Foundation Model for Forecasting and Anomaly Detection for Wireless Edge Operations]] — 推論時にも dropout を有効にしたまま N=50 回の確率的フォワードパスでアンサンブルを構成し、P5/P95 分位点で予測区間と異常検知の両方を同一モデルから得る。追加パラメータなしに不確実性を得られるため、10.5M パラメータの APEX-Edge でも VAR-Mahalanobis(F1=0.94、線形手法)に迫る F1=0.93〜0.89 を達成し、リソース制約下のエッジで「予測モデル+別の検知モデル」という二重配備を避けられる。 - **TSFM は AIOps の異常検知/障害種別分類の手法系統としても位置づけられ、予測精度向上は下流の異常検知・障害予測の入力として整理される。** - 根拠: [[A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models]](§5.1) — Lag-Llama・TimesFM(decoder-only)・TimeGPT・SimMTM(encoder-decoder)等の時系列基盤モデルを、AIOps の [[異常検知]]・failure category classification の主要手法として整理する。汎用 TSFM 研究(予測タスクの精度を競う文脈)とサーベイ(予測ベースの異常検知を AIOps タスクの一手段とみなす文脈)は、同じ基盤モデルを別の評価軸で見ている——TSFM の予測精度向上は下流の異常検知・[[障害予測]]の入力になる。 - **観測データ特有の急変動・スパイクへの脆弱性は、検知タスクと予測タスクの双方で独立に観測された共通の失敗パターンである。** - 根拠: [[TelecomTS]]([[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]]) — ストリーミング起因の TX_Bytes スパイクが全モデルで偽陽性を誘発する失敗パターンを報告する(Figure 6)。NME(Numerically Multi-scaled Embedding)分岐のあり/なしで 5 アーキテクチャを比較し、スケール情報の追加が**ほぼ全モデル・全タスクで一貫して性能を向上**させることを実証した(Autoformer: RCA +30.4pt(0.280→0.584)、Informer: 異常検知 F1 +0.401(0.451→0.852))。[[Toto]] が観測データの事前学習により異常検知 F1 0.615・RCA 精度 0.848 で他の TSFM を大幅に上回る一方、Toto 自体はスケールを明示的にエンコードせず、Mantis(NME 搭載)が異常検知 F1 0.800 で Toto を上回る。 - 根拠: [[@2025__arXiv__Performance of Zero-Shot Time Series Foundation Models on Cloud Data]] — Huawei Cloud の周期的スパイクを持つ関数リクエストデータに対し、6 種のゼロショット FM(VisionTS・TTM・TimesFM・Chronos・Moirai・Mamba4Cast)がいずれも単純なオンライン線形モデル・ナイーブ季節性予測器に劣り、特に Moirai はコンテキストの 1 ステップの違いだけで予測が突然崩壊する病理を示した。検知(偽陽性)と予測(精度劣化・病理的崩壊)という異なるタスク・異なるドメインの 2 ソースが、「TSFM はスパイク・急変動の文脈で信頼性が低下する」という同じ弱点に収斂する。詳細は子概念 [[時系列基盤モデルのバイアスと失敗モード]] を参照。 - **masked encoder + RoPE + 独立 Student-T という設計選択、in-collection ゼロショットが fine-tuning と同等かそれを上回りうるという知見は、汎ドメイン TSFM 以前の CloudOps 事前学習研究で先に定量実証されていた。** - 根拠: [[@2023__arXiv__Pushing the Limits of Pre-training for Time Series Forecasting in the CloudOps Domain]]([[Gerald Woo]]・[[Chenghao Liu]]・[[Doyen Sahoo]]) — [[CloudOps時系列予測データセット]](azure2017・borg2011・ali2018)を用いたアブレーションで、masked encoder が encoder-decoder より優れ、独立 Student-T 分布が量子関数・正規化フローより頑健で、RoPE が日時特徴量のみより優れた位置エンコーディングであることを、同じ著者陣による [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]] より 1 年以上先に定量実証していた。同一コレクション(同一システムが生成する時系列群)内で事前学習したモデルのゼロショット予測が、同コレクション内の held-out 系列への fine-tuning と同等以上の性能を示すことも報告した。これは TimeGPT-1・Chronos・TimesFM 等が主張する「異なるドメイン・異なるコレクションへのゼロショット汎化」より狭い主張(同一システム内での未知系列への転移)だが、より厳密に統制された実験設定(pre-train/train-test の非重複分割、Wasserstein 距離による分布シフトの定量確認)の上に成り立つ。TSFM の主要設計選択(アーキテクチャ・確率的ヘッド・位置エンコーディング)の少なくとも一部は、汎ドメイン TSFM 以前の in-collection 事前学習研究で先に検証されていたことになる。 - **「汎ドメイン TSFM 対ドメイン特化手法」の矛盾は和解不能であるとするポジションペーパーが登場し、性能飽和と実務乖離を根拠に汎ドメインアーキテクチャ研究自体の方向転換を要求する。** - 根拠: [[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]] — 汎ドメイン TSF ニューラルネットワークの性能が近年飽和し(Accuracy Law: ETT・Electricity・Weather で頭打ち)、ハイパーパラメータ次第でテスト済み 8 手法のほぼ全てが「SOTA」になりうると指摘する(Brigato+ 2026)。Kaggle コンペ上位手法(Optiver 3225 チーム、Jane Street 4085 チーム)は特徴量エンジニアリング+CatBoost/XGBoost 等であり、各ドメインのトップ会議論文(金融・気象・医療・交通)も汎ドメイン TSF NN を使わないと報告する。時系列の近似誤差下界 $O(1/\sqrt{T})$ により NLP・CV のスケーリング則が TSF には適用できないと論じる。この批判は vault が観察してきた「観測データ特化の TSFM が汎用を凌ぐ」流れ([[Toto]]/[[BOOM]]・Cisco TSM)と整合するが、本論文はさらに踏み込んで「汎ドメインアーキテクチャ研究自体の方向転換」を要求する。一方、TSFM 研究の貢献(ベンチマーク整備・新アーキテクチャの着想・エージェント系の行動空間への供給)を過小評価している面がある。 ## スケーリングと後学習 - **Toto 2.0 が予測特化 TSFM で初めてスケーリング則を確立し、「BERT モーメントから GPT-2 モーメントへ」の移行を宣言した一方、小型化路線はそれに先行して既に確立していた。** - 根拠: [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]、[[@2026__Datadog__Toto-2.0-Time-Series-Forecasting-Enters-the-Scaling-Era]] — Toto 1.0 とその同時代の TSFM が「TSFM の BERT モーメント」(多様な下流タスクへの適用が示された段階)に相当したとすれば、Toto 2.0 は 4M〜2.5B の 5 サイズで単調かつ信頼できるスケーリングを実証し「TSFM の GPT-2 モーメント」を宣言した。全サイズが 1 つ下のサイズを上回り(BOOM/GIFT-Eval/TIME 全ベンチ)、[[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] が指摘していた「スケーリングの失敗(大きいモデルが小さいモデルを下回ることがある)」を具体的に克服した初事例である。公開予測データセットを事前学習に使わず(観測メトリクス+合成データのみ)、汚染耐性ベンチ TIME でも同様のスケーリングが成立することは、スケーリング則が単なる訓練データ汚染の結果でないことを示唆する。22M が旧 Toto 1.0(151M)の 7 分の 1 のパラメータで同等性能を達成し、スケーリングとパラメータ効率の両立を示す。[[u-μP]] によるハイパーパラメータ転移がスケーリング実験コストを大幅に削減した技術的裏付けを持つ。 - 反証: [[Tiny Time Mixers (TTM)]]([[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]]、NeurIPS 2024) — Toto 2.0 のスケーリング則確立より約 1 年半早く「小型化そのものを最適化目標に据える」路線を確立していた。TSMixer(MLP-Mixer 系、自己注意なし)をバックボーンに、adaptive patching・diverse resolution sampling・resolution prefix tuning という 3 機構で 1M パラメータのモデルに 311M パラメータの MoiraiL・200M パラメータの TimesFM を上回るゼロショット精度を持たせた。「小型・高多様性」(TTM)と「大型・高規模」(Toto 2.0)のどちらが同一計算予算内でより高いゼロショット精度に達するかは、同一予測タスクでの直接比較がまだなく未検証である。TTM は確率的予測に非対応で点予測のみをサポートすると著者ら自身が限界として明記する。 - **TSFM サーベイの軸が「事前学習」から「事後学習(post-training)」へ拡張され、協調的 fine-tuning が PLC / MLC / HLC の 3 階層で、強化 fine-tuning が推論駆動/非推論で整理された。** - 根拠: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]] — TSFM を「データセット — 事前学習 — 事後学習」の 3 次元タクソノミーで体系化し、先行サーベイ群(7 本)が事後学習を扱わない点を本サーベイの差別化点とする(Table I)。外部依存度で TSFM の協調 fine-tuning を 3 段に分ける——PLC(parameter-level: LoRA・Adapter で軽量モジュール追加)、MLC(model-level: CLIP 流の LLM/VLM との多モーダル統合)、HLC(hybrid-level: 中規模モデルを介する知識蒸留)。強化 fine-tuning は「推論駆動 vs 非推論」で二分し、GRPO + chain-of-thought + LLM 判別器の組み合わせ(Zhang+ TimeMaster・Luo+ SFT+GRPO・Xiao+ 金融 volatility-normalized reward)を TSFM への RL 持ち込みの代表例として整理する。これは NLP・コード生成中心に展開してきた [[強化ファインチューニング]] の研究系譜が TSFM ドメインへ流入し始めている兆候であり、サーベイはこれを「萌芽期」と位置づけ引用論文も少数(4 本)に留まる。 - 関連: [[UniTS]] の prompt learning(バックボーンを完全凍結し、データセット・タスクごとの学習可能な prompt token のみを学習)は LoRA より軽量な適応機構でありながら、few-shot fine-tuning(全パラメータ更新)に匹敵する性能を予測タスクで達成する(MAE 0.379 vs 0.381)。サーベイの PLC 分類は LoRA/Adapter を主に想定しており、UniTS のようなトークンレベルの適応(新規パラメータ追加ではなく既存アーキテクチャ内の専用トークンのみ学習)という設計変種は明示的に扱われていない。 - 関連: [[Cast-R1]]([[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]])・[[TimeCopilot]]([[@2025__arXiv__TimeCopilot]]) — 本サーベイは agent-based post-training を将来方向で 1 段落のみ扱い、これらの具体実装は未参照のまま残る。 - **ドメイン適応の第三の道として「文脈内ファインチューニング」が、ゼロショット推論と per-dataset ファインチューニング(勾配更新)の二分法を崩す。同じコンテキスト予算でも、長い履歴より複数の関連例示を詰め込む方が効率的である。** - 根拠: [[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]] — [[TimesFM]] を継続事前学習した TimesFM-ICF は、推論時にコンテキストウィンドウへ対象ドメインの関連時系列例示を追加するだけで、Monash ベンチマーク全体において per-dataset の全重み更新ファインチューニング(FT-TimesFM Full)を約 3% 上回った。ファインチューニングの総所要時間 115 分に対し推論はわずか 4 分であり、著者らは小規模データセットでのファインチューニングが引き起こす破滅的忘却がこの逆転の一因と推察する。最大履歴長 2048 で訓練した TimesFM(LH)が TimesFM(base)比でわずか 1% の改善にとどまるのに対し、同程度のコンテキスト長を文脈内例示に割り当てた TimesFM-ICF は 7% の改善を達成した——短い時系列を長履歴モデルに与えるとパディングで大半のコンテキストが浪費される一方、文脈内例示としてなら複数の短い時系列をパッキングして活用できる。TimesFM-ICF は Wiki 系 4 データセット(数百万本の記事関連時系列、相互の関連性が不明瞭)を継続事前学習から意図的に除外しており、著者ら自身が他の基盤モデル(Toto・Chronos-2・Moirai 等)への適応も今後の課題として挙げる。 ## 評価方法論の課題 - **静的な held-out ベンチマークでのSOTA順位は、情報漏洩を設計上排除したライブ評価では入れ替わり、ベンチマーク leakage の扱いは TSFM 評価の共通課題として複数ソースで意識されている。** - 根拠: [[@2026__arXiv__TS-Arena - A Live Forecast Pre-Registration Platform]] — 正解データが物理的に存在する前に予測提出を強制する [[予測事前登録プロトコル]] により、直接的・間接的情報漏洩を構造的に排除した 2025 年通年のエネルギー時系列バックテストを報告する。この評価では [[Chronos-2]](グローバル ELO 1289)・TiRex(1270、最低 MASE 0.682)が上位を占め、TSLib・GIFT-Eval・FEV leaderboard で静的ベンチマーク SOTA を記録した [[Sundial]](128m)は ELO 1154 の中位にとどまる。静的ベンチマークでの順位が漏洩フリーの継続評価でそのまま再現されない可能性を示す最初の実証例である。 - 根拠: [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]]、[[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] — [[GIFT-Eval]] を使う両ソースが leakage を意識し、Cisco TSM は TimesFM 2.0 の学習コーパスに含まれるデータセットを除いた「non-leaking」版で評価、Falcon-X も GIFT-Eval 事前学習部分を使いつつテストとのリーク回避を明記する。観測テレメトリ由来データ(自社運用ログ)で out-of-domain かつ in-the-future な test を構築する手法は、leakage を構造的に避ける一手段になりうる。 - **評価指標は MASE(点予測)・CRPS(確率的較正)がde facto標準として広く共通利用される。** - 根拠: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]、[[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] - **予測タスクで確立した精度優位・スケーリング則は、クラスタリング・分類・特定ドメインの異常検知といった下流タスクには一様に転移しない。「予測以外のタスクでの TSFM の優位」は未確立である。** - 根拠: [[@2025__PVLDB__Time-Series Clustering - A Comprehensive Study of Data Mining, Machine Learning, and Deep Learning Methods]] — Paparrizos+ 2025 の 84 手法ベンチマークは CHRONOS・OFA・[[MOMENT]] の 3 基盤モデルを時系列クラスタリングで初めて体系的に評価し、いずれも 10 年前の k-Shape を Wilcoxon 検定・Friedman-Nemenyi 検定で統計的に上回れないことを示した。[[MOMENT]] は [[UCR Time Series Archive]] を事前学習に使用しており、データ汚染を指摘された。 - 根拠: [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]] — Chronos・[[TSPulse]] を AIOPS・MSCloud(ソフトウェア性能運用メトリクス)でゼロショット評価し、4 つの代表的 TSAD ベースライン(AR・Isolation Forest・LSTM-AD・VAE)と同等の性能(MSCloud で Chronos が AUC-PR 2 位)を得たが、いずれのデータセットでも最良にはならなかった。訓練を要するベースラインの総所要時間(訓練+推論)は必ずしもゼロショット FM より短いとは限らず(LSTM-AD は基盤モデルの総時間の 2 倍超)、精度で並ぶ場合はゼロショットの運用コスト削減が実務上の利点になりうる。 - 反証: [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]] — TSPulse 原論文は TSB-AD リーダーボード(40 SOTA 手法、汎用異常検知データセット)でゼロショットのまま VUS-PR +14〜16% の最良性能を報告する。同じモデルが汎用リーダーボードでは SOTA、より専門化した下流ドメイン(ソフトウェア運用、上記 ICPE 論文)への転移では非最良——評価スコープの違いが「TSFM の優位性」の結論を左右する一次証拠であり、矛盾ではなく汎用ベンチマークでの優位性が専門化した下流ドメインへの転移では必ずしも保証されないことを示す。 - **点予測メトリクス(MASE・CRPS 等)は、そのモデルが駆動する意思決定の質を保証しない。決定志向の評価プロトコル(decision replay)が独立に必要になる。** - 根拠: [[@2026__arXiv__Centile - A Telemetry Foundation Model Evaluated by the Decisions It Drives]] — 運用テレメトリでは点予測誤差が last-value ベースラインの近傍で頭打ちになりやすく、誤差の改善が下流の意思決定の改善を保証しないことを明示的な動機とし、HPC バックフィリングとネットワークプロビジョニングという 2 つの意思決定を再生(decision replay)することでモデルを評価するプロトコル([[決定志向予測評価]])を導入した。実験では「真のランタイムでのスケジューリング」が必ずしも最良の bounded slowdown を生まないという、点予測誤差の直感に反する結果が示された。Centile 自身は Chronos-Bolt(汎用 TSFM)をゼロショットベースラインとして比較し、固定分位点グリッド(τ=0.9 まで)しか持たない汎用モデルに対し重い裾の混合ヘッドで τ=0.95 まで供給できる点を優位性としており、汎用 TSFM の分位点グリッドの柔軟性がドメイン特化モデルに劣る具体例を提供する。 - **既存ベンチマークの性能飽和という課題に、新規長コンテキストベンチマークの構築で対処した先行例がある。** - 根拠: [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]] — ETT・ECL・Traffic 等の既存ベンチマークが短いコンテキスト帯で性能飽和しやすいと論じ、40 年分の ECMWF Reanalysis v5(ERA5)から独自に ERA5-S(単変量・7 局)・ERA5-MS(多変量・7 局)・ERA5-Large(4920 局・事前学習用、約 5 億点)という長コンテキスト専用ベンチマークを新設した。これは「汎ドメインアーキテクチャ研究自体の方向転換」を求めるポジションペーパーとは異なる対応(ベンチマーク自体を作り替えることで既存アーキテクチャの限界を可視化する)であり、[[SPRINT]] が推論時最適化で対処したのと同じ「ベンチマーク飽和」という根本課題に、データセット構築という別角度から取り組んだ事例である。 ## 予測パラダイムの上位層 - **TSFM の精度向上は予測パラダイムの終着点ではなく、エージェント型時系列予測が「TSFM を置換せず行動空間の 1 ツールとして呼び出す」という上位層を主張し、実装 [[Cast-R1]] で具体化・実証された。** - 根拠: [[@2026__arXiv__Position Beyond Model-Centric Prediction - Agentic Time Series Forecasting]](ATSF) — 予測パラダイムの進化表(Table 1)で Foundation Models をツール利用(✗)・進化(✗)に分類し、進歩の主軸をモデル反復からシステム・ツールレベルの進化へ移すべきだと論じる。ATSF はモデル規模と直交し、TSFM を「置換せず行動空間の 1 ツール(predictive modeling tool)として呼び出す」立場を取る。 - 根拠: [[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]] — [[Chronos-2]]・[[TimesFM]]・PatchTST・iTransformer・ARIMA・DLinear を統一予測インタフェースのツールとして公開する形で ATSF の主張を実装した。アブレーション(Table 12)で [[Chronos-2]] 単独除去が volatile な NP で MSE 22.5→55.4 と劇的に劣化し、zero-shot レジーム適応で基盤モデルが他ツールに置換できない寄与を持つことを示す。一方で予測モデルツール全体の除去(Table 3)はさらに深刻(ETTh1 6.062→15.993)で、エージェントの推論は予測モデルを置換できず「実行可能ツール」として必要とする。TSFM の精度向上が ATSF の行動空間を底上げする一方向の証拠だが、「高精度 TSFM ほど省察・再計画の余地が縮むか」という双方向のトレードオフは依然未検証である。 - **TSFM 研究の「単一最良モデル」競争の上に「アンサンブル・オーケストレーション層」が乗り、複数 TSFM の結合が単体 SOTA を上回る。** - 根拠: [[TimeCopilot]]([[@2025__arXiv__TimeCopilot]]) — 個別 TSFM 研究([[Toto]]/[[Falcon-X]]/[[Chronos-2]])が単一の最良モデルを競うのに対し、複数 TSFM を単一 API 下に集約し、MedianEnsemble([[Chronos-2]]+[[TimesFM]]+TiRex を isotonic regression で結合)で GIFT-Eval 確率予測 CRPS の平均ランク・平均スコアを各単体モデルより上に押し上げた(約 $24 の低コストで全体最良、点予測 MASE では Chronos-2 に次ぐ 2 位)。エージェント型時系列予測が掲げる「TSFM を置換せず行動空間の 1 ツールとして束ねる」立場の Workflow 系での具体化であり、TSFM の精度向上が予測性能の終着点でなく、異種モデルのアンサンブルがさらに上を生むことを示す。ただし寄与の主因はアンサンブル手法であり、本体論文は個別 TSFM の精度向上分とアンサンブルの結合効果を切り分けていない。 - **予測専用に事前学習した TSFM が、VLM と結合することで「TSQA(時系列質問応答)の時系列エンコーダ」として再利用され、TSFM 評価の第 3 の軸(予測・検知に続く推論)を加える。** - 根拠: [[@2026__arXiv__ARFBench - Benchmarking Time Series Question Answering Ability for Software Incident Response]] — 予測専用に事前学習した [[Toto]] を VLM([[Qwen3-VL]] 32B)と結合学習した Toto-1.0-QA-Experimental で、時系列質問応答([[時系列質問応答]])ベンチマーク ARFBench の全モデル最良精度(63.9%)を達成した。Toto の埋め込みを variate embedding MLP で VLM 空間へ射影し、文脈長が系列長に比例して伸びるのを防ぐ。時系列エンコーダをスクラッチ学習する従来の時系列 LLM(ChatTS・OpenTSLM)と異なり、事前学習済み TSFM の再利用が鍵という立場を取る。汎用 TSFM 研究(予測)・AIOps 研究(検知)に続き、TSQA(推論)が TSFM の第 3 の評価軸として加わる。 - **TSFM の対抗ポジションとしての「LLM ベース時系列推論」が、訓練不要・RL 訓練の両極で具体化され、TSFM 系譜と並列する二つの主要パラダイムをなす。** - 根拠: [[時系列推論]](TimeReasoner / AlphaCast / TimeOmni-1) — TSFM とは別の系譜で、LLM の言語推論能力を時系列タスクへ転用する。 - 根拠: [[@2025__KDD__Can Slow-thinking LLMs Reason Over Time - Empirical Studies in Time Series Forecasting]] — TSFM を一切使わず DeepSeek-R1 を直接プロンプトし、複雑な時間動態を持つ ETTh1 等で深層学習ベースラインと競合する性能を達成した(訓練不要側)。 - 根拠: [[@2026__ICLR2026__TimeOmni-1 - Incentivizing Complex Reasoning with Time Series in Large Language Models]] — 逆に「LLM 内に時系列推論能力を焼き付ける」方向で TSFM とは別アプローチを採る(Qwen2.5-Instruct-7B + SFT + GRPO で TimeOmni-1 を作り、因果発見で GPT-4.1 を上回る、RL 訓練側)。両者の存在は、TSFM 系譜と LLM 系譜が時系列モデリングの二つの主要パラダイムとして並列し、ATSF([[Cast-R1]]・[[TimeCopilot]]・[[TimeSeriesScientist]])や [[@2025__arXiv__AlphaCast - A Human Wisdom-LLM Intelligence Co-Reasoning Framework for Interactive Time Series Forecasting]] がその統合層として位置する構図を明確化する。 ## 未解決の問い - GIFT-Eval・TSFM-Bench・Chronos Benchmark IIのような静的ベンチマークでの各モデルの順位と、[[TS-Arena]]のような漏洩フリーのライブ評価での順位を同一モデル集合で系統的に比較した研究はまだない。[[Sundial]]のように静的ベンチマークSOTAとライブ評価で順位が乖離する例が既に観測されているが、乖離の原因が情報漏洩そのものなのか、評価データのドメイン差(TS-Arenaは現状エネルギー領域限定)によるものかは切り分けられていない。([[@2026__arXiv__TS-Arena - A Live Forecast Pre-Registration Platform]]) - Moirai-MoE の Token Clusters ゲーティング(事前学習済み表現の k-means クラスタ重心をルーティングに使う)は、Time-MoE や他の時系列 MoE、さらには LLM MoE(DeepSeek-V3 のバイアス動的調整・MiniMax-M2 のシグモイドゲーティング等)にも移植可能か。時系列固有の低次元・連続的な表現空間だからこそクラスタリングが機能する可能性があり、離散トークン化された言語表現での有効性は未検証。([[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]], [[Mixture-of-Experts]]) - Moirai-MoE が観察した「最終層でエキスパート割り当てがほぼ均一に収束する」現象(32 エキスパート中 3 個)は、Time-MoE のエキスパート専門化観察(異なるデータセットで異なるエキスパートが活性化)とどう整合するか。両モデルの層構成・エキスパート数・訓練目的の違いがこの収束パターンの差を説明するかは未検証。([[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]], [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]]) - [[UniTS]]の「タスクトークン化」による生成的・識別的タスクの統一は、[[Toto]]/[[Chronos-2]]/[[TimesFM]]のような真にゼロショットな汎用予測器へ移植可能か。現状UniTSは38データセットでのco-training(教師あり多タスク学習)を要するのに対し、Chronos-2は合成データのみで多変量ICL能力を獲得しており、両者のアプローチ(教師ありマルチタスク統一 vs 自己教師ありゼロショット汎化)を組み合わせた「ゼロショットで分類・補完・異常検知もこなす TSFM」は未検証。([[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]], [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) - UniTSのGate module(多ドメイン・多タスク間の表現干渉を緩和するsigmoidベースの再スケーリング)は、[[Toto]]/[[Falcon-X]]のような大規模事前学習TSFMのマルチドメイン事前学習における「ドメイン間の負の転移」問題にも有効か。UniTSは38データセット規模で有効性を実証したが、数百〜数千ドメインを持つ大規模TSFMでのスケーラビリティは未検証。([[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) - TSPulse原論文はTSB-AD-M(多変量異常検知)・UEA(多変量分類)で多変量評価を行い、多変量ソフトウェア運用メトリクスへの拡張という[[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]]の未解決の問いに部分的な手がかりを与える(TSPulseのMulti-Head TriangulationとTSLensは多変量入力に対応済み)。しかしICPE論文が指摘した「ソフトウェア運用メトリクス固有の欠損パターン・スケール」でのゼロショット性能は原論文で直接検証されておらず、汎用ベンチマークでの多変量対応が専門ドメインでも同様に機能するかは未検証。([[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]], [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]]) - [[SPRINT]] のダウンサンプリング間隔 k = P/4 は実験で最良だが、どの TSFM・どのデータセットでも普遍的に最適か。高揮発性・低周期性の観測データ([[BOOM]] 系)では k の最適値がどう変わるか未検証。([[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]]) - 「精度と効率の同時改善」が成立する境界条件は何か。SPRINT は標準 LTSF データセット(ETT 系・Weather 等)で成立するが、急変動・非定常な観測テレメトリ([[Toto]]/[[BOOM]] の評価軸)でも同じ構造が機能するか。非周期株価データでの自動 k 選択(Section 7)と観測データへの展開は別問題。([[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) - 観測データ特化の設計(causal scaling・factorized attention・Student-T mixture)は汎用ベンチマークでも効くと示されたが、逆に汎用 TSFM(Moirai・TimesFM・Chronos 等)が観測データで苦戦する根本原因はアーキテクチャか事前学習データの分布か。Toto は両方を変えているため切り分けが未解決。 - encoder-only([[Falcon-X]])と decoder-only([[Toto]]・Timer 系)のどちらが TSFM に適するか。Falcon-X は flexible context/horizon sampling で encoder-only の可変長制約に対処するが、両系統を同条件で比較した結果はまだない。 - 多変量モデリングの利得(Falcon-X が主張)と観測データ特化の利得([[Toto]] が主張)は独立か相補的か。両者を統合した TSFM の検証が未着手。 - TSFM にスケール情報を統合する最善の方法は何か。Mantis の NME(パッチの平均と標準偏差を表現に埋め込む)は効果的だが、Toto はスケール非依存でも観測データ特化の事前学習で高性能を達成する。スケールエンコードの設計空間(入力正規化+逆変換 vs. 明示的埋め込み vs. 事前学習データの多様性)の体系的比較が不在。([[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]]) - TSFM 共通の固定間隔時系列の仮定をどう外すか。欠損点へのネイティブ対応、不規則サンプリングへの拡張。 - カレンダー特徴・外生変数をゼロショット基盤モデルに組み込む方法。 - 観測データ予測の精度向上は、下流の[[異常検知 - MOC|異常検知]]・キャパシティプランニング・[[障害予測]]にどの程度寄与するか(本論文は予測精度のみを評価し下流タスクは未検証)。 - [[エージェント型時系列予測]]が主張する「TSFM はモデル規模と直交し ATSF の 1 ツールに過ぎない」という位置づけは、TSFM 側の進歩(精度・汎化・スケール情報の保持)とどう相互作用するか。高精度な TSFM ほどエージェント的な省察・再計画の余地が小さくなるのか、それとも良い predictive tool が ATSF 全体の性能を底上げするのか、両者を組み合わせた検証が未着手。[[Cast-R1]] のツールアブレーション([[Chronos-2]] 除去で volatile NP が 22.5→55.4)は「良い predictive tool が ATSF 全体を底上げする」方向の部分証拠を与えたが、逆方向(高精度 TSFM が省察余地を縮める)は依然未検証。([[@2026__arXiv__Position Beyond Model-Centric Prediction - Agentic Time Series Forecasting]], [[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]]) - ベンチマークのデータ leakage 問題(GIFT-Eval で一部競合に既知の leakage)を、運用テレメトリ由来の評価データでどこまで厳密に排除できるか。 - 異種 TSFM のアンサンブル([[TimeCopilot]] の MedianEnsemble + isotonic regression が [[Chronos-2]]+[[TimesFM]]+[[TiRex]] を結合し単体 SOTA を上回る)で、どのモデルの組合せ・結合手法が最適か。また汎用 GIFT-Eval で得たアンサンブル利得が、観測テレメトリドメイン([[Toto]]/[[BOOM]] の評価軸)でも同様に出るかは未検証。([[@2025__arXiv__TimeCopilot]]) - 多解像度入力([[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]])と観測データ特化([[Toto]])と多変量化([[Falcon-X]])の 3 つの利得は独立か相補的か。Cisco TSM は単変量・固定解像度比(60)・2 解像度に限られ、3 解像度以上や可変配置(特殊トークンの固定配置の硬直性)は未着手と自認する。 - 特殊トークン(ST)単独・解像度埋め込み(RE)単独のアブレーションが説明のつかない数値的不整合を示しデータ規模で結論が変わった([[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] 表7・表8)。少数パラメータの新規構造がなぜ大規模に不安定なのか、その機序は未解明。 - 多解像度の長コンテキストでも late-breaking change(急変動)・高揮発性・短コンテキストの系列で予測が劣化する([[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] 図9・図13)。コンテキスト長を増やしても解けない「信号の内在的複雑さ」に起因する限界をどう扱うか。 - 研究室環境の単一基地局・少数 UE から収集した [[TelecomTS]] が、本番通信ネットワーク(数千基地局・数百万ユーザー)のオブザーバビリティをどこまで代表するか。BOOM(Datadog の実運用データ)と TelecomTS(研究室構築)の汎化性の比較が未検証。([[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]]) - サーベイ [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] が将来課題に挙げた汎用的トレードオフ(モデル規模と計算効率・長期依存・解釈性・データ効率)は、observability 特化 TSFM([[Toto]]/Cisco TSM)では優先順位がどう変わるか。サーベイは汎用視点で観測ドメインでの重み付けを論じない。 - 汎ドメイン TSFM の性能飽和と実務乖離が「和解不能」であるなら([[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]])、観測データ特化の TSFM([[Toto]]/[[BOOM]]・Cisco TSM)はこの批判を回避しているのか、それとも観測ドメイン内でも同じ飽和に向かうのか。ドメイン特化 TSFM のスケーリング限界の検証が未着手。 - サーベイの 6 軸(アーキテクチャ/パッチ/目的関数/単変量・多変量/確率的・決定論的/規模)のうち、観測データ性能を最も左右するのはどれか。[[TelecomTS]] はスケール情報の保持を、[[Toto]] は事前学習データの分布を決定要因とするが、サーベイの分類軸との対応(例: 目的関数が NLL=確率的であることが観測異常検知に効くか)は未整理。 - [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]] の協調的 fine-tuning 3 階層(PLC / MLC / HLC)で観測テレメトリドメインに最も効くのはどの層か。LoRA(PLC)・CLIP 流多モーダル(MLC)・KD(HLC)を [[Toto]] や [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report|Cisco TSM]] のような観測特化 TSFM 上で同条件比較した研究は未発表。サーベイ自体が観測ドメインを扱わないため、今後追跡すべき軸として残る。 - 推論駆動型 RL(GRPO + chain-of-thought)が TSFM の実用性能を底上げするのか、それとも reasoning trace 生成のオーバーヘッドが推論コストを実用範囲外に押し上げるのか。サーベイは reasoning-driven RL を「萌芽期」と位置づけるのみで、Time-MoE / Sundial / Chronos-2 等の単一順伝播 TSFM との実測比較は未着手。 - 不規則時系列(MIMIC・PhysioNet 系)で事前学習された TSFM の知識は、規則的観測テレメトリ(Datadog BOOM・Cisco)へどう転移するか。「不規則対応 TSFM」と「観測特化 TSFM」が将来統合されるか、それとも医療系と運用系で別系統が並走するかは未検証。(Source: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]]) - [[Chronos-2]] が多変量タスクで示した「univar モードでも Toto-1.0 を上回る」という結果は、Takens 定理に基づく解釈を支持するが、この現象がどのコンテキスト長・変量数・依存構造の条件で成立するか未検証。観測テレメトリ(短い履歴・高揮発性)では Takens 仮説が崩れ ICL ゲインが回復するのか。([[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) - Chronos-2 の合成データ戦略(Multivariatizer)は「実世界の多変量データ不足を回避した」が、合成依存関係と実世界の複雑な多変量依存(非線形・長距離・スパース)の乖離が性能上限を制限しているか。Chronos-2-Synth(合成データのみ)と Chronos-2 本体の差がどのデータセット属性で最大化するかは未整理。([[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) - Group Attention の positional embedding なしという設計は、グループ内の「順序なし集合」として系列を扱うことを意味するが、依存関係に方向性(リードラグ)があるケースで情報が十分に伝わるのか。Sequential Multivariatizer が時間をまたぐ依存を付加した訓練データと実推論でのグループ構成が異なる場合の汎化は未検証。([[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) - Chronos-2 は fev-bench・GIFT-Eval・Chronos Benchmark II の 3 ベンチで SOTA だが、BOOM(Datadog 観測メトリクス)での性能は未評価。観測データ特化 TSFM([[Toto]]/[[BOOM]])が Chronos-2 の汎用 ICL を上回るか、それとも共変量付き ICL が観測ドメインの検知・予測に新しい価値をもたらすかが未検証。([[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) - スパース MoE(Time-MoE)の訓練コスト 78% 削減は Toto 2.0 が u-μP + NorMuon で追求した効率化と異なる路線だが、両者を同一評価軸(BOOM など)で比較した結果は未公開。ドメイン特化(Toto)× スパース MoE(Time-MoE)を統合したモデルはスケーリング効率と精度の両方を達成できるか。([[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]], [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) - Time-MoE のエキスパート専門化(異なるデータセットで異なるエキスパートが活性化)は MoE の表現多様性の証拠として示されるが、どのエキスパートが何を学んでいるか(ドメイン別・周波数別・トレンド別)の解釈は未着手。スパース TSFM の解釈可能性は密モデルより高いか低いか。([[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]]) - ソフトウェア異常検知でゼロショット TSFM が訓練シーケンスを完全に無視する設定([[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]])は FM に不利な条件であり、訓練シーケンスを履歴コンテキストとして活用したり、ファインチューニングに用いたりした場合にゼロショットとの性能差がどこまで縮まるかは未検証。また多変量ソフトウェア運用メトリクスへの拡張(本論文は単変量のみ)でも同様の傾向が成立するかは未着手。([[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]]) - [[MOMENT]] の reversible instance normalization は垂直シフト(baseline shift)を区別できないという明示的な限界を持つ(センタリングによりシフト量の情報が失われる)。スケール情報の保持を課題とする [[TelecomTS]] の知見(前出)と接続すると、「絶対スケール」だけでなく「絶対レベル(baseline)」の保持も TSFM の設計課題として独立に扱うべきか、両者は同一のスケールエンコード問題に還元できるかが未整理。([[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]], [[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]]) - [[MOMENT]] のマスク再構成事前学習(encoder-only)と [[Falcon-X]] のマスク再構成+時間/変量分離を同一ベンチマーク(BOOM・GIFT-Eval 等)で直接比較した研究はまだない。2 年の間に「マスク再構成」という目的関数がどう洗練されたか(チャネル独立 vs 明示的変量分離)が精度にどう寄与するかは未検証。([[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) - Timer-XLが示した「decoder-onlyのcausality維持が長コンテキストで有利」という機序は、[[Toto]]/[[Falcon-X]]が競うBOOM級の観測テレメトリドメインでも同様に成立するか。Timer-XLの実証はETT/ECL/Traffic/ERA5という気象・エネルギー・交通ドメインに限られ、観測メトリクス特有の分布外・非定常性の下でも同じ機序が働くかは未検証。またTimer-XLのTimeAttention(クロネッカー積による明示的因果マスク分解)と、Falcon-Xのlatent prototype routingやChronos-2のGroup Attentionを同一ベンチマークで比較した研究もない。([[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) - Sundial の TimeFlow Loss(flow-matching)は、Chronos の categorical 分布・Moirai/Toto のパラメトリック密度と、事前学習データ規模を完全に揃えた上での 3 方式比較はまだ行われていない(Sundial のアブレーションは自身の TimeBench 内での MSE/拡散との比較に限られる)。観測テレメトリドメイン([[Toto]]/[[BOOM]] が評価軸とする)での TimeFlow Loss の性能も Sundial 論文では未評価。([[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]], [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]) - Sundial は単変量事前学習パラダイムであり、[[多変量時系列予測]]で vault が観察してきた Chronos-2 の Group Attention・Falcon-X の変量分離のような明示的な変量間モデリングを持たない(著者ら自身が Appendix E で認める限界)。flow-matching ベースの生成的損失を多変量設定に拡張する設計はまだない。([[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]]) - TimesFM-ICF の文脈内ファインチューニングは、著者ら自身が「他の基盤モデル(Toto・Chronos-2・Moirai 等)への適応も興味深い将来課題」と明言する未検証事項である。separator トークン・交差例示アテンション・NoPE という設計要素は TimesFM 固有のアーキテクチャ選択(decoder-only・パッチベース)に依存しているが、encoder-only(Falcon-X)や確率的生成損失(Sundial の flow-matching)を持つ TSFM にも同様の恩恵をもたらすかは未検証。またコンテキスト内の文脈内例示に特化した相対位置エンコーディングの設計も著者ら自身が今後の課題として挙げている。([[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]]) - TimesFM-ICF は Wiki 系4データセット(数百万本の記事関連時系列、相互の関連性が不明瞭)を継続事前学習から意図的に除外した。関連性のクラスタリングを事前に行えば、こうした大規模だが構造化されていないコーパスも文脈内例示の供給源として活用できるか。異種混合データセットに対する文脈内例示のグルーピング戦略(時系列レベル/データセットレベル以外の第三の粒度)は未探索。([[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]]) - [[Tiny Time Mixers (TTM)]] の「小型化路線」(1M パラメータ)と Toto 2.0 の「スケーリング則」(4M〜2.5B)は、同じ予測タスクで直接比較されたことがない。両者は事前学習データの性質(TTM は解像度多様性重視の 1B サンプル、Toto は観測メトリクス特化の 2.36 兆点)もアーキテクチャ(TSMixer 対 decoder-only Transformer)も異なり、「小型・高多様性」と「大型・高規模」のどちらが同一計算予算内でより高いゼロショット精度に達するかは未検証。([[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]], [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) - TTM は確率的予測(probabilistic forecasting)に非対応で点予測のみをサポートすると著者ら自身が限界として明記する。Chronos の categorical 分布・Toto/Sundial のパラメトリック密度/flow-matching といった確率的予測パラダイムを、TSMixer ベースの軽量アーキテクチャへ追加するコストと精度への影響は未検証。([[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]]) - 汎用 TSFM(Chronos・TimesFM・Toto 等)を [[決定志向予測評価]] のプロトコル(decision replay)で評価した先行研究はまだない。Centile が示した「点予測メトリクスが隠す差異」は、観測ドメイン特化 TSFM([[Toto]]/[[BOOM]])やゼロショット汎用 TSFM でも成立するか。HPC スケジューリング・ネットワークプロビジョニング以外の意思決定(オートスケーリング・障害対応の優先度付け等)への decision-replay プロトコルの一般化も未着手。([[@2026__arXiv__Centile - A Telemetry Foundation Model Evaluated by the Decisions It Drives]]) - クラウドの関数需要データで観測されたスパイクへの脆弱性(前出、[[@2025__arXiv__Performance of Zero-Shot Time Series Foundation Models on Cloud Data]])は、Toto/BOOM が優位に立つ観測メトリクス(CPUメトリクス等)でも同様に成立するか。同論文はクラウド関数需要という単一ドメインのみを扱っており、観測データ特化で事前学習された TSFM がクラウド需要スパイクに強いかどうかは未検証。([[@2025__arXiv__Performance of Zero-Shot Time Series Foundation Models on Cloud Data]]) - TSFM の後学習5分類は、既存のゼロショット性能・ドメイン特化・観測データ研究を、介入位置と配備制約の観点から比較する共通軸になりうるか。([[@2026__arXiv__Post-Training in Time Series Foundation Models A Unifying Framework - Chapter 3 Taxonomy of TSFMs Post-Training Methods]]) - セマンティック埋め込みによる permutation stability は、HPC テレメトリ以外の観測ドメイン(ネットワーク・分散システムテレメトリ等)でも同様に成立するか。センサー記述の質・粒度への依存度はどの程度か。 ## 未編纂の観察 > [!note]- 編纂前の観察 2026-09 > - **静的な held-out ベンチマークでのSOTA順位は、情報漏洩を設計上排除したライブ評価では入れ替わる。** [[@2026__arXiv__TS-Arena - A Live Forecast Pre-Registration Platform]] は正解データが物理的に存在する前に予測提出を強制する[[予測事前登録プロトコル]]により、直接的・間接的情報漏洩を構造的に排除した2025年通年のエネルギー時系列バックテストを報告する。この評価では[[Chronos-2]](グローバルELO 1289)・[[TiRex]](1270、最低MASE 0.682)が上位を占め、TSLib・GIFT-Eval・FEV leaderboardで静的ベンチマークSOTAを記録した[[Sundial]](128m)はELO 1154の中位にとどまる。静的ベンチマークでの順位が漏洩フリーの継続評価でそのまま再現されない可能性を示す最初の実証例であり、GIFT-Eval・TSFM-Bench等の既存ベンチマークが抱える情報漏洩の実効果(effect size)を測る手がかりを与える。(Source: [[@2026__arXiv__TS-Arena - A Live Forecast Pre-Registration Platform]] §4.2, §5) > - **TimeGPT-1(2023)が TSFM 研究の起点であり、その後の全モデルは「ゼロショット精度と汎化」という競争軸を TimeGPT が設定した枠内で戦っている**: [[@2023__arXiv__TimeGPT-1|TimeGPT]] ([[@2023__arXiv__TimeGPT-1]])は 100B 点超の多ドメイン時系列で事前学習したエンコーダ・デコーダ Transformer をゼロショット推論し、月次 rMAE 0.727 で NHITS(0.738)・TFT(0.752)等の専用学習モデルを上回った。このとき 0.6 ms/系列という統計手法の 1/1000 の速度優位が「精度とコストの両立」という実用的フレームを設定した。後続の Chronos・TimesFM・Toto が評価軸として採用した「ゼロショット精度」「再訓練不要の汎化」「推論コスト」はすべて TimeGPT-1 が 2023 年時点に定義した競争軸である。一方で TimeGPT はモデル重みを非公開にし、後続の Chronos(2024)/TimesFM(2024)/Toto(2025)は公開重みを提供することで研究コミュニティへのアクセスを拡大した。(Source: [[@2023__arXiv__TimeGPT-1]]) > - **LLM を転用するより時系列専用に学習した方がゼロショット精度が大幅に高い**: [[TimesFM]](Das+, 2024)は 200M パラメータと O(100B) 時系列点という LLM より桁違いに小さな規模で、GPT-3 ベースの llmtime よりゼロショット Monash 幾何平均スケーリング MAE を 25% 以上改善した。NLP の語彙・文法を持つ LLM はトークン化された時系列を直接処理しにくく、時系列特有のパッチ化・可変長コンテキスト・粒度変化への対応を専用設計で初めて効率よく実現できる。この「専用 > 転用」という観察は、後続の [[Toto]]/[[BOOM]] が観測ドメイン特化で汎用 TSFM をさらに上回る路線へとつながる。(Source: [[@2024__arXiv__A Decoder-Only Foundation Model for Time-Series Forecasting]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **Wikipedia ページビューという大規模公開 Web データが TSFM の事前学習コーパスの主要源になりうる**: TimesFM は 〜300B 点の Wikipedia ページビュー時系列をコーパスの大部分に採用し、〜0.5B 点の Google Trends・3M 系列 ×2048 点の合成データと組み合わせた。財務・医療などのプライベートデータなしに、公開ウェブデータだけで多ドメイン・多粒度のゼロショット汎化を達成した先例。後続の [[Toto]]/[[BOOM]] が観測ドメイン専用データで特化するアプローチとの対比として、「汎用 Web データ × 合成データ」路線の代表。(Source: [[@2024__arXiv__A Decoder-Only Foundation Model for Time-Series Forecasting]]) > - **多変量化が次の主戦場**。初期 TSFM の多くは channel independence で単変量に閉じていたが([[Toto]] 論文が指摘)、2026 年には [[Falcon-X]] が「ほとんどの TSFM は依然として単変量」と同じ問題を起点に cross-variate モデリングを正面の課題に据える。両ソースとも単変量の限界を出発点に据える点で一致。詳細手法の比較は [[多変量時系列予測]] に集約。(Source: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - **観測・運用データへの収斂**。[[Toto]]/[[BOOM]] は Datadog の観測メトリクスに特化し、[[Falcon-X]] も事前学習に alibaba_cluster_trace・azure_vm_traces・borg_cluster_data を含み、評価に観測系の BOOMLET([[BOOM]] 部分集合)を使う。汎用 TSFM の評価軸が観測テレメトリへ広がりつつある。(Source: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - **アーキテクチャの分岐**: [[Toto]] は decoder-only(151M、次パッチ予測)、[[Falcon-X]] は encoder-only(591M、masked reconstruction + 時間/変量の分離)。スケールも 151M→591M と拡大し、Falcon-X は 59M→591M で neural scaling law に従うと報告。(Source: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - 評価指標は MASE(点予測)・CRPS(確率的較正)が de facto 標準として両ソースで共通利用される。(Source: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - **絶対スケール情報の保持が TSFM の性能を決定的に左右する**: [[TelecomTS]]([[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]])は NME(Numerically Multi-scaled Embedding)分岐のあり/なしで 5 アーキテクチャを比較し、スケール情報の追加が**ほぼ全モデル・全タスクで一貫して性能を向上**させることを実証した。Autoformer は RCA で +30.4 ポイント(0.280→0.584)、Informer は異常検知 F1 で +0.401(0.451→0.852)。[[Toto]] が観測データの事前学習により異常検知 F1 0.615・RCA 精度 0.848 で他の TSFM を大幅に上回る一方、Toto 自体はスケールを明示的にエンコードしない——Mantis(NME 搭載)が異常検知 F1 0.800 で Toto を上回る。[[BOOM]] が「正規化で失われる情報」を指摘し、TelecomTS がその影響を定量化した構図。(Source: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]]) > - **オブザーバビリティデータの「正常な急変動」が TSFM を欺く**: [[TelecomTS]] は、ストリーミング起因の TX_Bytes スパイクが全モデルで偽陽性を誘発する失敗パターンを報告(Figure 6)。[[Toto]]/[[BOOM]] が「観測データは既存 TSFM の事前学習分布外」と示した知見の延長だが、TelecomTS は予測でなく検知・分類タスクにおいてこの問題を定量化した。観測データ特化の事前学習(Toto)は予測だけでなく検知・RCA でも汎用 TSFM を大幅に凌駕するが、正常変動の弁別は依然不完全。(Source: [[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **TSFM は AIOps の異常検知/障害種別分類の手法系統でもある**: [[A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models]] は Lag-Llama・TimesFM(decoder-only)・TimeGPT・SimMTM(encoder-decoder)等の時系列基盤モデルを、AIOps の [[異常検知]]・failure category classification の主要手法として整理する(§5.1)。Toto/BOOM が「観測テレメトリ予測の精度」を競う文脈と、サーベイが「予測ベースの異常検知」を AIOps タスクの一手段とみなす文脈はつながっており、TSFM の予測精度向上は下流の異常検知・[[障害予測]]の入力になる。汎用 TSFM 研究(予測タスク)と AIOps 研究(検知タスク)が、同じ基盤モデルを別の評価軸で見ている。(Source: [[A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **観測データ特化のアプローチに「多解像度の長コンテキスト」という新軸が加わる**: [[Toto]]/[[BOOM]] は観測データ特化の事前学習とアーキテクチャ(causal scaling 等)で汎用 TSFM を凌ぐ路線だが、[[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] は**長コンテキストを効率的に扱う多解像度入力**(粗い 1 時間と細かい 1 分のコンテキストを連結)を直交する軸として加える。両者とも観測ドメインで競合 TSFM(Toto/Chronos/TimesFM)を上回る点で一致するが、Cisco TSM は「過去パターンが長期に持続する観測ドメインでは長い履歴が決定的」という観察から出発し、Toto は「観測データの分布・裾の重さ」から出発する点で着眼が異なる。Cisco TSM の評価では Toto-1.0 が観測データで次点級の競合として現れる。(Source: [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **既存 TSFM への「継続事前学習 + 小さなアーキテクチャ追加」という低コストな拡張路線**: [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] は新規モデルをゼロから作らず、[[TimesFM]] に特殊トークンと解像度埋め込みを足して継続事前学習(CPT)するだけで観測ドメインの優位と汎用能力の維持を両立した。ゼロからの学習や凍結スケジュールより CPT が最速で収束したと報告。[[Toto]]・[[Falcon-X]] が大規模な専用モデルを新規に学習する路線と対照的で、「既存 TSFM のアーキテクチャ改変 + 新ドメインデータの取り込み」を同時に行う実践的な道筋を示す。汎用パターンとして他の TSFM にも適用可能と主張する。(Source: [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - **ベンチマーク leakage の扱いが TSFM 評価の共通課題**: [[GIFT-Eval]] を使う複数ソースが leakage を意識する。[[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] は TimesFM 2.0 の学習コーパスに含まれるデータセットを除いた「non-leaking」版で評価し、コンテキスト ≥ 512 の長コンテキスト部分集合を分離して報告する。[[Falcon-X]] も GIFT-Eval 事前学習部分を使いつつテストとのリーク回避を明記。観測テレメトリ由来データ(自社運用ログ)で out-of-domain かつ in-the-future な test を構築する手法は、leakage を構造的に避ける一手段になりうる。(Source: [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - **TSFM の精度向上は予測パラダイムの終着点ではない——[[エージェント型時系列予測]]が「上の層」を主張する**: TSFM 研究が「より良い単一モデル」を競うのに対し、ATSF([[@2026__arXiv__Position Beyond Model-Centric Prediction - Agentic Time Series Forecasting]])は予測パラダイムの進化表(Table 1)で Foundation Models をツール利用(✗)・進化(✗)に分類し、進歩の主軸をモデル反復からシステム・ツールレベルの進化へ移すべきだと論じる。ATSF はモデル規模と直交し、TSFM を「置換せず行動空間の 1 ツール(predictive modeling tool)として呼び出す」立場を取る。Toto/Falcon-X が追う「単一モデルの精度・汎化」と、ATSF が追う「予測プロセスの組織化」は競合せず階層をなす。(Source: [[@2026__arXiv__Position Beyond Model-Centric Prediction - Agentic Time Series Forecasting]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **ATSF が掲げた「TSFM を行動空間の 1 ツールとして呼ぶ」立場が、実装 [[Cast-R1]] で具体化・実証された**: ひとつ前の項目で見た ATSF の主張(TSFM を置換せず predictive modeling tool として呼ぶ)を、同グループの [[Cast-R1]]([[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]])が [[Chronos-2]]・[[TimesFM]]・PatchTST・iTransformer・ARIMA・DLinear を統一予測インタフェースのツールとして公開する形で実装した。アブレーション(Table 12)で [[Chronos-2]] 単独除去が volatile な NP で MSE 22.5→55.4 と劇的に劣化し、zero-shot レジーム適応で基盤モデルが他ツールに置換できない寄与を持つことを示す。一方で予測モデルツール全体の除去(Table 3)はさらに深刻(ETTh1 6.062→15.993)で、エージェントの推論は予測モデルを置換できず「実行可能ツール」として必要とする。TSFM の精度向上が ATSF の行動空間を底上げする一方向の証拠だが、「高精度 TSFM ほど省察・再計画の余地が縮むか」という双方向のトレードオフは依然未検証。(Source: [[@2026__arXiv__Position Beyond Model-Centric Prediction - Agentic Time Series Forecasting]], [[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]]) > - **TSFM 研究の「単一最良モデル」競争の上に「アンサンブル・オーケストレーション層」が乗る——複数 TSFM の結合が単体 SOTA を上回る**: 個別 TSFM 研究([[Toto]]/[[Falcon-X]]/[[Chronos-2]])が単一の最良モデルを競うのに対し、[[TimeCopilot]]([[@2025__arXiv__TimeCopilot]])は複数 TSFM を単一 API 下に集約し、MedianEnsemble([[Chronos-2]]+[[TimesFM]]+[[TiRex]] を isotonic regression で結合)で GIFT-Eval 確率予測 CRPS の平均ランク・平均スコアを各単体モデルより上に押し上げた(約 $24 の低コストで全体最良、点予測 MASE では Chronos-2 に次ぐ 2 位)。これは [[エージェント型時系列予測]] が掲げる「TSFM を置換せず行動空間の 1 ツールとして束ねる」立場の Workflow 系での具体化であり、TSFM の精度向上が予測性能の終着点でなく、異種モデルのアンサンブルがさらに上を生むことを示す。ただし寄与の主因はアンサンブル手法であり、本体論文は個別 TSFM の精度向上分とアンサンブルの結合効果を切り分けていない。(Source: [[@2025__arXiv__TimeCopilot]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **予測専用 TSFM が「TSQA の時系列エンコーダ」として再利用される**: [[@2026__arXiv__ARFBench - Benchmarking Time Series Question Answering Ability for Software Incident Response]] は、予測専用に事前学習した [[Toto]] を VLM([[Qwen3-VL]] 32B)と結合学習した [[Toto-1.0-QA-Experimental]] で、時系列質問応答([[時系列質問応答]])ベンチマーク [[ARFBench]] の全モデル最良精度(63.9%)を達成した。Toto の埋め込みを variate embedding MLP で VLM 空間へ射影し、文脈長が系列長に比例して伸びるのを防ぐ。これは [[Toto]]/[[BOOM]] が追う「予測精度」とは別軸の TSFM 活用——時系列エンコーダをスクラッチ学習する従来の時系列 LLM(ChatTS・OpenTSLM)と異なり、事前学習済み TSFM の再利用が鍵という立場。汎用 TSFM 研究(予測)・AIOps 研究(検知)に続き、TSQA(推論)が TSFM の第 3 の評価軸として加わる。(Source: [[@2026__arXiv__ARFBench - Benchmarking Time Series Question Answering Ability for Software Incident Response]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **汎用サーベイの 6 次元タクソノミーが、vault が個別に深掘りしてきた TSFM 群に分類フレームを与える**: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] は 15 モデルを (1) アーキテクチャ(Non-Transformer/Encoder-decoder/Encoder-only/Decoder-only/Adapting LLM)、(2) パッチ有無、(3) 目的関数、(4) 単変量/多変量、(5) 確率的/決定論的、(6) 規模の 6 軸で横断分類する。vault が個別に観察した「アーキテクチャの分岐」([[Toto]]=decoder-only、[[Falcon-X]]=encoder-only)はこの軸(1)の、「多変量化が次の主戦場」は軸(4)の具体例にあたり、本サーベイはこれらに包括的な座標系を与える。一方サーベイは観測(observability)ドメインの統計的特性(分布外・裾の重さ)を扱わず、[[Toto]] を「[[Datadog]] の内部生成データで学習」とだけ記述する——**汎用 ML 視点の地図(本サーベイ)と観測特化研究(Toto/BOOM/Cisco TSM)の視点差**が、同じモデルに対する記述の粒度として現れる。(Source: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **評価指標の二分(MASE 対 CRPS)は訓練目的関数の二分(点予測 対 確率的)と対応する**: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] は目的関数を独立の分類軸に立て、点予測系(MSE: TimesFM/[[MOMENT]]/Timer、Huber: Time-MOE)と確率的系(NLL: Toto/Lag-Llama、Cross Entropy: Chronos、Log-Likelihood: MOIRAI)を分ける。これは vault が観察した「MASE(点予測)・CRPS(確率的較正)が de facto 標準」という評価軸の二分と表裏で、確率的 TSFM(Toto/Chronos/MOIRAI)が CRPS で、点予測 TSFM(TimesFM)が MASE/MSE で測られるのは訓練目的関数の選択に根ざす。(Source: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]]) > - **TSFM でスケーリング則が初めて確立——Toto 2.0 が「BERT モーメントから GPT-2 モーメントへ」を宣言**: Toto 1.0 とその同時代の TSFM が「TSFM の BERT モーメント」(多様な下流タスクへの適用が示された段階)に相当したとすれば、[[Toto]] 2.0([[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]])は 4M〜2.5B の 5 サイズで単調かつ信頼できるスケーリングを実証し「TSFM の GPT-2 モーメント」を宣言した。全サイズが 1 つ下のサイズを上回り(BOOM/GIFT-Eval/TIME 全ベンチ)、スケーリングが「研究課題」でなく「ツール」になった。これは[[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]が指摘していた「スケーリングの失敗(大きいモデルが小さいモデルを下回ることがある)」を具体的に克服した初事例。公開データを事前学習に使わず汚染耐性ベンチ TIME でも同様のスケーリングが成立することは、スケーリング則が単なる訓練データ汚染の結果でないことを示唆する。(Source: [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]], [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]) > > - **TSFM の世代交代が速く、同名モデルでも参照時点でスペックが異なる**: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]](2025-04)は [[Toto]] を 103M・1 兆点、Chronos を T5 ベース単変量と記述するが、vault が後に取り込んだ [[Toto]](NeurIPS 2025 版、151M・約 2.36 兆点)・[[Chronos-2]](2025、group attention で多変量)は更新版で設計が異なる。サーベイは「地図」だが TSFM の進化が速く、描かれた時点で一部が既に古びる——TSFM を扱う際はモデル名だけでなく**バージョン・参照論文の年次**まで確認する必要がある。(Source: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > > - **「モデル改良」路線に直交する「推論時ラッパー」路線が精度・効率を同時改善する**: [[Toto]]/[[Falcon-X]]/Chronos-2 等が TSFM のアーキテクチャや事前学習データを改良することで精度を競うのに対し、[[SPRINT]]([[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]])は既存 TSFM を学習不要のラッパーで包み、推論時のダウンサンプリングだけで精度 +19%・メモリ 6.35 倍削減・推論速度 16.87 倍改善を達成した(9 データセット・7 TSFM の平均)。これは TSFM の「精度と効率はトレードオフ」という通念に反し、ダウンサンプリングによるコンテキスト長の実質拡大がノイズ除去とルックバック延長の二重効果を生む。TSFM 研究の「何を学習させるか」という軸と「どう使うか(推論時最適化)」という軸が独立して価値を持つことを示す。(Source: [[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **季節性をモデル内部で学習するのではなく外部で複製する方向が、ゼロショット TSFM には有利**: Autoformer・TimesNet 等は季節分解をモデル内部構造として学習するが、[[SPRINT]] はパターン複製をモデル外部の学習不要な前処理として行う。実験では季節複製単体(Pattern Replication のみ)が全データセット・全 TSFM でベースラインを上回り(Table 3「Season Forecast」列)、TSFM の内部の季節モデリング能力よりシンプルな外部複製が長期予測には効くことを示した。これは「ゼロショット TSFM は高周波季節パターンを長期予測で正確に再現するのが苦手」という既存観察([[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]])と整合する——[[Toto]]/[[BOOM]] が観測データの分布外を問題にした文脈に、「長期季節予測には外部複製が優る」という設計上の含意が加わる。(Source: [[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]]) > - **「汎ドメイン TSFM vs ドメイン特化手法」の矛盾は和解不能であるとするポジションペーパーが登場**: [[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]] は、汎ドメイン TSF ニューラルネットワークの性能が近年飽和し(Accuracy Law: ETT・Electricity・Weather で頭打ち)、ハイパーパラメータ次第でテスト済み 8 手法のほぼ全てが「SOTA」になりうると指摘する(Brigato+ 2026)。さらに Kaggle コンペ上位手法(Optiver 3225 チーム、Jane Street 4085 チーム)は特徴量エンジニアリング+CatBoost/XGBoost 等であり、各ドメインのトップ会議論文(金融・気象・医療・交通)も汎ドメイン TSF NN を使わないと報告する。根拠として、時系列の近似誤差下界 O(1/√T) により NLP・CV のスケーリング則が TSF には適用できないと論じる。この「汎ドメイン TSFM は実務で使われない」という批判は、vault が観察してきた「観測データ特化の TSFM が汎用を凌ぐ」という流れ([[Toto]]/[[BOOM]]・[[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report|Cisco TSM]])と整合するが、本論文はさらに踏み込んで「汎ドメインアーキテクチャ研究自体の方向転換」を要求する。一方、TSFM 研究の貢献(ベンチマーク整備・新アーキテクチャの着想・エージェント系の行動空間への供給)を過小評価している面がある。(Source: [[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **VisionTS だけ効率改善ゼロという例外が TSFM のアーキテクチャ多様性を体現する**: [[SPRINT]] の効率改善は Attention ベースの TSFM が系列長に二乗で計算量が増えることを利用するが、VisionTS は時系列を固定解像度の画像として扱うため SPRINT のダウンサンプリングが効かない。7 TSFM 中 1 つだけが例外になることは、「Transformer 系か否か」というアーキテクチャ軸が推論時最適化の適用可能性を決定することを示す。サーベイが分類した「VLM-based」カテゴリ([[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]])は単なる系譜的分類ではなく、推論時の計算構造まで変える実質的な差がある。(Source: [[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]], [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]) > - **TSFM の対抗ポジションとしての「LLM ベース時系列推論」が、訓練不要・RL 訓練の両極で具体化された**: [[時系列推論]] パラダイム(TimeReasoner / AlphaCast / TimeOmni-1)は TSFM とは別の系譜で、LLM の言語推論能力を時系列タスクへ転用する。[[@2025__KDD__Can Slow-thinking LLMs Reason Over Time - Empirical Studies in Time Series Forecasting]] は TSFM を一切使わず DeepSeek-R1 を直接プロンプトし、複雑な時間動態を持つ ETTh1 等で深層学習ベースラインと競合する性能を達成。[[@2026__ICLR2026__TimeOmni-1 - Incentivizing Complex Reasoning with Time Series in Large Language Models]] は逆に「LLM 内に時系列推論能力を焼き付ける」方向で TSFM とは別アプローチを採る(Qwen2.5-Instruct-7B + SFT + GRPO で TimeOmni-1 を作り、因果発見で GPT-4.1 を上回る)。両者の存在は、TSFM 系譜と LLM 系譜が時系列モデリングの二つの主要パラダイムとして並列し、ATSF([[Cast-R1]]・[[TimeCopilot]]・[[TimeSeriesScientist]])や AlphaCast がその統合層として位置する構図を明確化する (Source: [[@2025__KDD__Can Slow-thinking LLMs Reason Over Time - Empirical Studies in Time Series Forecasting]], [[@2026__ICLR2026__TimeOmni-1 - Incentivizing Complex Reasoning with Time Series in Large Language Models]], [[@2025__arXiv__AlphaCast - A Human Wisdom-LLM Intelligence Co-Reasoning Framework for Interactive Time Series Forecasting]])。 > - **観測特化 TSFM が「スケーリング時代」へ移行——4M〜2.5B の単調改善が飽和なしで続く**: [[Toto]] 2.0([[@2026__Datadog__Toto-2.0-Time-Series-Forecasting-Enters-the-Scaling-Era]])は、観測 TSFM 初の本格的なスケーリング実験を行い、4M・22M・313M・1B・2.5B の 5 サイズで **BOOM CRPS が単調に改善し 2.5B でも飽和なし**と報告した。同時に 22M が旧 Toto 1.0(151M)の 7 分の 1 のパラメータで同等性能を達成し、スケーリングとパラメータ効率の両立を示す。これは NLP/CV で確立した「大規模化で精度は上がる」という経験則が観測特化 TSFM でも成立することを示す初の証拠であり、[[u-μP]] によるハイパーパラメータ転移がスケーリング実験コストを大幅に削減した技術的裏付けを持つ。BOOM・GIFT-Eval・TIME の全ベンチで上位独占し、**公開予測データセットを事前学習に使わず**(観測メトリクス+合成データのみ)この性能を達成した点は、汎化がデータ記憶でなくアーキテクチャ/手法に由来することを示す。(Source: [[@2026__Datadog__Toto-2.0-Time-Series-Forecasting-Enters-the-Scaling-Era]]) > - **「時系列を LLM が直接読む」アプローチに知覚ボトルネックという固有の障壁がある**: [[@2024__arXiv__Towards Time-Series Reasoning with LLMs]] は時系列をテキストやプロット画像に変換して LLM に入力するアプローチが知覚段階で情報損失を起こすと指摘し、軽量パッチエンコーダ(MLP)+ LoRA で 7B モデルが GPT-4o をゼロショット分類で上回ることを示した。これは TSFM(Toto / Chronos / TimesFM)が自前のエンコーダで時系列を直接扱うことの設計上の優位を裏側から支える証拠となる——テキスト化を介する LLM 直接適用は本質的にハンディキャップを持つ (Source: [[@2024__arXiv__Towards Time-Series Reasoning with LLMs]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]])。 > - **TSFM サーベイの軸が「事前学習」から「事後学習(post-training)」へ拡張されつつある**: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]] は TSFM を「データセット — 事前学習 — 事後学習」の 3 次元タクソノミーで体系化し、先行サーベイ群([Ma+ TKDE 2024]・[Jin+ arXiv 2023]・[Liang+ KDD 2024]・[Ye+ 2024]・[Kottapalli+ 2025]・[Liu+ 2025])が事後学習を扱わない点を本サーベイの差別化点とする(Table I で 7 本との比較)。本 wiki の [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]](Jin+ 2025)が 6 次元タクソノミー(アーキ/パッチ/目的関数/単・多変量/確率・決定論/規模)で「モデル設計」を切ったのに対し、本サーベイは「訓練ワークフロー」(事前 → 事後)で切る。両者は直交し、本サーベイの事後学習軸は SFT・PEFT(LoRA/Adapter)・多モーダル協調・知識蒸留・強化学習(GRPO/PPO/DPO)を**階層化された設計空間**として捉え直す。これは [[強化ファインチューニング]] が NLP・コード生成中心に展開してきた研究系譜が TSFM ドメインへ流入し始めている兆候。(Source: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]], [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]) > - **協調的 fine-tuning が PLC / MLC / HLC の 3 階層で整理された**: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]] は外部依存度で TSFM の協調 fine-tuning を 3 段に分ける——PLC(parameter-level: LoRA・Adapter で軽量モジュール追加)、MLC(model-level: CLIP 流の LLM/VLM との多モーダル統合)、HLC(hybrid-level: 中規模モデルを介する知識蒸留)。本 wiki の [[Cast-R1]] が [[Chronos-2]]・[[TimesFM]] 等を「ツール」として呼び出す ATSF([[エージェント型時系列予測]])は、この 3 階層に直交する別軸(行動空間でのオーケストレーション)を提示する。サーベイは agent-based post-training を将来方向で 1 段落のみ扱い、Cast-R1・[[TimeCopilot]] 等の具体実装は未参照——本 wiki の方が踏み込んだ整理を持つ。(Source: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]], [[@2025__arXiv__TimeCopilot]]) > - **推論駆動型 RL(GRPO)が NLP から TSFM ドメインへ越境**: サーベイは強化 fine-tuning を「推論駆動 vs 非推論」で二分し、GRPO + chain-of-thought + LLM 判別器の組み合わせ(Zhang+ TimeMaster・Luo+ SFT+GRPO・Xiao+ 金融 volatility-normalized reward)を TSFM への RL 持ち込みの代表例として整理する。本 wiki の [[強化ファインチューニング]] が DeepSeek-R1・DeepSWE・Cast-R1・TimeOmni-1 で観察した「GRPO の credit assignment の脆弱性」「規則ベース報酬の堅牢性」「SFT + RL の二段階」といった知見は、TSFM ドメインでも同じ設計課題が再現することを示唆する——サーベイは reasoning-driven RL を「萌芽期」と位置づけ、引用論文も少数(4 本)に留まる。(Source: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]], [[@2026__ICLR2026__TimeOmni-1 - Incentivizing Complex Reasoning with Time Series in Large Language Models]], [[@2025__arXiv__DeepSeek-R1 - Incentivizing Reasoning Capability in LLMs via Reinforcement Learning]]) > - **「不規則時系列」が TSFM の構造的空白として独立軸で扱われた**: 本サーベイは既存 7 本との比較表(Table I)で「Irregular」列を持つ唯一のサーベイと自認し、MIMIC-III/IV・PhysioNet'12/'19・Human Activity・USHCN・PAM 等の不規則ベンチを事前学習(constant time-masking + contrastive、continuous latent space)・評価両面で扱う。本 wiki の TSFM 観察は規則的観測テレメトリ([[Toto]]/[[BOOM]])・規則 LTSF(ETT 系)に偏っており、不規則時系列(医療・センサー)での TSFM 性能は未整理。「観測データへの収斂」と「不規則時系列対応」は両立しうるか、それとも別系統の TSFM が必要かが新たに浮上する問い。(Source: [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **単変量・多変量・共変量付き予測の統一が group attention + 合成データだけで実現できる**: [[Chronos-2]]([[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]])は encoder-only トランスフォーマー内に Time Attention と Group Attention を交互配置し、グループ ID の割り当て方によって 3 モード(単変量・多変量・共変量付き)を同一アーキテクチャ・同一推論パスで切り替える。特筆すべきは**実世界の多変量データをほぼ用いずに多変量 ICL 能力を付与した**点で、Multivariatizer(cotemporaneous + sequential の 2 種)が単変量生成器からサンプルした系列に依存構造を合成的に付加する。fev-bench(100 タスク中 42 タスクが共変量付き)で共変量なし時の Skill Score 39.9 が ICL 適用で 47.0 まで改善し、TiRex・TimesFM-2.5・Toto-1.0 等の単変量専用 TSFM を大差で上回った。「高品質な実世界多変量データの不足」という業界課題を合成データで正面から回避する最初の本格的事例。(Source: [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) > - **Group Attention の $O(V)$ メモリスケーリングが多変量 TSFM の実用上限を押し上げる**: 先行多変量 TSFM の Moirai-1.0 は変量を平坦化するため計算量が変量数 $V$ に対し $O(V^2)$ となり高次元でスケールしない。[[Chronos-2]] の Group Attention は同一グループ内の同一パッチインデックスのみで注意を計算し $O(V)$ を実現する。Toto-1.0 は変量間 attention を持つが将来既知共変量・カテゴリカル共変量に非対応で、COSMIC は共変量付きに対応するが多変量ターゲットに非対応と、それぞれ制限を持つ。Chronos-2 はこれら全制限を $O(V)$ で解消する初の TSFM である(Table 1 比較)。これは [[多変量時系列予測]] における「変量間情報共有のコスト対効果」の設計問題に対する具体的解答を与える。(Source: [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) > - **Takens の埋め込み定理が多変量 ICL ゲインの小ささを説明する**: Chronos-2 のアブレーション(Figure 3・4)では、多変量タスクでの ICL ゲインが共変量付きタスクに比べて小さい。論文の考察はこれを Takens の埋め込み定理(十分に長い履歴があれば単変量観測から多変量システムの状態を再構成できる)で解釈する。つまり強力な単変量モデルが長い系列から多変量構造を暗黙的に捉えられるため、明示的な変量間情報共有の恩恵が限定される。この観察は「多変量ターゲット予測では univar モードの Chronos-2 でも Toto-1.0 を上回る」という実験結果と整合し、多変量 ICL の真価は将来既知共変量という「非対称情報」の活用にある。(Source: [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]]) > > - **LLM 重みによる初期化は時系列 TSFM の精度を大きく向上させない**: Chronos([[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]、Ansari+ 2024)は T5 の言語モデル重みで初期化したモデルとランダム初期化モデルを比較し、初期化の差はベンチマーク全体で統計的に有意な優位をもたらさないことを示した。LLM が言語データから獲得した事前知識は、スケーリング + 量子化による時系列トークンには有効に転移しない——この知見は、LLM 転用 TSFM(One Fits All 等、[[LLM時系列アプローチ]])の理論的根拠である「言語事前学習の転移」の有効性に疑問を呈する。[[MOMENT]]([[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]])はこれを異なるアーキテクチャ(マスク再構成の encoder-only)・異なる評価軸(訓練損失そのもの)で追試し、ランダム初期化の MOMENT-small が Flan-T5 重みで継続事前学習した同サイズモデルより**低い**訓練損失に収束すると報告した——Chronos の「有意差なし」より踏み込んで「ランダム初期化の方が優位」という結果であり、2 つの独立した encoder アーキテクチャ・訓練目的関数(分類的 NTP vs マスク再構成 MSE)にわたって「言語事前学習の転移は時系列に効かない」という知見が補強される。(Source: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]], [[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]]) > - **実世界データ(〜890K 系列、〜84B 点)と合成データ(KernelSynth)の混合事前学習が TSFM の汎化を支える**: Chronos は 28 データセット(15 datasets in-domain、13 datasets pretraining-only)を混合し、さらにガウス過程カーネルをランダムに組み合わせて生成する KernelSynth 合成データを追加する。合成データ単体(Chronos-Bolt, KernelSynth)でも多くのゼロショットベンチ(Benchmark II)で専用モデル(N-BEATS 等)に匹敵する精度を達成した。「ゼロショット汎化は実データの多様性か合成データの多様性か」を問う先行文脈に対し、両者が補完的に寄与するというアーキテクチャ中立な答えを与える。(Source: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]) > - **TSMixup(複数系列の凸結合)によるデータ拡張がゼロショット性能を底上げする**: Chronos は訓練時に $k$ 個の系列をランダムサンプリングして凸結合(混合比は Dirichlet 分布からサンプル)する TSMixup を採用した。Benchmark II(27 ゼロショットデータセット)での幾何平均スコアが TSMixup あり/なしで明確に改善することをアブレーションで示す。これは NLP/CV で定着した MixUp を時系列領域に持ち込んだ先例であり、[[Chronos-2]] や他の TSFM への影響が期待される設計上のレシピ。(Source: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]) > - **スケーリング + 量子化によって回帰を分類として解く設計が確率的予測の柔軟性を提供する**: Chronos は時系列値を平均スケーリング後に均一量子化し($B=4096$ ビン)、クロスエントロピー損失で学習する。デコード時は複数トークン列を独立サンプリングし、その経験的分位数から任意の予測区間を構成する。これは正規化フローやスチューデント-T 混合(Toto 等)と異なり、分布の形状を仮定しない柔軟性を持つ。一方でオーバーフロー(値域外クリップ)と量子化誤差が精度の上限を制約する構造的トレードオフを内包する。詳細は [[時系列トークナイゼーション]] を参照。(Source: [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]) > - **スパース MoE が TSFM の Billion スケール化を実現する最初の手段として確立した**: Time-MoE([[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]])は、decoder-only トランスフォーマーの FFN を MoE 層(非共有エキスパート + 常時有効な共有エキスパート、Top-2 ルーティング)で置き換えることで、同一活性化パラメータ数の密モデルに対し訓練コスト **78% 削減**・推論コスト **39% 削減**でモデルを 2.4B パラメータへスケールアップした。ゼロショット MSE を最良ベースライン(Moirai-large)比 11%・Chronos-large 比 23%・Moment 比 30% 削減した。点予測系の目的関数(Huber 損失)と MoE を組み合わせることで、NLL/Cross-Entropy ベースの確率的 TSFM([[Toto]]/[[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series|Chronos]])とは別の計算効率路線を開いた。エキスパートの専門化可視化はドメイン間の知識分離を示唆し、MoE がアーキテクチャ上の疎性を通じて汎化に寄与する可能性を示す。(Source: [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]]) > - **Time-MoE の多解像度予測ヘッドが「可変ホライズン」という TSFM 設計の共通課題を点予測軸で解決した**: Time-MoE は複数ホライズン $\{1, 8, 32, 64\}$ への FFN ヘッドと貪欲スケジューリングで任意ホライズンを効率的に生成する。decoder-only + RoPE との組み合わせでコンテキスト長・予測長の両方で柔軟性を達成した。[[TimesFM]] の「出力パッチ長 > 入力パッチ長」・[[Toto]] の causal scaling と目的(可変ホライズン)は共通するがアプローチが異なり、多解像度 head + 貪欲スケジューリングという Time-MoE の解が MoE の追加設計コストを正当化するかは評価軸依存。(Source: [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]], [[@2024__arXiv__A Decoder-Only Foundation Model for Time-Series Forecasting]]) > - **Time-300B の偏りが汎用 vs ドメイン特化コーパス戦略の対比を明確化する**: Time-300B(309B 点)は Nature ドメイン(気象・気候系列)が 90.5% を占める不均一分布を持ち、ETT・Weather 等の標準ベンチでの強さに対応する。一方 [[Toto]]/[[BOOM]] が運用テレメトリ特化で汎用 TSFM を凌ぐのは、事前学習データの分布ミスマッチを正面から狙った戦略の成果。Time-300B は「大規模汎用コーパス(90% が自然系列)」であるのに対し BOOM は「小規模ドメイン特化コーパス(観測メトリクスのみ)」と対称的で、スケール × 汎用 vs 特化 × 小規模のトレードオフを体現する。(Source: [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **NTP への汎用トークナイザが生成・分類まで統一する——UniTok / UniTok-FM が「訓練不要文脈内推論」を初めて実現**: [[@2026__arXiv__Time Series as Language - A Universal Tokenizer for General-Purpose Time Series Foundation Models]](Zhang+ 2026)は、VQ-VAE 系の汎用トークナイザ **UniTok** とその上に NTP で事前学習した **UniTok-FM** を提案した。Chronos が点単位の均一ビニングで NTP を行うのに対し、UniTok はプレフィックス正規化・漸進解像度因果エンコーダ・構造保持再構成損失の 3 要素で可変長・非有界時系列を離散トークンに変換し、Chronos より大幅に豊かな時間構造を捉える。UniTok-FM は同一モデルでゼロショット/プロンプト強化予測・少数ショット生成・少数ショット分類をすべて訓練不要文脈内推論で実現した最初の TSFM であり、この多タスク訓練不要推論は先行研究に前例がない。GIFT-Eval 予測で Chronos-Bolt と競合し、5 プロンプト例で Diffusion-TS(1000 サンプル訓練)と同等の生成品質を達成、UCR-FewShot 分類で UCR データなしに [[MOMENT]] と同等精度(Acc 0.755 vs 0.778)を示した。「豊かなトークナイザが TSFM の多タスク汎化を可能にする」という設計原理を実証した。(Source: [[@2026__arXiv__Time Series as Language - A Universal Tokenizer for General-Purpose Time Series Foundation Models]]) > - **TSFM のクラスタリング性能は古典手法 k-Shape を統計的に上回れない——「予測以外のタスクでの TSFM の優位」は未確立**: Paparrizos+ 2025 の84手法ベンチマーク([[@2025__PVLDB__Time-Series Clustering - A Comprehensive Study of Data Mining, Machine Learning, and Deep Learning Methods]])は、CHRONOS・OFA・[[MOMENT]] の3基盤モデルを時系列クラスタリングで初めて体系的に評価し、いずれも10年前の k-Shape を Wilcoxon 検定・Friedman-Nemenyi 検定で統計的に上回れないことを示した。[[MOMENT]] は [[UCR Time Series Archive]] を事前学習に使用しておりデータ汚染を指摘された。TSFM は予測タスクでスケーリング則に従うことが Toto 2.0 で確認されたが、クラスタリング・分類等の下流タスクでは同じ優位が転移しない可能性がある。汎用 TSFM が「予測のみの専門家」に留まるのか、事前学習表現が他タスクにも有効なのかを切り分ける知見として重要。(Source: [[@2025__PVLDB__Time-Series Clustering - A Comprehensive Study of Data Mining, Machine Learning, and Deep Learning Methods]], [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) > - **ソフトウェア異常検知という具体ドメインでも、ゼロショット TSFM はベースラインに匹敵するが最良にはならない**: [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]]は Chronos・[[TSPulse]]をAIOPS・MSCloud(ソフトウェア性能運用メトリクス)でゼロショット評価し、4つの代表的TSADベースライン(AR・Isolation Forest・LSTM-AD・VAE)と同等の性能(MSCloudでChronosがAUC-PR 2位)を得たが、いずれのデータセットでも最良にはならなかった。これは [[@2025__PVLDB__Time-Series Clustering - A Comprehensive Study of Data Mining, Machine Learning, and Deep Learning Methods]] が示した「予測以外のタスクでの TSFM の優位は未確立」という知見の異常検知版であり、予測タスクでのスケーリング則確立(Toto 2.0)とは対照的に、下流タスク(クラスタリング・異常検知)では訓練済み専用モデルに対するゼロショット TSFM の優位性がまだ実証されていないという横断的パターンを補強する。一方で、訓練を要するベースラインの総所要時間(訓練+推論)は必ずしもゼロショット FM より短いとは限らず(LSTM-AD は基盤モデルの総時間の2倍超)、精度で並ぶ場合はゼロショットの運用コスト削減が実務上の利点になりうる。(Source: [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]], [[@2025__PVLDB__Time-Series Clustering - A Comprehensive Study of Data Mining, Machine Learning, and Deep Learning Methods]]) > > - **診断タスク特化の TSFM は「明示的 disentanglement」という第4のアーキテクチャ軸を持つ——予測特化 TSFM のスケーリング則確立とは逆方向に、超小型モデルが規模を凌駕する**: [[TSPulse]]([[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]])は、時間・周波数の両空間でのマスク再構成を時間的・スペクトル的・意味的の3ビューへ明示的にdisentangleし、1Mパラメータで10〜100倍大きい[[MOMENT]]・UniTS・VQShape等を分類・補完・異常検知・類似検索の4診断タスクで上回った。感度分析(Table 2/4)は時間埋め込みが位相シフトに高感度(歪み130%)・意味埋め込みが欠損/ノイズ/位相いずれにも頑健(歪み4.6〜12%)であることを定量的に示し、[[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]が観察した「decoder-only([[Toto]]) 対 encoder-only([[Falcon-X]])」というアーキテクチャの分岐に、「単一埋め込み(絡み合い) 対 disentangled multi-view埋め込み」という直交する軸を加える。さらに、[[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]が予測タスクで確立した「規模を上げるほど性能が上がる」スケーリング則とは逆に、TSPulseは診断タスクで「明示的disentanglementという設計」が規模の不利を覆すことを示した——予測(スケール側)と診断(disentanglement側)で TSFM の性能を決める主要因が異なる可能性を示唆する。(Source: [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) > - **同じ TSPulse が、汎用リーダーボードでは SOTA、ソフトウェア運用ドメインでは非最良——評価スコープの違いが「TSFM の優位性」の結論を左右する**: TSPulse原論文はTSB-ADリーダーボード(40 SOTA手法、汎用異常検知データセット)でゼロショットのままVUS-PR +14〜16%の最良性能を報告するが、[[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]]はAIOPS・MSCloud(ソフトウェア性能運用メトリクス、より専門化したドメイン)でTSPulseをゼロショット評価しAR・Isolation Forest等の専用ベースラインと同等止まりで最良にはならなかったと報告する。これは矛盾ではなく、汎用ベンチマーク(TSB-AD)での優位性が、より専門化した下流ドメイン(ソフトウェア運用)への転移では必ずしも保証されないことを示す——[[@2025__PVLDB__Time-Series Clustering - A Comprehensive Study of Data Mining, Machine Learning, and Deep Learning Methods]]が示した「予測以外のタスクでのTSFMの優位は未確立」という知見を、同一モデル・異なる評価ドメインという形でさらに補強する一次証拠。(Source: [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]], [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]]) > - **「TSFM」の定義境界は真のゼロショット汎化を要求するか、それとも多タスク教師あり事前学習+適応で十分か——[[UniTS]] はこの境界線上に位置する**: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]は「ドメインごとの再学習・fine-tuningなしのゼロショット予測」を TSFM の定義的特徴とするが、[[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]は「大規模事前学習+特定タスクへのfine-tuning」の2段階プロセスを許容するより広い定義を採る。[[UniTS]]([[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]]、NeurIPS 2024)は38データセットでの統一マスク再構成事前学習の後、prompt tuningやfew-shot fine-tuningで新規タスク・データセットへ適応する設計であり、後者の広義の定義には合致するが、著者ら自身がAppendix Mで「本研究は主にfew-shot学習を主眼とし、訓練データに一切含まれない完全新規ドメインへのゼロショット汎化は今後の課題」と明記しており、[[Toto]]/[[Chronos-2]]/[[TimesFM]]が満たす狭義のゼロショット定義は満たさない。TSFM を名乗るモデル群の中に「真にゼロショットな汎用予測器」と「多タスク教師あり事前学習+軽量適応のフレームワーク」という異なる設計思想が混在していることを示す具体例。(Source: [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]], [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]) > - **予測・分類・補完・異常検知を単一トークン化で統一する「タスク多様性」軸は、サーベイの6次元タクソノミーに含まれない**: [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]の6軸(アーキテクチャ/パッチ/目的関数/単変量・多変量/確率的・決定論的/規模)はいずれも「単一タスク(主に予測)をどう解くか」を分類する軸であり、[[UniTS]]が中心的貢献として掲げる「予測(生成的)と分類(識別的)を同一モデル・同一トークン化枠組みで統一する」という次元は暗黙の前提としてしか扱われない。UniTSのGEN/CLSタスクトークンによる統一は、[[Toto]]/[[Chronos-2]]/[[TimesFM]]が予測タスクに特化するのとは異なる設計選択であり、既存6軸に「タスク多様性(単一タスク特化 vs マルチタスク統一)」という7つ目の軸を加える余地を示唆する。(Source: [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]], [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]]) > - **[[TSPulse]] は [[UniTS]] を「規模で劣るが精度で上回るべき対象」として名指しで比較する——診断タスクでの世代交代の一次証拠**: [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]]は、1Mパラメータの TSPulse が「10〜100倍大きい [[MOMENT]]・UniTS・VQShape 等」を分類・補完・異常検知・類似検索の4診断タスクで上回ったと報告する。UniTS は本来マルチタスク統一という設計思想を先駆的に示したモデルだが、2年後の診断タスク特化サーベイでは「大規模・非効率」側の比較対象として位置づけられている。これは[[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]]が示した「明示的disentanglementという設計が規模の不利を覆す」という知見と、UniTSが示した「マルチタスク統一という設計が専用モジュールを上回る」という知見が、異なる時期・異なる評価軸で両立しうることを示す——UniTSの統一トークン化とTSPulseのdisentangled multi-view表現は、いずれも「単一の巨大バックボーンへの依存を減らす」方向で設計されている点で共通する。(Source: [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]], [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]]) > - **タスクトークンによるモデル凍結+プロンプト学習という適応方式は、[[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]]のPLC(parameter-level collaboration)層に位置づけられる**: 同サーベイはLoRA・Adapter等の軽量パラメータ追加をPLCとして分類するが、[[UniTS]]のprompt learning(バックボーンを完全凍結し、データセット・タスクごとの学習可能なprompt tokenのみを学習)はLoRAより軽量な適応機構でありながら、few-shot fine-tuning(全パラメータ更新)に匹敵する性能を予測タスクで達成する(MAE 0.379 vs 0.381)。サーベイのPLC分類はLoRA/Adapterを主に想定しており、UniTSのようなトークンレベルの適応(新規パラメータ追加ではなく既存アーキテクチャ内の専用トークンのみ学習)という設計変種は明示的に扱われていない。(Source: [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]], [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]]) > - **[[MOMENT]](2024-02)は「予測特化でないマルチタスク TSFM」という後続系譜(UniTS・TSPulse・Falcon-X)の最初期の実例であり、encoder-only masked reconstruction 系譜の起点にも位置づけられる**: vault が観察した TSFM の多くは予測タスクに特化する([[Toto]]/[[Chronos-2]]/[[TimesFM]]/Chronos)のに対し、MOMENT は長期・短期予測に加え分類・異常検知・補完まで単一の事前学習済みエンコーダ+タスク別軽量ヘッドで解く設計を TimeGPT-1 と同時期(2024 年初頭)に示した。この「1 バックボーン・複数タスク」という設計思想は、UniTS(2024 NeurIPS、prompt tokenでのマルチタスク適応)・TSPulse(2026、disentangled multi-view埋め込みで4診断タスク)へ引き継がれる。同時に、事前学習目的関数の軸で見ると MOMENT はマスク再構成(MSE)を採用した encoder-only モデルであり、これは 2 年後に登場する [[Falcon-X]](masked reconstruction + 時間/変量分離、591M)の設計と同系譜にある——[[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]が指摘する「decoder-only([[Toto]]) 対 encoder-only([[Falcon-X]])」というアーキテクチャの分岐において、MOMENT は encoder-only・マスク再構成系列の先行例にあたる。ただし TSPulse は 1M パラメータで MOMENT(40M〜385M)を診断タスクで上回ったと報告しており(前出)、「タスク多様性を担う設計」自体は 2024→2026 で「大きな単一エンコーダ」から「小さな disentangled multi-view」へ重心が移動している。(Source: [[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]], [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]], [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]], [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **MOMENT のクロスモーダル転移実験は「専用 > 転用」知見の逆方向(時系列→他モダリティ)を補強する**: vault は TimesFM の知見として「LLM を時系列に転用するより時系列専用に学習する方がゼロショット精度が高い」(専用 > 転用)を観察済みだが、MOMENT は逆方向の実験——時系列で事前学習した Transformer の自己注意・feed-forward 層を凍結したまま画像(MNIST・CIFAR-10)・テキスト(IMDb)のビット系列分類に転用——を行い、GPT-2・Flan-T5 と同等の精度(MNIST: 0.982 vs 0.975/0.987)を達成した。これは「transformer が学習する系列処理能力はモダリティに対しある程度中立である」ことを示す一方、事前学習ドメイン(時系列)専用モデルの方が当該ドメイン(時系列)ではLLM転用より優れるという非対称性(TimesFMの知見)とあわせると、「transformer のモダリティ転移能力は双方向に存在するが、ドメイン内精度では専用事前学習が常に転用を上回る」という構図が見えてくる。(Source: [[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]], [[@2024__arXiv__A Decoder-Only Foundation Model for Time-Series Forecasting]]) > - **時系列 MoE 基盤モデルに 2 つの独立した動機系統が存在する——「スケール」を追う Time-MoE と「specialization の粒度」を追う Moirai-MoE**: Time-MoE([[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]])はスパース MoE を「密モデルと同じ活性化パラメータでどこまで総パラメータをスケールできるか」という計算効率の問題として導入し 2.4B パラメータへの到達を主眼に置く。一方 Moirai-MoE([[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]])は、Moirai・TimesFM が採る「頻度」という人為的なメタ特徴に基づく model specialization の限界(頻度が同じでもパターンが異なる、頻度が違ってもパターンが似る、単一系列内でも非定常)を出発点とし、MoE を「トークンレベルでのデータ駆動的 specialization」の手段として導入する。両者とも FFN を MoE 層に置換する点は共通するが、Time-MoE は decoder-only + Huber 損失 + 多解像度予測ヘッドで**点予測のスケーラビリティ**を追い、Moirai-MoE は Moirai 由来の確率的予測 + 事前学習済み表現に基づく新規ゲーティング関数(Token Clusters)で**specialization の質**を追う。同じアーキテクチャ変更(FFN→MoE)が異なる問題設定から独立に正当化された例。(Source: [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]], [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]]) > - **Moirai(masked encoder)→ Moirai-MoE(decoder-only)という訓練目的の転換は、MoE 導入そのものより小さいが独立した性能寄与を持つ**: Moirai-MoE のアブレーション(Table 3)は、訓練目的のみを masked encoder → decoder-only に変えた中間バリアント(Multi Projection w/ Decoder-Only)を作り、Aggregated MAE が MoiraiS の 0.78 から 0.75 へわずかに改善するに留まる一方、単一射影層 + MoE を追加した最終形(Moirai-MoES)は 0.65 まで改善することを示した。これは vault が観察した「アーキテクチャの分岐」(decoder-only の [[Toto]] 対 encoder-only の [[Falcon-X]])という設計選択が、同一系列(Moirai 系)内でも独立に検証可能な変数であることを具体的に示す一次証拠であり、性能向上の主因は訓練目的の変更ではなく MoE によるトークンレベル specialization にあることを Moirai-MoE 自身が定量的に切り分けている。(Source: [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **MoE の内部エキスパート割り当てを可視化することで、TSFM が「頻度非依存表現」を獲得する過程を初めて直接観測できる**: Moirai-MoE のモデル分析は、浅い層(Layer 2)では頻度ごとに大きく異なるエキスパート選択分布を示す一方、最終層(Layer 6)ではほぼ全頻度が同一の少数エキスパート(32 中 3 個程度)に収束することを示した(Figure 6)。これは「頻度は時系列パターンの信頼できる指標でない」という Moirai-MoE の批判的前提(Figure 1)が、モデル内部で実際にどう解消されるかを可視化した稀有な事例であり、vault が観察してきた TSFM の設計上の議論(頻度レベル vs トークンレベル specialization)に、MoE のルーティング挙動という観測可能な内部機序を接続する。(Source: [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]]) > - **decoder-only が長コンテキストで encoder-only を上回る「機序」を初めて実証的に示した——「アーキテクチャの分岐」に因果的説明が加わる**: vault はこれまで「decoder-only([[Toto]]) 対 encoder-only([[Falcon-X]])」というアーキテクチャの分岐を並列的な設計選択として観察してきたが、[[Timer-XL]]([[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]]、ICLR 2025)はこの分岐に **causality の維持** という因果的説明を与える。encoder-only の UniTST は長コンテキストで性能劣化を起こす(著者らはFigure 3で明示的に実証)のに対し、decoder-onlyのTimer-XLはこれを緩和する。表現分析(論文Figure 11)では decoder-only モデルが過去コンテキストの直近部分に選択的に注意を向けるのに対し encoder-only はノイズの多い離れた部分にも注意が分散することが観察され、「次トークン予測というパラダイムがcausalityを保つことで長コンテキストへの汎化を助ける」というメカニズムを可視化した。ERA5(年次コンテキスト)でも PatchTST(encoder-only)の MSE が 4ヶ月コンテキストで 0.0745→0.1194 へ悪化する一方 decoder-only の Timer-XL/DLinear は一貫して改善する。これは encoder-only/decoder-only の性能差を「観測」するだけでなく、注意パターンの可視化を通じて「なぜ」decoder-only が有利かに踏み込んだ数少ない一次証拠。(Source: [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]], [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]]) > - **既存ベンチマークの性能飽和という課題に、新規長コンテキストベンチマークの構築で対処した先行例**: [[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]]が指摘する汎ドメイン TSF の性能飽和(Accuracy Law)に対し、[[Timer-XL]]は ETT・ECL・Traffic 等の既存ベンチマークが短いコンテキスト帯で性能飽和しやすいと論じ、40年分の ECMWF Reanalysis v5(ERA5)から独自に ERA5-S(単変量・7局)・ERA5-MS(多変量・7局)・ERA5-Large(4920局・事前学習用、約5億点)という長コンテキスト専用ベンチマークを新設した。これは「汎ドメインアーキテクチャ研究自体の方向転換」を求める Position paper とは異なる対応(ベンチマーク自体を作り替えることで既存アーキテクチャの限界を可視化する)であり、[[SPRINT]]が推論時最適化で対処したのと同じ「ベンチマーク飽和」という根本課題に、データセット構築という別角度から取り組んだ事例。(Source: [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]], [[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]]) > - **同じ Tsinghua 研究室(Timer-XL の著者ら)が、decoder-only + causality という設計を土台に、確率的予測の目的関数を離散トークン化なしで再設計した**: [[Timer-XL]]の著者陣([[Yong Liu]]・[[Guo Qin]]・[[Mingsheng Long]] ほか)は同年、[[Sundial]]([[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]]、ICML 2025)で decoder-only Transformer(RoPE・causal self-attention という Timer-XL と共通の骨格)に、flow-matching ベースの生成的損失 [[Flow Matching|TimeFlow Loss]] を新たに組み合わせた。Timer-XL が「causality の維持による長コンテキスト汎化」を論じたのに対し、Sundial は同じ decoder-only 系譜の上に「事前分布を指定しない確率的予測」という別の軸(vault が観察した「評価指標の二分(MASE 対 CRPS)は訓練目的関数の二分と対応する」という知見の具体例)を追加する。両論文を合わせると、同一研究室が decoder-only アーキテクチャを土台に「長コンテキスト汎化」(Timer-XL)と「生成的確率予測」(Sundial)という 2 つの改善軸を独立に探索していることが分かる。1 兆点規模の TimeBench は Timer-XL の事前学習規模を大幅に上回り、同グループ内でもデータ規模の拡大が継続している。(Source: [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]], [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]]) > - **TimeFlow Loss(flow-matching)は、量子化ベースの categorical 分布(Chronos)ともパラメトリック密度(TimesFM/Moirai)とも異なる第 3 の確率的予測パラダイムを提示し、同一条件比較で優位性を示した**: vault はこれまで確率的予測の実現手段として「categorical(Chronos の量子化+クロスエントロピー)」対「パラメトリック密度(Moirai の混合分布・Toto/Lag-Llama の NLL)」という 2 系統を観察してきたが、Sundial は同一バックボーン・同一事前学習規模でのアブレーション(Table 3・Table 7)により、flow-matching ベースの TimeFlow Loss が MSE 損失・拡散損失のいずれよりも低い MSE・CRPS を一貫して達成することを示した。TSLib・GIFT-Eval・FEV の 3 大ベンチマークで Time-MoE(点予測)・Chronos(categorical)・Moirai(パラメトリック密度)のいずれも上回るゼロショット SOTA を、Time-MoE の Time-300B(309B)・Moirai の LOTSA(230B)を上回る 1 兆点規模の TimeBench で達成した点は、[[Toto]] 2.0 が確立したスケーリング則の知見(規模拡大が確率的予測でも一貫して効く)とも整合する。詳細は [[Flow Matching]]・[[時系列トークナイゼーション]] を参照。(Source: [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]], [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]], [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) > - **ドメイン適応の第三の道として「文脈内ファインチューニング」が、ゼロショット推論と per-dataset ファインチューニングの二分法を崩す**。vault はこれまで TSFM のドメイン適応を「ゼロショット推論」対「対象データセットでのファインチューニング(勾配更新)」の二分で観察してきたが、[[TimesFM]] を継続事前学習した TimesFM-ICF は、推論時にコンテキストウィンドウへ対象ドメインの関連時系列例示を追加するだけで、Monash ベンチマーク全体において per-dataset の全重み更新ファインチューニング(FT-TimesFM Full)を約3%上回った。ファインチューニングの総所要時間115分に対し推論はわずか4分であり、著者らは小規模データセットでのファインチューニングが引き起こす破滅的忘却がこの逆転の一因と推察する。これは「TSFM が下流適応でどこまで zero-shot 性を保ちながら性能を伸ばせるか」という設計軸に、[[エージェント型時系列予測]]の推論時ツール利用とも異なる第3の選択肢(推論時のコンテキスト拡張による疑似ファインチューニング)を追加する。(Source: [[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]]) > - **単純な履歴長拡張(long-context 事前学習)より、文脈内例示の追加の方がコンテキスト予算を効率的に使える**。TimesFM-ICF は、最大履歴長2048で訓練した TimesFM (LH) が TimesFM(base)比でわずか1%の改善にとどまるのに対し、同程度のコンテキスト長を文脈内例示に割り当てた TimesFM-ICF は7%の改善を達成した。理由として、短い時系列を長履歴モデルに与えるとパディングで大半のコンテキストが浪費される一方、文脈内例示としてなら複数の短い時系列をパッキングして活用できる点を挙げる。これは Timer-XL・Sundial が長コンテキスト自体の汎化能力を高める方向で TSFM を改善してきたのと異なる軸で、「同じコンテキスト長をどう埋めるか(長い履歴 vs 複数の関連例示)」という設計変数を独立に示す。([[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]], [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]]) > - **「大規模化で勝つ」路線の対極にある「小型化で勝つ」路線が 2024 年時点で既に確立していた——TSPulse の効率性は新規軸でなく TTM の延長線**: vault はこれまで Toto 2.0 のスケーリング則確立(4M〜2.5B で単調改善)や decoder-only/encoder-only のアーキテクチャ分岐を、TSFM が「規模を維持したまま」設計を洗練させる路線として観察してきたが、[[Tiny Time Mixers (TTM)]]([[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]]、NeurIPS 2024)はこれと直交する「小型化そのものを最適化目標に据える」路線を Toto 2.0 より約 1 年半早く確立していた。TSMixer(MLP-Mixer 系、自己注意なし)をバックボーンに、adaptive patching・diverse resolution sampling・resolution prefix tuning という 3 機構で 1M パラメータのモデルに 311M パラメータの MoiraiL・200M パラメータの TimesFM を上回るゼロショット精度を持たせた。[[TSPulse]](2026、[[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]])が示した「1M パラメータで 10〜100 倍大きい MOMENT 等を診断タスクで上回る」という成果は、vault が当初「明示的 disentanglement という設計が規模の不利を覆す新規軸」と位置づけていたが、TTM 原論文を読むと同じ著者陣・同じ TSMixer バックボーンによる「小型化路線」の延長であり、disentanglement は予測から診断タスクへの拡張時に追加された機構にすぎないと分かる。(Source: [[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]], [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]], [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]]) > - **「限定的な事前学習データでも解像度多様性が高ければ量の増加より効く」という知見は、Chronos の TSMixup・KernelSynth より先に TTM で定量実証されていた**: vault は Chronos の TSMixup(複数系列の凸結合)・KernelSynth(合成カーネルデータ)によるデータ拡張がゼロショット性能を底上げすることを観察済みだが、TTM のアブレーション(Figure 3)は「データ量を 250M→1B に増やす効果(6%改善)」より「diverse resolution sampling による解像度多様性の付加(37%改善)」の方がはるかに大きいことを定量的に示した。両者とも「量そのものより多様性の設計が汎化を左右する」という結論で一致するが、TSMixup/KernelSynth が系列パターンの多様性を合成データで拡張するのに対し、TTM の DRS は既存データの解像度次元だけを人工的に増やす点で操作対象が異なる。(Source: [[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]], [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]]) > - **汎用 TSFM を評価してきた点予測メトリクス(MASE・CRPS 等)は、そのモデルが駆動する意思決定の質を保証しない**: vault はこれまで TSFM を主に held-out ベンチマークでの点予測精度・確率的スコア(CRPS)で比較してきたが、ドメイン特化のテレメトリ基盤モデル [[@2026__arXiv__Centile - A Telemetry Foundation Model Evaluated by the Decisions It Drives|Centile]] は「運用テレメトリでは点予測誤差が last-value ベースラインの近傍で頭打ちになりやすく、誤差の改善が下流の意思決定の改善を保証しない」ことを明示的な動機とし、HPC バックフィリングとネットワークプロビジョニングという2つの意思決定を再生(decision replay)することでモデルを評価するプロトコルを導入した。実験では「真のランタイムでのスケジューリング」が必ずしも最良の bounded slowdown を生まないという、点予測誤差の直感に反する結果が示されており、[[決定志向予測評価]]という評価軸が汎用 TSFM のベンチマーク文化(GIFT-Eval・TSFM-Bench・TS-Arena 等)とは独立に必要になる可能性を示す。Centile 自身は Chronos-Bolt(汎用 TSFM)をゼロショットベースラインとして比較し、固定分位点グリッド(τ=0.9まで)しか持たない汎用モデルに対し重い裾の混合ヘッドで τ=0.95 まで供給できる点を優位性としており、汎用 TSFM の分位点グリッドの柔軟性がドメイン特化モデルに劣る具体例を提供する。(Source: [[@2026__arXiv__Centile - A Telemetry Foundation Model Evaluated by the Decisions It Drives]]) > - **スパイク・急変動への弱さは、検知タスクと予測タスクの双方で独立に観測された共通の失敗パターン**: [[TelecomTS]] はストリーミング起因のスパイクが異常検知タスクで全モデルに偽陽性を誘発すると報告したが(前出)、[[@2025__arXiv__Performance of Zero-Shot Time Series Foundation Models on Cloud Data]] は予測タスク側で対応する現象を示す——Huawei Cloudの周期的スパイクを持つ関数リクエストデータに対し、6種のゼロショットFM(VisionTS・TTM・TimesFM・Chronos・Moirai・Mamba4Cast)がいずれも単純なオンライン線形モデル・ナイーブ季節性予測器に劣り、特にMoiraiはコンテキストの1ステップの違いだけで予測が突然崩壊する病理を示した。検知(偽陽性)と予測(精度劣化・病理的崩壊)という異なるタスク・異なるドメインの2ソースが、「TSFMはスパイク・急変動の文脈で信頼性が低下する」という同じ弱点に収斂する。詳細は子概念 [[時系列基盤モデルのバイアスと失敗モード]] を参照。(Source: [[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]], [[@2025__arXiv__Performance of Zero-Shot Time Series Foundation Models on Cloud Data]]) > > - **masked encoder + RoPE + 独立 Student-T という Moirai/Moirai-MoE の設計選択は、2023 年の CloudOps 事前学習研究ですでに実証的に確立していた**: vault はこれまで Moirai-MoE([[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]])のアーキテクチャを既定として観察してきたが、同じ著者陣([[Gerald Woo]]・[[Chenghao Liu]]・[[Doyen Sahoo]])による前身研究([[@2023__arXiv__Pushing the Limits of Pre-training for Time Series Forecasting in the CloudOps Domain]])は、[[CloudOps時系列予測データセット]](azure2017・borg2011・ali2018)を用いたアブレーションで、masked encoder が encoder-decoder より優れ、独立 Student-T 分布が量子関数・正規化フローより頑健で、RoPE が日時特徴量のみより優れた位置エンコーディングであることを1年以上先に定量実証していた。TSFM の主要設計選択(アーキテクチャ・確率的ヘッド・位置エンコーディング)の少なくとも一部は、汎ドメイン TSFM 以前の in-collection(同一システム内)事前学習研究で先に検証されていたことになる。(Source: [[@2023__arXiv__Pushing the Limits of Pre-training for Time Series Forecasting in the CloudOps Domain]], [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]]) > - **in-collection ゼロショットは fine-tuning と同等かそれを上回りうる——これは汎ドメイン TSFM のゼロショット汎化と異なる、より狭い主張である**: [[@2023__arXiv__Pushing the Limits of Pre-training for Time Series Forecasting in the CloudOps Domain]] は同一コレクション(同一システムが生成する時系列群)内で事前学習したモデルのゼロショット予測が、同コレクション内の held-out 系列への fine-tuning と同等以上の性能を示すことを報告した。これは TimeGPT-1・Chronos・TimesFM 等が主張する「異なるドメイン・異なるコレクションへのゼロショット汎化」より狭い主張(同一システム内での未知系列への転移)だが、より厳密に統制された実験設定(pre-train/train-test の非重複分割、Wasserstein 距離による分布シフトの定量確認)の上に成り立つ。汎ドメイン TSFM のゼロショット性能を評価する際、この「in-collection でどこまで転移が効くか」という基礎的な問いへの回答が暗黙の前提になっている可能性がある。(Source: [[@2023__arXiv__Pushing the Limits of Pre-training for Time Series Forecasting in the CloudOps Domain]]) > > - **「専用 > 転用」路線に、Centile に続く2件目のネットワークテレメトリ特化 TSFM が加わり、汎用 TSFM 比 12〜18% MAE 改善という具体的な差分が示された**: [[Cisco]] の [[@2026__arXiv__APEX - A Network-Native Time-Series Foundation Model for Forecasting and Anomaly Detection for Wireless Edge Operations|APEX]] は、無線 AP テレメトリ(バースト性・ゼロ過剰・プロトコル層間依存)で汎用 TSFM([[TimesFM]]/[[Toto]]/[[Chronos-2]])の転移性能が低いという課題意識から、DHCP 因果連鎖の10チャネル多変量テレメトリのみで decoder-only transformer を事前学習する。APEX-Large と最強の汎用ベースライン([[Toto]])は同じ decoder-only アーキテクチャでありながら MAE で12〜18%の差が生じ、論文はこれを「アーキテクチャ効果ではなくデータ効果」と位置づける。[[Centile]](HPC・ネットワークプロビジョニングの意思決定評価)が既に示した「ドメイン特化データが汎用 TSFM を上回る」という知見に、無線ネットワーク運用という別ドメインでの定量的な追認が加わったことになる。(Source: [[@2026__arXiv__APEX - A Network-Native Time-Series Foundation Model for Forecasting and Anomaly Detection for Wireless Edge Operations]]) > - **予測と異常検知を単一チェックポイントの MC-dropout 予測区間で統合するという設計は、検知専用パイプラインを不要にする**: APEX は推論時にも dropout を有効にしたまま N=50 回の確率的フォワードパスでアンサンブルを構成し、P5/P95 分位点で予測区間と異常検知の両方を同一モデルから得る。追加パラメータなしに不確実性を得られるため、10.5M パラメータの APEX-Edge でも VAR-Mahalanobis(F1=0.94、線形手法)に迫る F1=0.93〜0.89 を達成し、リソース制約下のエッジで「予測モデル+別の検知モデル」という二重配備を避けられる。(Source: [[@2026__arXiv__APEX - A Network-Native Time-Series Foundation Model for Forecasting and Anomaly Detection for Wireless Edge Operations]]) > > - TSFM の後学習5分類は、既存のゼロショット性能・ドメイン特化・観測データ研究を、介入位置と配備制約の観点から比較する共通軸になりうるか。([[@2026__arXiv__Post-Training in Time Series Foundation Models A Unifying Framework - Chapter 3 Taxonomy of TSFMs Post-Training Methods]]) - IBM Granite Time Series(PatchTST-FM-r1・FlowState-r1.1・TTM-r3・TSPulse)は Confluent Cloud 上の Flink SQL 関数 `AI_FORECAST`・`AI_DETECT_ANOMALIES` の背後でモデルを差し替え可能にし、パイプライン再設計なしに予測・異常検知モデルを切り替えられる共通インターフェースを商用ストリーミング基盤に統合した(Source: [[@2026__IBM__IBM Granite Time Series models bring real-time forecasting and anomaly detection to Confluent Cloud]])。 - [アーキテクチャの分岐と設計空間] decoder-only 系 TSFM の多変量化路線に、Chronos-2 の raw-space 変量混合・Group Attention に続く設計として、時間軸と変量軸を明示的に分離し交互に積層する[[時間-変量交互アテンション]](TimesFM-3, 2026-08)が加わった(Source: [[@2026__Google Research Blog__TimesFM-3 - A Zero-Shot Foundation Model for Multivariate Forecasting]]) - [観測・運用ドメインへの特化] SeT-Diff は compute node テレメトリを対象に、拡散モデルの生成過程をセンサーのテキスト意味記述(Sentence-BERT 埋め込み)で条件付けることで、センサーの位置インデックスではなく意味的アイデンティティに基づく識別を実現し、センサー並び替えに対する zero-shot permutation stability(並び替え前後で MAE 0.0470→0.0472 とほぼ不変)を示した(Source: [[@2026__arXiv__SeT-Diff - Towards Semantic Foundation Models for HPC Telemetry and Time-Series]])。 - 既存の TSFM(Time-LLM・Chronos)が決定論的写像として単一タスクの汎化を追うのに対し、SeT-Diff は拡散モデルの生成的柔軟性を用いて欠損補完・予測・仮想センシングを単一の事前学習済みモデルと推論時マスク変更だけで統一する点が異なる(Source: [[@2026__arXiv__SeT-Diff - Towards Semantic Foundation Models for HPC Telemetry and Time-Series]])。 ## 関連 - 概念: [[多変量時系列予測]] / [[異常検知]] / [[AIOps]] / [[障害予測]] / [[エージェント型時系列予測]] / [[Mixture-of-Experts]] / [[文脈内学習]] / [[予測事前登録プロトコル]] / [[ベンチマーキング]] / [[決定志向予測評価]] / [[HPCジョブスケジューリング]] / [[時間-変量交互アテンション]] - ソース: [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]] / [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] / [[A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models]] / [[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]] / [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]] / [[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]] / [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]] / [[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]] / [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]] / [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]] / [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]] / [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]] / [[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]] / [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]] / [[@2025__ICLR__Time-MoE - Billion-Scale Time Series Foundation Models with Mixture of Experts]] / [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]] / [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]] / [[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]] / [[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]] / [[@2026__arXiv__Centile - A Telemetry Foundation Model Evaluated by the Decisions It Drives]] / [[@2026__IBM__IBM Granite Time Series models bring real-time forecasting and anomaly detection to Confluent Cloud]] / [[@2026__Google Research Blog__TimesFM-3 - A Zero-Shot Foundation Model for Multivariate Forecasting]] / [[@2026__arXiv__SeT-Diff - Towards Semantic Foundation Models for HPC Telemetry and Time-Series]] - エンティティ: [[Toto]] / [[BOOM]] / [[Datadog]] / [[Carnegie Mellon University]] / [[Falcon-X]] / [[Ant International]] / [[Chronos-2]] / [[TimesFM]] / [[TiRex]] / [[Cisco]] / [[Splunk]] / [[GIFT-Eval]] / [[fev-bench]] / [[TelecomTS]] / [[Yale University]] / [[Cast-R1]] / [[TimeCopilot]] / [[Dell Technologies]] / [[Siva Rama Krishna Kottapalli]] / [[SPRINT]] / [[Longlong Xu]] / [[Dan Pei]] / [[Tsinghua University]] / [[Qinwei Ma]] / [[Princeton University]] / [[Abdul Fatir Ansari]] / [[Oleksandr Shchur]] / [[Yuyang Wang]] / [[Amazon Web Services]] / [[Azul Garza]] / [[Cristian Challu]] / [[Max Mergenthaler-Canseco]] / [[Nixtla]] / [[TSPulse]] / [[University of L'Aquila]] / [[UniTS]] / [[Harvard University]] / [[MIT Lincoln Laboratory]] / [[University of Virginia]] / [[MOMENT]] / [[Auton Lab]] / [[Time Series Pile]] / [[Mononito Goswami]] / [[Salesforce AI]] / [[National University of Singapore]] / [[Hong Kong University of Science and Technology, Guangzhou]] / [[Yong Liu]] / [[Guo Qin]] / [[Mingsheng Long]] / [[Sundial]] / [[Matthew Faw]] / [[Tiny Time Mixers (TTM)]] / [[IBM Research]] / [[TS-Arena]] / [[Paderborn University]] / [[North Carolina State University]] / [[Zifan Zhang]] / [[Zhichao Hou]] / [[Confluent]] / [[FlowState]] - 関連 MOC: [[時系列基盤モデル - MOC]] / [[異常検知 - MOC]] / [[Telemetry - MOC]] ## 出典 - [[@2023__arXiv__TimeGPT-1]](§5 アーキテクチャ・事前学習・コンフォーマル予測、§6 Table 1 ゼロショット評価・推論速度比較) - [[@2026__arXiv__Toto 2.0 - Time Series Forecasting Enters the Scaling Era]](Toto 2.0 arXiv 版、スケーリング則初確立・NorMuon・CPM・u-μP) - [[@2026__Datadog__Toto-2.0-Time-Series-Forecasting-Enters-the-Scaling-Era]](Toto 2.0 ブログ版、arXiv:2605.20119) - [[@2025__NeurIPS2025__This Time is Different - An Observability Perspective on Time Series Foundation Models]] - [[@2026__arXiv__Falcon-X - A Time Series Foundation Model for Heterogeneous Multivariate Modeling]] - [[A Survey of AIOps in the Era of Large Language Models]](§5.1 Foundation Model: 時系列基盤モデルの AIOps 応用) - [[@2026__ICML__TelecomTS - A Multi-Modal Observability Dataset for Time Series and Language Analysis]](Table 2/4/7: TSFM の観測データ性能とスケールアブレーション) - [[@2026__arXiv__Position Beyond Model-Centric Prediction - Agentic Time Series Forecasting]](§2 Table 1: Foundation Models を含む予測パラダイム進化表、§5: ATSF はモデル規模と直交) - [[@2025__arXiv__Cisco Time Series Model Technical Report]](§2 多解像度アーキテクチャ、§3 観測ドメインのデータ操作原則、§4 GIFT-Eval/観測データ評価) - [[@2026__arXiv__Cast-R1 - Learning Tool-Augmented Sequential Decision Policies for Time Series Forecasting]](§3.3 予測モデルツール化、§4.3.1 Table 3 コンポーネントアブレーション、§4.4 Table 12 個別予測モデルツールのアブレーション) - [[@2025__arXiv__Foundation Models for Time Series - A Survey]](§3–§4: 6 次元タクソノミー、Table 2: モデル比較、§5 ISSUES: 各モデルの限界) - [[@2025__arXiv__TimeCopilot]](§2.2 TSFM 統一ハブ、§3.1 GIFT-Eval/MedianEnsemble、Figure 2 CRPS/MASE ランク) - [[@2026__ICML__See More, Forecast Better and Faster - Enhancing Time Series Foundation Models via Inference-Time Plug-and-Play Downsampling]](Table 1/2: 精度・効率改善、Table 3: コンポーネント検証、Section 5–6: アブレーション) - [[@2026__arXiv__Position - The Inevitable End of One-Architecture-Fits-All-Domains in Time Series Forecasting]](§3: 和解不能な矛盾の論証、§4: ベンチマーク飽和と実務乖離、Table 1–2: コンペ・ドメイン論文調査) - [[@2026__techRxiv__From Pre-training to Post-training - A Survey on Time Series Foundation Models]](§III 3 次元タクソノミー、§IV データセット、§V 事前学習、§VI 事後学習(SFT/PEFT/協調 PLC-MLC-HLC/強化 reasoning-非 reasoning)、§VII 将来方向、Table I-VI) - [[@2025__arXiv__Chronos-2 - From Univariate to Universal Forecasting]](group attention + Multivariatizer で単変量・多変量・共変量付き予測を統一、fev-bench/GIFT-Eval/Chronos Benchmark II 全 SOTA) - [[@2024__arXiv__Chronos Learning the Language of Time Series]](§3 スケーリング+量子化トークン化、§4 TSMixup・KernelSynth、§5 Benchmark I/II、§5.5 初期化アブレーション) - [[@2026__ICPE Companion__Leveraging Time Series Foundation Models to Detect Performance Anomalies in Software Systems]](Table 1/2: AIOPS・MSCloudでのChronos・TSPulseゼロショット評価とベースライン比較、Figure 3: 推論・総所要時間) - [[@2026__ICLR__TSPulse - Tiny Pre-Trained Models with Disentangled Representations for Rapid Time-Series Analysis]](§2 disentangled マスク再構成アーキテクチャ、§3.3 TSLens/Multi-Head Triangulation、§4 4診断タスクのベンチマーク結果、§6・Appendix A.3-A.4 埋め込みdisentanglementの感度分析) - [[@2024__NeurIPS__UniTS - A Unified Multi-Task Time Series Model]](§4 タスクトークン化とUniTSアーキテクチャ、§4.3 統一マスク再構成事前学習、§5 単一タスク/マルチタスク/few-shot/ゼロショット評価、Appendix M Limitations) - [[@2024__ICML__MOMENT - A Family of Open Time-series Foundation Models]](§3 Time Series Pile・アーキテクチャ・マスク時系列モデリング、§4.1 5タスク限定教師情報ベンチマーク、§4.3 モデルスケーリング・クロスモーダル転移・初期化アブレーション) - [[@2024__arXiv__Moirai-MoE - Empowering Time Series Foundation Models with Sparse Mixture of Experts]](Moirai を単一射影層 + MoE に置き換え、頻度レベル specialization の限界を批判。Token Clusters ゲーティング、39 データセット評価、Obs 1-4 のモデル分析で頻度非依存表現の獲得を可視化) - [[@2025__ICLR__Timer-XL - Long-Context Transformers for Unified Time Series Forecasting]](§3 TimeAttention・多変量次トークン予測、Figure 3・11・Table 15 encoder-only/decoder-onlyの長コンテキスト性能差、ERA5系長コンテキストベンチマークの新設) - [[@2025__ICML__Sundial - A Family of Highly Capable Time Series Foundation Models]](§4.1.3 TimeFlow Loss、§4.2 TimeBench(1 兆点)、Table 1/2 ゼロショット SOTA、Table 3・7 生成的損失アブレーション、Appendix C.1 mode collapse) - [[@2024__arXiv__Tiny Time Mixers (TTMs) - Fast Pre-trained Models for Enhanced Zero Few-Shot Forecasting of Multivariate Time Series]](§3 adaptive patching・diverse resolution sampling・resolution prefix tuning、§4 ゼロ/少数/フルショット評価と計算コスト比較(Table 1-6)、Figure 3 データ多様性アブレーション、§H Limitations) - [[@2024__arXiv__In-Context Fine-Tuning for Time-Series Foundation Models]](§4 separator トークン・交差例示アテンション・NoPE によるアーキテクチャ設計、§6.1-6.2 Monash/ETT でのゼロショット改善、§6.3 per-dataset ファインチューニングとの比較、§6.4 例示数・長履歴アブレーション) - [[@2026__arXiv__TS-Arena - A Live Forecast Pre-Registration Platform]](§2 予測事前登録プロトコル、§4.2 Table 3 情報漏洩フリーの2025年通年ライブ評価結果)