# 成長の3つの地平線 ## 定義 成長の3つの地平線(Three Horizons of Growth)とは、Mehrdad Baghai・Stephen Coley・David White がマッキンゼーで提示した投資計画モデルであり、企業が自社の将来を考えるための3つの時間軸を区分する。ホライズン1は現在すでに重要視されている分野(0〜18か月)、ホライズン2は期待される新たな成長分野(12〜36か月)、ホライズン3は研究開発段階にある長期的な潜在成長分野(24〜72か月)を指す。『SREエンタープライズロードマップ』はこのモデルを信頼性投資の優先順位づけに応用し、無限にあると思われる信頼性空間の作業を、各ホライズンへの異なる投資レベルの割り当てとして分割できるとする。ホライズン3への投資は、単一のビジネスモデルに縛られない柔軟なプラットフォームとアーキテクチャを必要とし、中央集権的な承認委員会やトップダウンのアーキテクチャ義務化はホライズン3で必要なイノベーションを阻害するとされる。結論として、SREをホライズン1に適用するとビジネスへの即効性が得られ、ホライズン2に中核的な基盤として配置すると潜在的な成功が確実になるが、ホライズン3は実現可能性が未確立なため、SREを始めるには最適な場所ではない (Source: [[@2022__OReillyJapan__SREエンタープライズロードマップ - Chapter 2 なぜ信頼性のためにSREというアプローチをとるのか?]])。 ## 横断的知見 - 現時点ではソースが1件(『SREエンタープライズロードマップ』第2章)のみであり、複数ソースの突き合わせによる横断的知見はまだ形成されていない。[[ダイナミックケイパビリティ]](Sensing/Seizing/Transforming)は同じく企業の環境変化への対応能力を扱う経営戦略フレームワークだが、時間軸による投資区分(本概念)と組織能力の種類による区分(ダイナミックケイパビリティ)という異なる分類原理を採っており、両者を同一の投資判断に適用した場合の対応関係は今後の ingest で検証する。 ## 未解決の問い - ホライズン1〜3への信頼性投資配分は、具体的にどのような指標(予算比率・人員配分・SLO の厳格さ等)で決定すべきか。本章は概念的な位置づけを示すのみで、定量的な配分方法には触れていない。 - ホライズン3で必要とされる「柔軟なプラットフォームとアーキテクチャ」は、[[プラットフォームエンジニアリング]]が扱う共通基盤の設計とどこまで同じ要件を持つか。 - 成長の3つの地平線モデルと[[ダイナミックケイパビリティ]]のSensing/Seizing/Transformingを組み合わせて、SRE導入の投資計画を同一の地図上で扱えるか。 ## 関連 - ソース: [[@2022__OReillyJapan__SREエンタープライズロードマップ - Chapter 2 なぜ信頼性のためにSREというアプローチをとるのか?]] - 概念: [[ダイナミックケイパビリティ]] / [[信頼性スタック]] / [[SRE]] - 実体: [[James Brookbank]] / [[Steve McGhee]] ## 出典 - James Brookbank, Steve McGhee 著, 山口 能迪 訳, 『SREエンタープライズロードマップ』, Google Japan G.K., 2022, 第2章「なぜ信頼性のためにSREというアプローチをとるのか?」(§いつ信頼性を重視すべきか、図2-1)。原典: Mehrdad Baghai, Stephen Coley, David White, *The Alchemy of Growth*, Basic Books。