# 再見積り ## 定義 再見積りとは、ストーリーポイントや理想日で一度付けたユーザーストーリーの見積り値を、プロジェクトの進行中に変更することである。ストーリーポイントも理想日もフィーチャの規模と複雑度をあらわす値であって実装にかかる期間そのものではないため、再見積りが必要になるのは、ストーリーの相対的な規模についての判断が変わったとチームが判断したときに限られる。あるストーリーの実装に想定より長く時間がかかったという事実だけでは再見積りしない。(Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 7 再見積り]] 冒頭) ## 横断的知見 - 4章はストーリーポイントを「単位を持たない相対値であり、値そのものには意味がなく他の作業との比率だけが意味を持つ」と定義する。7章の再見積り論はこの前提を運用ルールへ落とし込んだものであり、進捗が遅いという絶対的な事実だけでは再見積りをせず、ストーリー間の相対的な大小関係についての判断が変わったときだけ再見積りするという基準を導く。完了ストーリーだけのポイントを増やし未着手ストーリーを据え置く再見積り(表7.1の例)は、この相対値の前提を崩すため、ベロシティが上がって見えても残作業量が同じだけ増え、正味では何も変わらない。(Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 4 ストーリーポイントによる規模の見積り]] §1, [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 7 再見積り]] §2) - 8章は7章の再見積り基準を、ストーリーポイントと理想日という2つの単位の違いに即してさらに絞り込む。対象の大きさが実際に変化した場合(フレームワークの採用などの仕様変化)には、ストーリーポイントであれ理想日であれ再見積りが必要になる点は共通する。しかし、開発者が経験を積み技術に熟達したことによって見積りの数値そのものが変わってしまうのは理想日だけであり、ストーリーポイントは大きさが変わらない限り値も変わらない。したがって理想日を使うチームは、7章の基準(相対的な大きさの判断が変わったときだけ再見積りする)に加えて、「熟達による見積りのドリフト」という理想日固有の再見積り要因にも注意する必要がある。(Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 7 再見積り]] §2, [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 8 ストーリーポイントと理想日]] §1-2) ## 未解決の問い - ベロシティの具体的な算出手順(過去何イテレーション分を平均するか、外れ値をどう扱うかなど)は7章では前提として扱われるのみで、16章「ベロシティの見積り」に委ねられている。 - 部分完了ストーリーの扱いとして紹介される、オール・オア・ナッシング方式(完了時のみ全ポイント加算)と、完了分を再見積りしてベロシティに加える方式のどちらを標準運用にすべきかの判断基準は、7章では両方を紹介するにとどまり、優先順位や適用条件までは踏み込まれていない。 - イテレーション計画づくりやリリース計画のモニタリングを扱う章(14章・19章・20章)で、再見積りの原則が実際にどう運用されるかは本章の担当範囲外であり未確認。 - 理想日固有の「熟達によるドリフト」(8章§1-2)を検知したチームが、具体的にどのタイミング・頻度で理想日の見積りを補正すべきかは8章では示されていない。 ## 関連 - ソース: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 7 再見積り]] / [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 8 ストーリーポイントと理想日]](理想日固有の再見積り要因) - 概念: [[ストーリーポイント]] / [[理想日]] - 実体: [[SwimStats]] - 書籍: [[wiki/entities/アジャイルな見積りと計画づくり|アジャイルな見積りと計画づくり]] ## 出典 - Mike Cohn 著, 安井力・角谷信太郎 監訳, 『アジャイルな見積りと計画づくり』, マイナビ, 2009, 7章, 8章.