# 再帰化 ## 定義 「再帰化」とは、構造化・自動化されたサービスが、ユーザとのインタラクションの結果を取り込んで、システムを自らより良いものへと改修していくプロセスである。[[GMOペパボ]] の 2022 年テクノロジー方針で提唱され、[[三宅悠介]]が[[@2022__ペパボテックカンファレンス__再帰化への認知的転回]]で体系的に展開した。 従来のシステム開発は y=f(x) の「関数の設計」——入力 **x** に対する出力 **y** を決定する関数 **f** を設計するもの——であった。再帰化はこの関数を一度設計して終わりにするのではなく、Controller と Activity による制御ループで関数自体を継続的に置き換えていく「系の設計」(メタレベル)への認知的転回を要求する。 技術的に3つの課題がある: (1) インタラクションの解釈——暗黙的フィードバックから利用者の背景・要求を類推する、(2) 利便性とのトレードオフ——明示的操作なしでの情報取得、(3) 振る舞い変更の仕組み——A/B テストや多腕バンディットによる機会損失を最小化した施策の選定。(Source: [[@2022__ペパボテックカンファレンス__再帰化への認知的転回]]) 三宅自身が「再帰化の取り組みは、実はペパボ研究所における[[なめらかなシステム]]の実現に向けた取り組みに他ならない」と述べており、再帰化はなめらかなシステムの実装方針として位置づけられる。 ## 横断的知見 - **再帰化(2022)はなめらかなシステム(2018)の実装方向を具体化した中間概念である**: [[@2018__DICOMO2018__なめらかなシステムを目指して]]は「利用者のコンテキストを暗黙的に取得して最適なサービスを自動的に提供する」という要件を定義したが、サービス開発への具体的な認知的転回を示すのは再帰化(2022)である。一方、[[@2025__DICOMO2025__なめらかなシステムと運用維持の終わらぬ未来]]は再帰化を「先行提案」として位置づけ、与えられた目的のもとでの適応に留まる限界を指摘し、目的生成的ななめらかさへと発展させた。2018 → 2022 → 2025 の 3 段階で概念が具体化・拡張されている。(Source: [[@2022__ペパボテックカンファレンス__再帰化への認知的転回]], [[@2025__DICOMO2025__なめらかなシステムと運用維持の終わらぬ未来]]) ## 未解決の問い - 再帰化は「与えられた目的」のもとでの適応に留まるとされるが、目的自体が変わる場面で再帰化のフレームワークはどこまで拡張可能か。 - minne 検索システムでの再帰化の具体的成果は社内資料として省略されており、定量的な評価は公開されていない。 ## 関連 - [[なめらかなシステム]] — 再帰化はこの構想の実装に向けた認知的転回 - [[エフェクチュエーション]] — DICOMO2025 で再帰化の限界を超える枠組みとして導入された - [[三宅悠介]] — 提唱者 - [[GMOペパボ]] — 提唱組織 ## 出典 - [[@2022__ペパボテックカンファレンス__再帰化への認知的転回]] — 一次出典 - [[@2025__DICOMO2025__なめらかなシステムと運用維持の終わらぬ未来]] — 先行提案としての限界指摘