# 光リンク過剰設計
## 定義
光リンク過剰設計とは、データセンターネットワーク(DCN)の光トランシーバーが、IEEE標準の定めるビット誤り率(BER)10^-12という要求に対して、実運用上は必要以上の信号品質・伝送距離余裕を持って動作している状態を指す。IEEE標準は最悪条件(高温・コネクタでの信号減衰など)を仮定してトランシーバーの伝送距離(reach)を規定するが、そのような最悪条件は実運用ではまれにしか発生しない。この過剰設計分を安全に削減することで、DCN総コストの48〜72%を占めるトランシーバーコストを下げられる。(Source: [[@2017__NSDI__RAIL - A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Links in Data Center Networks]])
## 横断的知見
- 単一ソースのみのため、現時点では横断的知見は蓄積されていない。今後、光トランシーバーの故障予測([[障害予測]]で扱うOptProphet等)や電力方式([[光トランシーバー電力方式]])の観点を持つソースが追加された際に、過剰設計削減(RAILのアプローチ)と故障予測・省電力化がどう両立・競合するかを整理する。
## 未解決の問い
- 光リンクの過剰設計を積極的に削減する(RAILのような)アプローチと、光トランシーバー故障を早期予測して未然に防ぐ(OptProphet等)アプローチは、同じ物理層信号(RxPower・BER)を対象にしながら目的が「コスト削減」と「障害予防」で相反する可能性がある。両者を同一の監視基盤上でどう両立させるべきか。
- 100Gbps以降のトランシーバーはFEC(前方誤り訂正)を搭載し、pre-FEC BER要求が10^-12から5×10^-5へ緩和される。FEC搭載トランシーバーではグレーリンクをオフにするだけで十分という指摘があるが、これはAI訓練クラスタで使われる更に高速な400G/800Gトランシーバーでも成り立つか。
- RAILが前提とする「アプリケーションごとの損失耐性の多様性」は、RDMAが支配的なAI訓練クラスタのネットワークでもどの程度成り立つか(RDMAは損失に敏感なため、多くのトラフィックが第1クラス仮想トポロジに集中し、コスト削減効果が薄れる可能性がある)。
## 関連
- 概念: [[データセンターネットワークトポロジ]] / [[データセンター信頼性]] / [[光トランシーバー電力方式]]
- ソース: [[@2017__NSDI__RAIL - A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Links in Data Center Networks]]
- エンティティ: [[Danyang Zhuo]] / [[Manya Ghobadi|Monia Ghobadi]] / [[Microsoft Research]] / [[University of Washington]]
## 出典
- [[@2017__NSDI__RAIL - A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Links in Data Center Networks]]