# 不確実性コーン ## 定義 不確実性コーンとは、ソフトウェアプロジェクトの見積り誤差の範囲が、プロジェクトの進行にしたがって段階的に狭まっていく様子を表した図である。Barry Boehm が1981年に発表した図が原型で、後に Steve McConnell がこれを「不確実性コーン」と呼んだ。この図が対象としているのは、逐次的な開発プロセス(いわゆる「ウォーターフォール」)の各段階だ。(Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 1 計画の目的]] p.026-027) 図が示す誤差範囲は次のとおりである。初期のプロジェクト定義の段階では、見積りに60%から160%に及ぶ誤差が生じる。たとえば20週間かかると見積もられたプロジェクトは、実際には12週間から32週間かかりうる。要求が固まった後でも、見積りにはなおプラスマイナス15%の誤差が見込まれる。この段階での見積りが20週間であれば、実際にかかる期間は17週間から23週間だということになる。(Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 1 計画の目的]] p.026) ![[wiki/sources/_attachments/agile-estimating-and-planning-ja/ch01-fig1.1-uncertainty-cone.png]] (図1.1 不確実性コーンはプロジェクトの進行にしたがって狭まっていく。横軸は初期のプロダクト定義・承認されたプロダクト定義・要求仕様・プロダクトの設計仕様・詳細設計・検収されたソフトウェアという開発段階、縦軸はスケジュール見積りの誤差倍率(0.6x〜1.6x)を表す。Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 1 計画の目的]] p.027) プロジェクトマネジメント協会(PMI)も、プロジェクトが進むにつれて見積りが正確になっていくという見解を共有している。ただし PMI は不確実性コーンを線対称とは考えていない。PMI では最初につくる初期見積りの誤差をプラス75%からマイナス25%、次の段階の概算見積りの誤差をプラス25%からマイナス10%、最後の詳細見積りの誤差をプラス10%からマイナス5%としている。(Source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 1 計画の目的]] p.027) ## 横断的知見 - 現時点では [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 1 計画の目的]] のみが典拠であり、複数ソースを突き合わせた横断的知見はまだ蓄積されていない。Boehm の対称的なコーンと PMI の非対称な誤差範囲という、単一ソース内の対比のみが現時点の記述である。 ## 未解決の問い - Boehm(1981)の原論文における不確実性コーンの正確な定義・データ根拠は何か。COCOMO との関係は。 - McConnell が「不確実性コーン」と命名したのはどの著作・年か(本書の脚注は McConnell の Software Project Survival Guide (1998) を指しているが、命名の初出かは未確認)。 - アジャイル手法(反復的な計画づくり)は、この不確実性コーンの形状・傾きをどう変えるのか。本書後半の章(特にベロシティやリリース計画のモニタリングを扱う章)で言及があるか確認する必要がある。 - PMI の非対称な誤差範囲(+75%/-25%等)は PMBOK のどの版・箇所に基づくものか。 ## 関連 - 概念: [[アジャイルな計画づくり]] - 実体: [[Barry W. Boehm]] / [[Steve McConnell]] - source: [[@2009__Mynavi__アジャイルな見積りと計画づくり - Chapter 1 計画の目的]] ## 出典 - Mike Cohn 著, 安井力・角谷信太郎 監訳, 『アジャイルな見積りと計画づくり』, マイナビ, 2009, 1章.