# ベクトルプロセッサ ## 定義 ベクトルプロセッサは、ベクトル(配列の連続した要素の並び)全体に 1 つの命令で同じ演算を施し、パイプライン化された機能ユニットに要素を 1 クロックあたり 1 個ずつ流し込む計算機である。ベクトルレジスタ、ベクトル長・マスクの制御、規則的なアドレス指定を備える。[[SIMDベクトル処理]] が短い固定幅の命令拡張であるのに対し、ベクトルプロセッサは長いベクトル長を前提とする専用機の系譜である。1970 年代の CDC STAR 100 と TI ASC を第 1 世代、[[CRAY-1]] を第 2 世代とみなす分類がある(Source: [[@1978__CACM__The CRAY-1 Computer System]])。 ## 未解決の問い - 第 1 世代(メモリ間ベクトル)から第 2 世代(ベクトルレジスタ)への移行で、短ベクトルの損益分岐点がどれだけ下がったかを、他の実機のデータで比べられるか。 - ベクトル長を要素数に合わせて再構成する Fujitsu のレジスタ方式と、固定長 64 要素の Cray-1 方式は、短ベクトル性能にどれだけ差を生んだか。 ## 未編纂の観察 - [[@1978__CACM__The CRAY-1 Computer System]] は、第 1 世代の STAR 100 と ASC が長ベクトル(100 要素以上)を要するのに対し、CRAY-1 のスカラー対ベクトルの損益分岐点を 2〜4 要素とする。差を生む要因は、ベクトルレジスタとチェイニングによる起動時間の短縮とされる。 - [[@1999__Parallel Computing__Development of supercomputers in Japan - Hardware and software]] は、日本の 3 社の第 1 世代機が、少数パイプを並列化した Cray X-MP と違い、1 つの制御プロセッサの下で多数のベクトルパイプを動かして性能を出し、ベクトルレジスタも Cray より大きく、リスト指定ベクトル命令(ギャザ/スキャッタ)を最初から備えたと述べる。Fujitsu の VP は 8K 語のベクトルレジスタを 1024 要素×8 本から 32 要素×256 本まで動的に再構成できる。1990 年代には各社が、共有メモリ型マルチプロセッサ(Hitachi S-3800、NEC SX-4/5)、分散メモリ型ベクトル並列(Fujitsu VPP)、RISC ベースの擬似ベクトル処理(Hitachi SR2201/8000)へ分岐した(Source: [[@1999__Parallel Computing__Development of supercomputers in Japan - Hardware and software]])。 ## 関連 - ソース: [[@1978__CACM__The CRAY-1 Computer System]] / [[@1999__Parallel Computing__Development of supercomputers in Japan - Hardware and software]] - 概念: [[SIMDベクトル処理]] / [[パイプライン処理]] / [[メモリウォール]] / [[スーパーコンピュータ]] / [[自動ベクトル化]] - エンティティ: [[CRAY-1]] / [[Seymour Cray]] / [[Fujitsu]] / [[Hitachi]] / [[NEC Corporation]] ## 出典 - [[@1978__CACM__The CRAY-1 Computer System]] - [[@1999__Parallel Computing__Development of supercomputers in Japan - Hardware and software]](日本 3 社のベクトル機の世代比較)