# データセンター内光配線設計
## 定義
生成AI向け高密度GPUクラスタを収容するデータセンターにおいて、限られたラック間通線孔・ラック内スペースの中で必要な光ファイバー心数を実装する配線設計技術である。中心となる技術要素は次の3つである。
- **光ケーブル細径多心化**: MPOコネクタ付き細径多心ケーブルの心線構造を、12心間欠固定リボンから16心間欠固定リボンへ移行することで、同一心数のケーブルにおける収容効率を1.5倍に高める。288心ケーブルの場合、MPOコネクタ数は24個から36個に増える。(Source: [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]], p.21, 資料提供: 株式会社フジクラ)
- **MPOコネクタ規格の複雑さ**: BASE-8/12/16/24という心数規格、Method A/B/Cという配線方式(極性反転の位置)、ジェンダー(ピン有/ピン無)、研磨方式(フラットPC/APC)の組み合わせが配線システム設計を複雑にする。LCコネクタインターフェースのトランシーバ向けネットワークでは、BASE-12からBASE-8へ移行することでコネクタ実装密度の低下を回避する。(Source: [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]], p.22, 39-41)
- **VSFF光コネクタへの移行**: 従来型のDuplexコネクタ(LC)・Multi Fiberコネクタ(MPO)に対し、VSFF(Very Small Form Factor)はDuplex系でCS(LCの2倍密度)・SN(LCの3倍)・MDC(LCの3倍)、Multi Fiber系でSN-MT(MPOの3倍)・MMC(MPOの3倍)という高密度コネクタを提供する。CPOスイッチにはMMCコネクタが採用される。(Source: [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]], p.51)
## 横断的知見
- **速度帯とMPO心数規格の対応**: [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]]が示すBASE-8/12/16/24というMPO心数規格の複雑さは、[[@2024__NADDOD__The Evolution of 400G, 800G, and 1.6T Optical Modules]]が示す速度帯別のパッケージング表(1G:SFP→800G:QSFP-DD800/OSFP→1.6T:OSFP224)およびファイバー対数(100G-SR4は8/12心MPOで4対、400G-SR16は32心MPOで16対、800G-DR8は16心MPOで8対)と接続する。心数規格の選択は単なる配線設計判断ではなく、速度帯・変調方式(NRZ/PAM4)・パッケージ形式に紐づくトランシーバー仕様そのものに規定される。(Source: [[@2024__NADDOD__The Evolution of 400G, 800G, and 1.6T Optical Modules]])
- **伝送距離命名規則(PMD Type)**: KR(10m、backplane)・CR(数m、銅線)・SR(10m、マルチモード)・DR(500m)・FR(2km)・LR(10km)・ER(40km)・ZR(80km)というIEEE 802.3/MSA標準の命名規則は、JANOG58で言及されるVSFFコネクタ(CS/SN/MDC/SN-MT/MMC)やMPOコネクタ規格の選定に先行して決まる、速度帯配線設計の上位制約である。(Source: [[@2024__NADDOD__The Evolution of 400G, 800G, and 1.6T Optical Modules]])
- **高密度GPUクラスタの配線設計は、規格選定と現場作業性を同時に最適化する**: [[@2025__LY Corporation__AIインフラ革命 ─ 米国データセンターとGPUを支える技術基盤(Rethinking AI Infrastructure Part 1)]]は、400G FR4、MPOケーブル、End of Rowラック中央配置、最大15本をまとめるケーブリングツールを実運用へ適用する。[[データセンター内光配線設計]]が扱う心数・極性・コネクタ密度の設計論に、配線長と作業時間という現場制約が加わる。(Source: [[@2025__LY Corporation__AIインフラ革命 ─ 米国データセンターとGPUを支える技術基盤(Rethinking AI Infrastructure Part 1)]], [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]])
## 未解決の問い
- BASE-8/BASE-12/BASE-16/BASE-24というMPO心数規格は、どのような設計判断基準(トランシーバー種別、将来の心数拡張余地)で選択されるか。
- Method A/B/Cの配線方式の違いは、実際の敷設現場でどの程度のトラブル(極性ミス)を引き起こしているか。
- VSFFコネクタ(CS/SN/MDC/SN-MT/MMC)は業界標準化がどこまで進んでいるか。ベンダー間相互接続性はどうか。
- 光ケーブル細径多心化(12心→16心)は、既存の12心対応パッチパネル・ツール類との後方互換性をどう扱っているか。
- 400G FR4、MPOケーブル、SFP/QSFP/OSFPの組合せで、規格表と実物検証の差異をどの試験項目で事前に洗い出せるか。
## 関連
- 概念: [[光トランシーバー電力方式]] / [[光ファイバーシャフル配線]] / [[マルチプレーンClosトポロジ]]
- 実体: [[SAKURAONE]] / [[SAKURA internet Inc]] / [[株式会社フジクラ]] / [[NADDOD]]
- ソース: [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]] / [[@2024__NADDOD__The Evolution of 400G, 800G, and 1.6T Optical Modules]]
- ソース: [[@2025__LY Corporation__AIインフラ革命 ─ 米国データセンターとGPUを支える技術基盤(Rethinking AI Infrastructure Part 1)]]
## 出典
- [[@2026__JANOG58__AIインフラ時代のデータセンター内光配線の実践知]]
- [[@2024__NADDOD__The Evolution of 400G, 800G, and 1.6T Optical Modules]]
- [[@2025__LY Corporation__AIインフラ革命 ─ 米国データセンターとGPUを支える技術基盤(Rethinking AI Infrastructure Part 1)]] — 400G FR4、MPOケーブル、End of Row中央配置、ケーブリングツール、SFP相互運用性。