# コンピュート格差
AI 開発において決定的な競争優位を生み出すコンピューティング資源(GPU クラスタ、データセンター、電力インフラ)の地域間・国家間の不均衡。特に**米国対ヨーロッパ**の文脈で使われる。
## 定量的指標(Europe 2031 シナリオ)
[[europe2031-ai|Europe 2031]] では以下の推計が示されている:
| 年 | 米国対EU コンピュート比 |
|----|------------------------|
| 2025年 | 12.4倍 |
| 2031年(予測) | 15.7倍 |
この格差は AI フロンティアモデルの開発能力に直結し、国家安全保障・経済競争力・外交交渉力に波及する。
## 格差の主因
1. **民間投資規模**: 米国ハイパースケーラー(AWS・Azure・Google Cloud)の年間投資が$400B+ に対し、EU の公的投資は€200B/10年(年換算€20B)
2. **エネルギーインフラ**: データセンター電力確保の困難(EU の許認可・環境規制)
3. **資本市場**: ベンチャーキャピタルの厚みが米国に比べて薄い
4. **輸出規制**: [[ASML]] EUV 装置の配分が米国政府主導で管理され、EU が独自のコンピュート構築で使えるタイミングを逃す
## 政策的含意
コンピュート格差が一定閾値を超えると、劣位側は:
- フロンティアモデルへのアクセスを優位側(米国)の条件で受け取るしかなくなる
- 外交交渉でAI技術アクセスを人質に取られる
- 国内のAI産業が競争力を失い、優位側のモデルに依存する構造が定着する
[[europe2031-ai]] シナリオでは、2029年の Frontier Inference Services Rule(欧州向け推論アクセス25%上限)がこの依存構造を制度化する転換点として描かれる。
## 参考ソース
- [[europe2031-ai|Europe 2031]](ARQ Foundation, 2026)— コンピュート格差の定量的推移とその政策的帰結を詳述