# コンピュータ免疫学 生物・社会システムが備える自己治癒プロセス(免疫系)を計算機システムに移植し、人間の介入なしに問題状態を検知・是正する自律的なシステム管理を実現しようとする構想。Mark Burgess が [[@1998__LISA__Computer Immunology]](USENIX LISA '98)で提唱した。中心にあるのは「収束的意味論(converging semantics)」——望ましい状態を宣言的に記述し、系がその状態に達すると不活性(quiescent)になる挙動——であり、著者自身が開発した [[cfengine]] をその萌芽的な実装として位置づける。免疫学における「自己/非自己モデル」の限界を踏まえ、Matzinger の「危険モデル(danger model)」——細胞の異常な死(のシグナル)に反応する——を計算機のシグナル(SIGCHLD=apoptosis に相当する正常終了、SIGSEGV/SIGBUS/SIGABRT=necrosis に相当する異常終了)に対応づける点に特徴がある。(Source: [[@1998__LISA__Computer Immunology]]) ## 横断的知見 - 本 concept は現時点で単一ソース([[@1998__LISA__Computer Immunology]])のみに基づく。生物学的アナロジーに基づく自律的システム管理という主題は、後年の autonomic computing・self-healing systems・AIOps の各研究系譜と概念的に連続する可能性が高いが、その系譜を直接引用した後続ソースはまだ wiki に取り込まれていない。今後 IBM の Autonomic Computing Manifesto(2001)や artificial immune system 系のセキュリティ研究が ingest されれば、本節に横断的知見を追加する。 ## 未解決の問い - Burgess (1998) の「危険モデル」提案は、その後の実装(cfengine の後続バージョンやプロミス理論 Promise Theory)にどう反映されたか。 - 本論文が提起した「多スケールのパターン照合による危険検知」は、現代の異常検知([[異常検知]])やログベース異常検知の手法とどの程度連続しているか、あるいは全く異なる系譜として発展したか。 - IBM の autonomic computing(2001年提唱の "self-CHOP": self-configuring, self-healing, self-optimizing, self-protecting)は、本論文の免疫系構想とどのような相互関係にあるか(先行研究として引用されているか、独立に発展したか)。 - artificial immune system(人工免疫系)によるセキュリティ・侵入検知研究(例: Forrest et al. の self/non-self モデル)と、本論文が明示的に距離を置く「自己/非自己モデル」批判は、その後どちらが優勢になったか。 ## 関連 - [[@1998__LISA__Computer Immunology]] — 本概念の正典ソース。 - [[Mark Burgess]] — 提唱者。cfengine 作者。 - [[cfengine]] — 免疫系構想における中核部品(phagocyte・修復ドローンとして比喩される収束的リアクタ)。 ## 出典 - [[@1998__LISA__Computer Immunology]]