# コンウェイの法則 ## 定義 コンウェイの法則(Conway's Law)とは、[[Melvin Conway]] が 1967 年に提示した「システムを設計する組織は、そのコミュニケーション構造がそのまま反映された構造の設計を生み出す」というテーゼである。この主張を盛り込んだ論文は 1967 年に Harvard Business Review に提出されたが証明不十分として掲載を拒否され、IT 雑誌 Datamation に提出したところ採用されて翌 1968 年 4 月に公表された。『SREの探求』31 章「複雑なシステムのためのエレジー」は、この法則が提示された 1967 年以来、あらゆる組織がこれを侮辱と捉えて反証しようとしてきたが「ほとんど成功しなかった」と評する。(Source: [[@2021__OReillyJapan__SREの探求 - Chapter 31 複雑なシステムのためのエレジー]] §31.1) 同章は法則の帰結を、単なる観察を超えた診断・介入の道具として展開する。コンポーネント間のインターフェイスを注意深く定義し変更に時間をかけない限り大規模なシステムは機能しないという点で、ソフトウェアコンポーネントと人間のコンポーネントは同じ配置に収斂する十分な理由がある。システムが慢性的な機能不全に陥る場合、技術的な問題と人間の問題は必然的に対応しており、相互運用に失敗する 2 つのソフトウェアコンポーネントの裏には、うまくやり取りしていない 2 つのチームが存在する。「根本原因」に与しやすくない診断困難なシステムに対しては、組織図とシステムフロー図という 2 つの図を並べてその乖離を確認することが優れた出発点になり、どちらの図も変更可能で、片方の変更が解決策を生む可能性がある。(Source: [[@2021__OReillyJapan__SREの探求 - Chapter 31 複雑なシステムのためのエレジー]] §31.1) ## 横断的知見 - (現時点ではソースが [[@2021__OReillyJapan__SREの探求 - Chapter 31 複雑なシステムのためのエレジー]] の 1 件のみのため、複数ソースの突き合わせによる横断的知見は今後の ingest で蓄積する。) ## 未解決の問い - コンウェイの法則を「反証しようとしてほとんど成功しなかった」という 31 章の評価を裏付ける具体的な反例・準反例(マイクロサービス化やプラットフォームチーム編成による意図的な構造再設計の試み等)は、本 wiki にどの程度蓄積されているか。 - 「組織図とシステムフロー図の乖離を確認する」という診断手法を実際に適用した事例研究(定量的な乖離の測り方を含む)はどの程度存在するか。 - コンウェイの法則の「逆」、すなわち意図的にコミュニケーション構造を設計することでシステムアーキテクチャを誘導する「逆コンウェイ戦略(Inverse Conway Maneuver)」との関係は、本 wiki では未検証。 ## 関連 - 実体: [[Melvin Conway]](提唱者) / [[Fred Brooks]](『人月の神話』でコンウェイの法則を含む関連内容をカバー) - 概念: [[ソシオテクニカル負債]](社会構造と技術システムの不整合という主題を共有) / [[複雑システム障害論]](組織と技術系の慢性的機能不全という観点で近接) - ソース: [[@2021__OReillyJapan__SREの探求 - Chapter 31 複雑なシステムのためのエレジー]] ## 出典 - [[@2021__OReillyJapan__SREの探求 - Chapter 31 複雑なシステムのためのエレジー]] — Mikey Dickerson, 「複雑なシステムのためのエレジー」, David N. Blank-Edelman(編)『SREの探求』, オライリー・ジャパン, 2021, 31章, §31.1.