# グラフニューラルネットワーク(GNN)
ノードとエッジで構成されるグラフ構造データに対するニューラルネットワーク。グラフの対称性(ノードの並べ替え不変性)を自然に扱えることが特徴。
## 基本概念
**メッセージパッシング**: GNN の基本操作。各ノードは近傍ノードからメッセージを集約して自身の表現を更新する。L 層の GNN は L ホップ先まで情報を集約できる。
**WL 検査 (Weisfeiler-Leman test)**: GNN の表現能力の古典的な上界。標準的なメッセージパッシング GNN は 1-WL 検査と同じグラフ識別能力を持ち、1-WL が同一視するグラフは GNN も区別できない (Xu+ ICLR 2019)。最近は部分グラフ認識可能性による新しい分類へ移行中 (Zhang+ ICLR 2024)。
## 主要な研究トピック
| トピック | 状況 (2024年時点) |
|---------|-----------------|
| 解釈性 | 5 年以上ホット。ベクトル NN より一段難しく決定版なし |
| [[GNN同変性]] | 分子・タンパク質・物理シミュレーションで活発。メタネットワークへの応用が新潮流 |
| 表現能力 | WL 検査から部分グラフ認識可能性へ移行中 |
| 頑健性 | 敵対的攻撃・防御で 6 年の歴史。成熟段階 |
## 主な応用分野
- **分子設計・創薬**: 拡散モデルとの組み合わせで生成モデルが活発。分子基盤モデル (Beaini+ ICLR 2024) が登場
- **タンパク質設計**: 三次元構造の対称性 (SE(3)-equivariance) を活用した生成モデル (RFDiffusion 等)
- **物理シミュレーション**: Pfaff+ ICLR 2021 傑出論文賞以来、メッシュベース流体・固体シミュレーションで活発
- **時系列データ**: 生体センサー (EEG)・電子カルテ・仮想センシングなど医療応用が多い
- **クラウドモニタリング**: DiRecGNN (Hussain+ FSE 2026) がメトリクス・ディメンション推薦に適用
## ニューラルネットワークのメタ学習との接続
Kofinas+ ICLR 2024, Lim+ ICLR 2024 は MLP のニューロン並べ替え対称性 (パーミュテーション対称性) に着目し、GNN の同変性を利用してモデルパラメータ自体を入力とするメタネットワークを構築。順位相関係数 >= 0.9 でモデル性能を予測できる。[[モデルパラメータ算術]] との接続点。
## 関連ページ
- [[GNN同変性]] — 対称性を保存するモデル設計
- [[モデルパラメータ算術]] — GNN で扱えるパラメータ空間の対称性
- [[マイクロサービスコールグラフ]] — クラウド AIOps での応用先
## 参照ソース
- [[joisino-ICLR-2024-GNN]] — ICLR 2024 GNN 研究動向サーベイ (佐藤竜馬)