# カーゴカルトSRE
## 定義
カーゴカルトSRE(Cargo Cult SRE)とは、Googleが生み出したSREモデルの**表面的な形式**(チーム名・役割名・実践名)を、その背景にある文脈的必然性を理解せずに模倣する組織行動のアンチパターンである。「カーゴカルト」とは、太平洋の島民が軍用機が物資を運んでくるのを見て、滑走路や飛行機の模型を作ることで物資が届くと信じた現象に由来する。
## 背景と文脈
[[SRE]]はGoogleが2004年頃に開発した組織モデルである。その誕生には以下の固有条件があった:
1. **前例なき規模の問題** — 当時、Googleが直面していたスケールの課題を解決するツールが存在しなかった
2. **ツール不在** — Prometheus・Docker・Terraformのような現代のインフラツールが存在せず、内製が必要だった
3. **無限の資本** — 専用チームを設置するための投資が可能だった
これらの条件が揃っていたために、SREという解法が「正解」となった。現代の中小規模組織では、これらの条件の多くが消えている。([[@Gerro Wadat]])
## カーゴカルトSREの症状
[[Gerro Wadat]](2023)は以下の兆候を指摘する:
- **チャーターの曖昧さ** — SREチームが何をすべきかが組織内で合意されていない
- **責任の転嫁** — 「SREがいるからプロダクト開発者は信頼性を考えなくていい」という誤解
- **恐怖反応としての採用** — 大規模インシデント後に問題の本質解決なくSREチームを設置する
- **赤いニシン化** — SREチームの存在が技術的負債の先送り口実になる
## 対比:文脈固有の信頼性投資
カーゴカルトSREの対極は、以下の問いに基づく意思決定である:
1. 信頼性は事業において実際に最優先事項か?
2. SREチームに明確なチャーターを与えられるか?
3. 信頼性の責任を組織全体に分散させる文化的準備ができているか?
## 関連概念
- [[SRE組織変革]] — SRE導入の文化的・組織的側面
- [[SRE]] — SREの定義と原則
> [!key-insight] 警句
> 「私たちはGoogleではない」という認識は、SRE導入の必要性を問い直すための出発点として機能する。(Source: [[6 Reasons You Don't Need an SRE Team]])