## セッション概要
- セッション名: Toward High Performance Quantum Computing: From NISQ to FTQC
- スピーカー: 大阪大学大学院基礎工学研究科 教授 / 量子情報・量子生命研究センター (QIQB) 副センター長 / 理化学研究所 量子コンピュータ研究センター 藤井啓祐氏
- テーマ: NISQからFTQCへの進化、HPCとの統合、およびアーキテクチャの革新
## 所感
- 数年前に「NISQ」というバズワードを聞いたきりだったが、現在のトレンドがすでに「Early FTQC」やHPCとのハイブリッドに移行していることに驚いた。
- 1000の論理量子ビットを作るために100万の物理量子ビットが必要という途方もないオーバーヘッドの話は、理論的な壁の高さと同時に、STARアーキテクチャのような具体的な解決策が着実に進んでいることを実感させる。
- OQTOPUSのような基盤ソフトウェアがOSS化され、国産システムがクラウドで実稼働するフェーズにきている点は、クラウド事業者視点でも興味深い。
## セッション要旨
### イントロダクションとHPCとの融合
- 登壇者紹介と本セッションのタイトル
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- AIの急速な進歩に伴い計算リソースの重要性が増大
- NISQのポテンシャルを引き出すには量子とHPCのハイブリッドが不可欠
- FTQCを用いた「量子スーパーコンピュータ」の構築へ向け、量子とHPCがかつてないほど密接な関係に突入
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### 講演アウトライン
- 量子コンピューティングの過去から現在
- QIQBと理研による国産量子コンピューティングクラウド構築の取り組み
- 近未来の科学的・産業的価値に向けたNISQとHPCの融合
- 量子スーパーコンピュータの構築方法
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### 量子コンピュータ開発の進展(過去から現在)
- 2014年のGoogle参入を皮切りに量子コンピュータ開発が本格化
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- クラウド経由でのIBM量子コンピュータの無料アクセス開始(2016年)による規模拡大
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- 2019年のGoogleによる量子超越性(Quantum Supremacy)の実証
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- 2023年以降、理研による初の国産量子コンピュータ公開など、年々システム規模が拡大
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### 国産量子コンピュータシステムの構築
- 理研(2023年3月)、富士通(2023年10月)、大阪大(2023年12月)と立て続けに国産超伝導量子コンピュータをリリース
- 2025年4月に富士通が256量子ビット機をリリース、2025年7月に大阪大・理研による「純国産」システムがリリース
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- 2025年大阪・関西万博にて「Entangled Moment」を展示
- 1週間で約2万件のジョブを処理する実稼働実績
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### ソフトウェア基盤とツール
- 大阪大、富士通、SEC、TISの共同開発による量子コンピュータ用基本ソフトウェア「OQTOPUS」を2025年3月にOSS公開
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- キャリブレーションワークフローの自動化と可視化を行う「QDash」
- 属人性を排除し、一貫性のある量子ビット性能の維持・再現を実現
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### プロジェクトと研究開発体制
- 文部科学省 Q-LEAP Quantum AI フラッグシッププロジェクト
- 50名以上の研究者が関わり、NISQの性能を最大化するソフトウェアアーキテクチャやツールを開発
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### NISQの性能抽出とソフトウェアライブラリ
- VQA(Variational Quantum Algorithms)の課題を克服するため、サンプリングベースの量子アルゴリズムへ移行
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- QSCI(Quantum-Selected Configuration Interaction)法による量子選択配置相互作用の発見
- 理研とIBMにより、80量子ビット規模での実用的な分子エネルギー計算を実証
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- 大阪大と理研による量子-HPC統合プラットフォーム上のモジュール型量子ソフトウェアライブラリ開発(JHPC-quantum WP04)
- QURI Partsを活用し、量子化学や機械学習など実用的な問題に適用
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### 実用問題の物理リソース見積もり
- 古典的に困難な問題を解くためのリソース推定
- 2048bit素因数分解: 2000万物理量子ビット、8時間(1μsコードサイクル)
- FeMocoの量子化学計算: 200万物理量子ビット、15日間
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- ハイゼンベルク模型などの凝縮系物理学のシミュレーションにおける量子-古典クロスオーバーの評価
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### FTQCへ向けた課題と量子誤り訂正
- 環境との相互作用によるデコヒーレンスが避けられず、量子状態が古典的な情報に崩壊してしまう
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- 指数関数的な振幅の複雑さがアナログノイズの影響を受け、量子状態のコピーも不可能(No-cloning theorem)
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- 表面符号(Surface Codes)を用いた量子誤り訂正
- データ量子ビットとシンドローム量子ビットを配置し、パリティをチェック
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- Google Quantum AIらによる実証で、表面符号の閾値が約1%(忠実度99%)に到達
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- 単一の論理量子ビットを構築するための2D表面符号のオーバーヘッド
- エラー率0.1%の場合、1論理量子ビットあたり数百の物理量子ビットが必要
- 100〜1000の論理量子ビットを用いるアルゴリズム全体では10^6(100万)の物理量子ビットが必要
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### Early FTQCとアーキテクチャの革新
- NISQ(物理制約あり)とFTQC(完全な誤り訂正・大オーバーヘッド)の中間に位置するアプローチ
- Early FTQCは論理レベルでの全結合を活用し、保護が難しい操作にはアナログ回転ゲートを適用
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- 部分的耐量子計算(Partially Fault-tolerant Quantum Computing)アーキテクチャ
- 従来のClifford+Tゲート合成に代わり、アナログ回転ゲートを基本ゲートセットに組み込んだSTAR(Space-Time Efficient Analog Rotation)アーキテクチャを富士通と提唱
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- 実用上重要なタスク(2D Hubbardモデル等)のオーバーヘッド見積もり
- 8x8サイズで数万〜数十万の物理量子ビット規模となり、より現実的なリソースでの計算が可能に
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- 素因数分解などの高難度タスクにおける、Magic State Distillationのオーバーヘッド削減の重要性
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## Q&A / Discussion
- NISQでの知見をアルゴリズム設計とリソース見積もりにフィードバック
- ハードウェアの進展と並行してEarly FTQCを通じた早期の実用アプリケーション創出を目指す