## 概要
NERSCのCritical Facilities EngineerであるNicolas VenturaがGrafanaと湿り空気線図(psychrometric chart)を統合してHPCインフラの環境状態を監視する手法を紹介した事例である。
## 環境管理の課題
NERSCはPlasmadiaなどの大規模HPCシステムを運用しており、厳密な環境制御が必要。
- **過湿**: 腐食・機器障害の原因
- **低湿**: 静電気放電(ESD)リスク
- **温度極端**: 効率低下・部品寿命短縮
## データ収集アーキテクチャ
- 建屋センサーおよび機械設備から環境テレメトリを収集
- [[VictoriaMetrics]](Prometheus互換DB)にデータをパブリッシュ
- [[Grafana]]で複雑なクエリによる可視化を実現
## Psychartプラグイン
従来のGrafanaダッシュボードは温度・湿度・露点を個別表示していた。しかしこれらは心理測定特性を通じて相互依存しており、任意の2変数から他の全変数を算出可能である。
VenturaはPsycholibライブラリを活用した独自のGrafanaパネルプラグイン **Psychart** を開発。
### 機能
- リアルタイム湿り空気線図をGrafana内に直接レンダリング
- 2つの入力変数から完全な空気状態を計算
- ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)準拠ゾーンをオーバーレイ表示
- メートル法/ヤード法の単位変換をサポート
### 実装
SVGレンダリングを用いて心理測定状態を標準チャート上の(x, y)座標に変換。リアルタイムネットワーク統合を欠いた従来のオフラインソリューションを大幅に改善。
## 適用範囲
- エアハンドラーの環境監視
- Cray Shasta OS APIを経由したラック内環境条件の監視
- フリークーリング機会の評価のための外気アセスメント
## 普及状況
- 2022年5月の公開以来、**8,000件以上**のダウンロード
- 米国の複数の国立研究所で採用