[Amazon.co.jp: テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス eBook : カール・B・フレイ, 村井 章子, 大野 一: Kindleストア](https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08JCGNK7J) > 「ビル・ゲイツは2012年に『イノベーションがこれまでにないペースで次々に出現しているというのに‥…アメリカ人は将来についてますます悲観的になっている』と指摘し、これは現代のパラドックスだと語った。(本書序章から) 「仕事の半分が消える」――2013年、オックスフォード大学の同僚マイケル・オズボーンとの共同論文「雇用の未来ーー仕事はどこまでコンピュータ化の影響を受けるのか」で世界的な議論を巻き起こしたカール・B・フレイによるテクノロジー文明史。 フレイによるテクノロジーの観点から見た人類の歴史はこうだ。新石器時代から長く続いた「大停滞」の時代を経て、アジアなど他地域に先駆けて、蒸気機関の発明を転機としてイギリスで産業革命が起きる。「大分岐」の時代である。労働分配率が低下する労働者受難時代であり、機械打ち毀しの[[ラッダイト運動]]が起きる。 その後、電気の発明によるアメリカを中心とした第二次産業革命が起き、労働者の暮らしが劇的に良くなる格差縮小の「大平等」の時代がやってきた。テクノロジーと人間の蜜月時代だ。 ところが工場やオフィスへのコンピュータの導入を契機に、格差が拡大する「大反転」の時代に入る。さらにAIによる自動化が人間の労働に取って換わることが予想される今後、人類の運命はどうなってしまうのか。著者フレイは膨大なテクノロジーと人間に関する歴史研究を渉猟し、「ラッダイト運動」再来の可能性もある、と警告する。 <https://x.com/kiyoshi_shin/status/1750425310544507017?s=20> > 今井さんが参考文献として使われていた『テクノロジーの世界経済史ービル・ゲイツのパラドックス』を読み始めたが、ものすごい面白い本。経済史の観点から、産業革命期などの労働者の状況等を読み解いている。第1章から、ライダット運動期に何が起きていたかなど、知らなかったことが多数書かれている。結局、置換型の技術の登場によって置き換えられる労働者は、激しく抵抗するということ。それは、全体の経済成長が起きたとしても、個々人の労働者に恩恵が降りてくるまでには、かなり時間的なズレが有るため、短期では貧しくなるため。産業革命期では労働者の賃金が上がり始めるのに50年かかったとか。 置換型の技術で職に直撃を受けるのは中年で新技術に適応するのが簡単でない人が多いとか。そういう層は新技術の登場で、専門性が役に立たなくなり、所得を減らしがちとか。イノベーションによって誰かが新しい仕事を得られるかもしれないが、それはスキルセットが違いすぎ、仕事を失った人ではない別の人であると。 1950年代のアメリカは楽観論にあふれていたのは、製造業の成長によって代替の仕事を見つけることが簡単であったこと、実際に社会の生活水準が上昇していたことを挙げているが、これが常に起きるわけではないというパターンを挙げている。何よりも新技術がすんなり社会に受け入れられるかは、仕事を失う人たちの労働問題が解消できるかという点を指摘している。 この著者カール・フレイ氏は、AIにより仕事が現象するという有名な論文を2013年に発表した人だが、1950年代の楽観視できる時代とAI時代は、その技術の性質上パターンが違うと論じ始めている。