[確率・統計から始める エンジニアのための信頼性工学 - 身近な故障から宇宙開発まで - | 山本 久志, 秋葉 知昭, 竹ヶ原 春貴, 深津 敦, 古井 光明, 山本 久志 |本 | 通販 | Amazon](https://www.amazon.co.jp/dp/4339029203) ## 紹介 私たちの回りには、生活をサポートする多くのシステムがあります。最近は、それらのシステムが故障し、私たちの安全、安心な生活が脅かされるというニュースを毎日のように見聞きします。システム構築のためには、対象となる製品やシステム等についての固有の技術や知識に精通することが重要です。しかしながら、固有の技術だけでは不十分であり、故障しにくいシステムをどのように構築すればよいのか、安全なシステムとは何かなど、システムとして総合的に考え評価することが大事です。その答えを見出す考えを提供してくれるのが、信頼性工学です。 本書は、工学系統の学部学生向けの信頼性工学の入門書として執筆しました。信頼性工学の手法をうまく使用するためには、1)その手法の背景にある考え(理論)を知り、2)実際にどのようにして実際の現場に使用されているかを知ることが重要です。そのことを踏まえ、本書は大きく理論編(2章、3章、4章、5章)と実務編(6章、7章、8章)に分けています。 2章では、理論編の基礎的な事項として、簡単に確率について説明し、信頼性を考える上での基本要素である信頼度、故障率や累積分布関数について紹介しています。3章では、故障データ等の解析を行うために有用な統計手法について紹介しています。4章では、高信頼性システムの設計方法について紹介しています。5章では、修理を伴うシステムの評価について数理的評価方法を紹介しています。 6章以降は実務編として構成しています。6章では、信頼性設計と評価のために有用な手法を実例を用いて紹介しています。7章では、信頼性工学と深い関係にある安全工学の概要について解説しています。8章では、本書で述べた手法等の適用例として、日本の宇宙開発における安全・信頼性設計の事例を紹介しています。 本書は工学系統の分野の学科の学生のみならず、信頼性向上をめざす技術者にも読んでいただき、高信頼度の製品やシステムの開発の一助になることを期待します。 ## 目次 1. 信頼性と信頼性工学  1.1 信頼性工学を学ぶことの重要性  1.2 信頼性とその三つの要素 コラム1:総合信頼性  1.3 信頼性と品質管理  1.4 信頼性と固有分野の技術  1.5 本書の構成 2. 信頼性工学の基礎数理  2.1 確率の基礎  2.2 密度関数と分布関数 コラム2:ワイブル分布の特徴  2.3 信頼性の評価指標 3. 信頼性データの統計的解析  3.1 信頼性データの特徴  3.2 信頼性試験の種類  3.3 取得した信頼性データの整理方法  3.4 基本的な信頼性データの構造とデータ解析方法  3.5 ワイブル確率紙の仕組みと使い方  3.6 加速試験  3.7 バーンインとスクリーニング,デバキング 4. システム信頼性  4.1 信頼性ブロック図と直列システム,並列システム  4.2 システム信頼性設計  4.3 冗長システム設計の留意点 コラム3:福島第一原発事故と共通原因故障 コラム4:H-IIA6号機と共通原因故障 5. 保全性とアベイラビリティ  5.1 保全方法 コラム5:予防保全の重要性  5.2 保全性の評価尺度  5.3 システムのアベイラビリティ解析  5.4 保全方策の数理モデル  5.5 複雑な保全方策計画に向かって 6. 信頼性設計と評価  6.1 信頼性を担保する設計:信頼性設計  6.2 トラブルを未然に防止するボトムアップ信頼性解析:FMEA  6.3 トラブルを未然に防止するトップダウン信頼性解析:FTA コラム6:0と1だけを扱う特別な数学! ?−ブール代数−  6.4 トラブルを未然に防止する信頼性評価:DR コラム7:一貫した設計・生産・信頼性活動−コンカレントエンジニアリング−  6.5 トラブルを未然に回避する信頼性概念:フェールセーフ,フールプルーフ コラム8:信頼性の安全設計思想−フェールセーフとフールプルーフ― 7. 安全工学  7.1 安全工学の役割  7.2 リスクアセスメント  7.3 安全解析と設計手法  7.4 危機管理 コラム9:事故のきっかけ  7.5 リスクの受容性 章末問題 8. 宇宙における安全・信頼性確保の取組み  8.1 宇宙開発の特徴  8.2 宇宙開発手法  8.3 宇宙開発における安全・信頼性  8.4 宇宙開発における安全・信頼性設計の具体例  8.5 今後の信頼性向上の取組み